11年1-9月期は90.7%減益、会計処理の変更で予想利益を上方修正

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00347 鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール)  5.23 HKD
(10/17現在)
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アンガン・スチールの2011年1-9月期決算(中国会計基準)は、純利益が2億3900万元と、前年同期を90.7%下回る水準だった。同社が発表した数値を元に試算した7-9月期の純利益は前期比で87%減の1900万元となるが、前年同期の1億7800万元の赤字からは黒字転換を果たした。1-9月期の業績では、原材料の高騰をはじめとするコスト負担が引き続き利益を圧迫。最近は鉄鉱石の値上がりに一服感がみられるものの、調達価格がスポット価格に反映されるまでには6カ月の時間差があり、即座に業績に影響することはないとみられる。BOCIは、鉄鉱石価格の動向について、鉄鋼業界内の競争により供給側に交渉力があることを踏まえ、今後も比較的高い水準でとどまるとの見方を示している。

アンガン・スチールはこのほど、有形固定資産の減価償却に関する会計処理基準を見直した。10月1日付で建物や構造物の耐用年数を20年から30年に、機械設備は10年から15年にそれぞれ延長する。競合の馬鞍山鋼鉄ツꀀ(00323)の建物耐用年数は10-15年で、機械設備は10年。この影響によりアンガン・スチールの11年10-12月期の減価償却費が約5億1800万元減り、純利益を約3億8800万元押し上げる効果があるとみられる。BOCIは、11-13年の予想減価償却費を77億-78億元から62億元-72億元に下方修正。1トン当たりおよそ72-99元(1.5%)のコスト削減になると試算される。減価償却費が売上原価に占める割合は8%から7.4%に縮小。また、10-12月期の純利益は7-9月期の1900万元から5億7600万元に増加する見通しで、BOCIは11年通年予想利益を当初の4億1600万元から8億3000万元に引き上げている。

川下需要が鋼板類と条鋼類双方で停滞している点を踏まえ、BOCIは同社が10竏鈀12月期に製品価格の引き上げに踏み切る可能性は低いと判断。利益率の引き上げには困難な状態が続くとみている。中国の11年1-8月の造船新規受注量は前年同期比37%減の2810万DWT(載貨重量トン)。およそ40%の造船所が今年に入って新規受注を獲得できずにいる。

アンガン・スチールは10月、冷延鋼板(CRC)を前月比で30元(0.6%)値上げしたのを除き、多くの鋼材製品の価格を据え置いている。稼働率は85%と、ピーク期の90%以上を依然下回る状態。BOCIの調査によると、小規模の鉄工所は大手よりも資源配分の柔軟性があるため、比較的高い利益を上げている。こうした現状も業界の統合・再編を阻んでいる。

BOCIは以上を踏まえ、11-13年の予想利益を40-115%上方修正する一方、目標株価については11年予想PBR0.6倍の水準に基づき若干引き下げた。株価見通しは中立を維持している。