先週金曜日(4月10日)の取引時間中、約15年ぶりとなる2万円台乗せを見せた日経平均ですが、今週に入ってからは、引続き「再びの2万円台乗せ」を視野に捉える水準にありながらも、やや膠着感の強い展開が続いています。下の図1を見てもお分かりの通り、4月9日(木)の終値は19,937円となり、15年ぶりとなる「日経平均2万円台」回復までいよいよ目前に迫っています(実際に、翌10日の取引開始直後に2万円をつけました)。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き(4月16日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図1を見てみますと、気になるポイントは次の2点です。

  • 5日移動平均線が意識されているっぽい
  • 2万円をつけた日(10日)のローソク足が陰線になっている

とりわけ、②についてですが、前日(9日)のローソク足との組み合わせは「かぶせ線」と呼ばれる格好になっています。かぶせ線とは、前日の陽線を受けて、当日の始値が前日の終値よりも高く始まったけれども、結局、終値が前日の陽線の範囲内にかぶさる格好で陰線となったパターンのことです。かぶせ線が高値圏で出現すると、買いの勢いが弱まって相場転換のサインになることが多いとされています。かぶせ線がなぜ弱気のサインになるのかは、二本のローソク足を合成してみると、理解しやすいかと思います(下の図2)。

(図2)「かぶせ線」とローソク足の合成

確かに、二本のローソク足を合成すると、上ヒゲの長い線となり、「高値をつけたけど、売りに押されているのでは?」とみることができます。注目したいのは、「かぶせ」の度合いで、当日の陰線がどこまで前日の陽線に食い込んでいるかです。特に前日の陽線の中心以下までかぶさった場合は要警戒なのですが、あらためて図1を見てみますと、そこまで食い込んではおらず、かぶせ線としては、比較的強くはない売りサインと言えそうです。とはいえ、買いの勢いが弱くなっている印象は拭えず、その後の上値が切り下がっています。

相場の勢いは、「値動き」と「出来高」で把握しますが、「出来高は株価に先行する」とも言われていますので、別のチャートでも確認してみたいと思います。下の図3は、上段が日経平均、下段が「ボリュームレシオ」と呼ばれる出来高に着目したテクニカル指標です。

(図3)日経平均(日足)とボリュームレシオ(14日間)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ボリュームレシオとは、一定期間のうち、株価が上昇した日の出来高合計と、下落した日の出来高合計を比べて%表示したものです。マーケットスピードにおける一定期間は、14日間が基本設定になっています。

ボリュームレシオの計算式(ボリュームレシオ1)

※マーケットスピードでは、14日間が基本設定です。

ボリュームレシオが100%ということは、上昇日と下落日の売買拮抗を意味しています。日経平均の上昇基調は今年の1月半ばから始まりましたが、図3を見ると、3月あたりからのボリュームレシオが低下傾向となり、4月に入ってからは100%水準の推移が続いています。「過熱感なく相場が上昇してきた」とも考えることができますが、株価の上昇ピッチからするとやや違和感があります。また、株価は小休止の段階を経ながら上昇していますが、次第に上昇期間と上昇幅が小さくなっていますので、買いの勢いが弱まりつつあると考えるのが自然と思われます。

16日の取引終了時点のボリュームレシオは138%で、やや持ち直した格好ですが、引続き買いの「粘り腰」に期待したいところです。