今週の国内株市場は前週からの下落基調を引き継ぎ、急落でのスタートとなりました。日経平均は26日(水)に17,714円台まで下落し、翌27日(木)はひとまず持ち直す展開に転じ、終値で18,574円となりました。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き (8月27日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて図1で足元の動きを確認してみますと、本格的な日経平均の急落が始まったのは先週の19日(水)からです。この日のスタートが20,467円でしたから、一週間あまりの間に約2,750円も下落したことになります。19日(水)の下落でサポートと思われていた75日移動平均線を下抜けてからは、20,000円、19,000円、18,000円という節目を次々に「窓」を空けながら下げていった格好です。

その後、17,700円台で下げ渋りを見せ、27日(木)の取引終了時点ではこの下落幅の3割ちょっと戻したわけですが、このまま再び2万円台の水準まで戻り基調を辿ることができるのでしょうか?

ただし、ローソク足の並びにも注目してみますと、27日(木)は上ヒゲのある陰線で、5日移動平均線の水準に位置していますが、この日の高値は前々日の25日(火)の高値を抜け切れていないことから、「とりあえず目先の底打ちだと思うが、その後の戻りは様子を見ながら」という心理が透けて見え、迷いが感じられる印象です。

次に週足でも確認して見たいと思います。

(図2)日経平均(週足)の動き(8月27日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図2の通り、週足のチャートでは、日経平均が1年間の値動きの中心線となる52週移動平均線を下回る場面がありました。これは昨年(2014年10月)以来です。

2014円10月といえば、当時は1カ月間で原油価格が1バレル=90ドル台から50ドル台へと急落した時期であるほか、エボラ出血熱の拡大や、欧州では景気減速を受けてECBによる量的緩和の有無が話題になっていました(実際にECBが量的緩和を実施したのは2015年3月からです)。さらに、米国ではいわゆるテーパリング(量的緩和の縮小)が終了し、「利上げはいつになるのか?」が意識され始めた頃です。

下の図3にもある通り、2014年10月のNYダウの安値は15,885ドルなのですが、実は、足元のNYダウがこの水準を下回ると、買戻しが入るという動きを度々見せています。つまり、NYダウは利上げが意識されはじめた頃の水準まで調整し、下値の目処となっている可能性があるわけです。一方の日経平均と中国上海総合指数は、その後の金融緩和の貯金もあって足元の株価は当時よりもかなり高い位置にあります。

(図3)直近と2014年10月との株価指数比較

(出所:Bloombergデータを元に筆者作成)

ちなみに、独DAX指数も日経平均や上海総合指数と同じ状況です。こうして株価指数を比較すると、金融政策の方向性の違いが如実に現れていることがあらためて確認できます。利上げを織り込んだと思われる米国株市場は、ファンダメンタルズが堅調であればしっかりした動きになると思われますが、その他の市場は引続き、米国の利上げと(特に新興国への)影響への観測に左右されやすい地合いが続く可能性が高そうです。

ですので、日経平均は図2にもある通り、26週移動平均線と52週移動平均に挟まれた範囲で動く展開がメインシナリオとなり、20,000円水準まで戻す可能性も残っていますが、さらに上値を試すには相場のセンチメントの改善が必要で、少し時間が必要になると思われます。逆に、相場が荒れ模様となり、再び52週移動平均線を下振れた際には、昨年10月末の日銀緩和前の高値水準となる16,500円ぐらいが下値の目処として意識されそうです。

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