11年6月中間期に23%減益、国内の信用引き締めや鉄道投資減速が逆風に

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00390 中国中鉄股フン有限公司(チャイナ・レールウェイ)  2.24 HKD
(09/01現在)
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中国中鉄の2011年6月中間決算は、売上高が前年同期比13.8%増の2145億3000万元、純利益が同22.5%減の24億8700万元(国際会計基準)にとどまった。新規受注の減少や建設工事のペースダウン、決済までの期間延長、さらに国内の信用引き締めを受けた財務コストの増大などが業績悪化の背景。さらに、ポーランドの高速道路建設プロジェクトをめぐる損失計上も響いた。同期にはさらに、キャッシュフローの悪化がみられ、BOCIはこの点を注視していく必要があるとの見方。短期的には同社を取り巻くマイナス材料の解消には期待しにくいとし、支援材料にも欠けると指摘している。また、中間期末の対外借入残高は昨年末比で34.45%増となる1120億7700万元。BOCIは売上高、粗利益率予想を下方修正した上で、財務コストに関する想定値を上方修正し、同社A株(中国会計基準に基づく)の11-13年の予想EPSを0.291元、0.334元、0.382元に引き下げた。ただ、現在株価はすでに業績悪化見通しを織り込んだとみて、同社株価に対する中立的な見方を据え置いている。

インフラ建設部門の上期の粗利益率は前年同期を0.55ポイント下回った。主に設計変更などのプロジェクト内容の調整や、国内の信用引き締め(一部プロジェクトの資金ひっ迫に伴う進ちょくの遅れやコスト増を招いた)、ポーランドA2高速道路プロジェクトをめぐる損失計上などが背景。ポーランド事業の損失は6月末までに5億5000万元に達した。その他部門に目を向けると、調査・設計・コンサルティングの粗利益率は人件費抑制などで3.19ポイント改善。エンジニアリング・部品製造部門の粗利益率は高利幅製品のウエート拡大を追い風に2.74ポイント上昇した。また、不動産開発部門の粗利益率はプロジェクトの時期やロケーション、採算性などの要因から、8.75ポイントの幅で大きく改善した。

鉄道部のトップ人事の刷新や最近の高速鉄道事故を受け、中国国内ではすべての地域で鉄道投資がペースダウンしている。1-7月の鉄道インフラ投資は2834億元と、前年同期比2.5%減少したが、BOCIは下期に一段の減速を予想。鉄道システムの安全性調査が終了するまで、向こう6-12カ月にわたって各プロジェクトが全面的にスローダウンするとみている。鉄道建設市場における同社シェアは拡大傾向を示したものの、上期の関連受注額は前年同期比92%減。実際、上期に行われた鉄道建設プロジェクトの入札規模はわずか317億3000万元と、前年同期の7%程度にとどまった。同社はうち176億7000万元分を獲得し、55.7%のシェアを確保している。

また、信用引き締めや鉄道部を取り巻くトラブルを背景に、同社全体の上期の新規受注は前年同期比35.9%減の2387億元だった。6月末時点の受注残は昨年末比1.2%増の9779億9000万元。うち8575億元をインフラ建設部門が占めた。