今週の国内株市場は一段高でのスタートとなりました。日経平均は9日(月)の取引で節目の19,500円台を回復し、以降もこの水準を維持しています。前回のレポートタイトルは「上放れの地ならしできるか?」としましたが、思ったよりも早い印象ではあるものの、実際に上放れに至った格好です。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き (11月12日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて足元の動きを上の図1で確認してみます。引続き9月29日安値を起点としたトレンドラインを維持しており、上昇基調が続いていることがわかります。また、先ほども登場したキーワードの「上放れ」ですが、ローソク足の並びに注目すると、先週末と今週の月~火曜日にかけて「上放れの並び赤」というのを形成しています。

赤というのは陽線のことで、窓を空けた後、ほぼ同じ長さの陽線が二本並んでいるように見える格好をこのように呼ぶのですが、相場の上昇基調で出現する「上放れの並び赤」は、トレンドの継続つまり、さらなる上昇の前兆と言われています。

(図2)上放れの並び赤

ところが、再び図1に戻ってみますと、上放れの並び赤が出現して以降、陽線が続いてはいますが、上値が重たくなっているというか、伸び悩んでいるようにも見えます。

そこで、もう少し期間の長いチャートで確認してみます。下の図3は以前も紹介しました、三尊底とネックライン、8月の急落時の窓明けの関係を示したものです。日経平均は8月~10月末にかけてやや変則的な三尊底を形成してきましたが、ちょうど2本のネックラインを超えたあたりで上放れの並び赤が出現しています。

通常であれば、ネックライン超え達成と上放れの並び赤の登場によって、2万円に向けた動きに弾みがついてもおかしくありません。

(図3)直近の日経平均(日足)の動き (11月12日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ただし、8月の急落時に注目すると、2つの窓が確認できます。12日(木)の取引終了時点では、ちょうどふたつめの窓を埋めに行こうとするところで足踏みしているようにも見えます。そのため、現在は上放れの並び赤の出現による上昇サインが窓を埋めるだけの勢いがあるかが試されている状況と考えることができます。

今のところは上昇トレンド継続と見るのが自然ですが、ちょっと気になるのはひとつめの窓を埋め切れていないことです。上昇が一服した際にはひとつめの窓を埋めに行くと思われますので、19,000円水準まで調整する可能性が低くないことは押さえておいた方が良さそうです。