11年6月中間決算は予想を上回る6.3%増益、売り上げシェアが安定化

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00941 中国移動(チャイナ・モバイル)  75.15 HKD
(08/19現在)
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チャイナ・モバイルの2011年6月中間決算は、純利益が前年同期比6.3%増の613億元と、市場コンセンサス予想およびBOCI予想(597億元)を上回った。傘下の上海浦東発展銀行(600000)から得られた持ち分利益20億元を除外した場合の同期純利益が、ほぼBOCI予想に沿う数字となった。また、売上高は同8.8%増の2501億元と、BOCI予想(2500億元)通りの水準。ARPU(加入者1人当たり月額収入)は1-3月期の67.0元から4-6月には72.2元に上向き、中間期には69.4元だった。さらに音声通話料の「価格弾力性」は4-6月期に-0.09に縮小した。これはMOU(加入者1人当たり月額通話時間数)の年間増加分を1分当たり音声収入の減少分で割った数字。引き続きマイナス圏にとどまったが、音声通話料値下げによる効率の改善をうかがわせている。

6月中間決算の中で注目すべきポイントは、チャイナ・モバイルの携帯電話サービス収入の国内シェアが安定推移したこと。同社シェアは1-3月期に75.9%、4-6月期に76.4%だった。BOCIによれば、他のキャリア2社がより魅力的な3Gサービスや携帯端末のオファーを通じてハイエンド・ユーザーの争奪を目指す中、同社がその影響を最小限に抑えたことを意味する。実際、同社経営陣も同様の見方を示し、高額ユーザー(ARPUが120元を超えるグループ)向け売上高が10%増と、低額ユーザーとほぼ同レベルの伸びを示したことを明らかにしている。

一方、中間期の設備投資は618億元と、前年同期の615億元からほぼ横ばい推移した。うち「インフラネットワーク」に分類されるワイヤレス基地局および無線LAN関連の設備投資が28%増。BOCIはこうしたトレンドが今後も続くと予想。同社が事前に示した通期の設備投資予算(1324億元)を維持した場合、下期にはうち356億元が基地局およびその他の無線アクセスネットワークに振り向けられるとみている。この点は中興通訊(00763)、京信通信(02342)など設備プロバイダーの追い風となる見通しという。このほかトランスミッション/バックホール向けの設備投資予算は11年通期に140億元減少する見通しだが、BOCIはこの分は親会社が肩代わりするとの見方。親会社は光バックボーンおよびトランスミッションネットワーク開発に向け、傘下のチャイナ・レールコムに150億元に出資するとの情報が伝わっている。また、ITおよび支援システム向け投資は下期に47%拡大する見通しという。

BOCIは中間決算発表後にチャイナ・モバイルの目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。下期にも予想される4Gデータカードの導入やiPhoneの投入が、同社の再評価につながる可能性を指摘している。また、通信キャリア3銘柄の中で同社を選好し、以下、チャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)の順に評価するとしている。