11年6月中間決算は25%増益、生産コスト高騰が懸念材料

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02899 紫金鉱業集団股フン有限公司(ズージン・マイニング・グループ)  3.71 HKD
(08/11現在)
 株価
 企業情報
 チャート

紫金鉱業集団の2011年6月中間決算(中国会計基準)は、売上高が前年同期比18%増の158億5200万元、純利益が同25%増の31億4900万元(EPSは0.144元)。粗利益率、営業利益率、純利益率はそれぞれ36.2%、29.5%、20.0%に上向いた。また、4-6月期の売上高、純利益は前四半期比で12%、58%増加し、粗利益率は36.5%と、2.0ポイント上昇。金精鉱や銅精鉱、銅カソード、鉄精鉱の販売増が4-6月期の好業績を支えた。BOCIは今後のコスト圧力の増大を見込み、生産コストに関する想定値を4-5%の幅で増額修正。これに伴い、11-13年の利益見通しを5-6%下方修正した。ただ、このところの株価下落を理由に、株価の先行きに対して強気の見方を継続した。

中間期には金塊、金精鉱、金加工品の平均販売価格が前年同期を20-22%上回る水準に達した。販売量は8-11%の幅で減少したが、これは金相場が高騰する中、同社が低グレードの金鉱石を加工用に回し、外部向け販売量を抑えたためで、予想の範囲内。3品目の粗利益率は1.8、1.1、0.1ポイントの幅でそろって上向いた。

一方、銅部門では銅カソード、銅精鉱の平均販売価格が23-24%上昇したが、うち銅カソードの販売量は本拠地・紫金山での生産規制を背景に81%急減。一部鉱山の閉鎖や稼働率低下で、銅カソードの生産コストは139%増大し、中間期の粗利益率は前年同期の60.3%から22.7%に急降下した。このほか、亜鉛塊、亜鉛精鉱の販売価格は1-5%上昇し、販売量はそれぞれ37%増、20%減。ただ、上期の貴金属生産量は全般に堅調で、BOCIは11年通期の生産目標を達成する可能性が高いとみている。 上期にはインフレや人件費高騰、エネルギー費用増大でコスト圧力が高まり、金製品の生産コストは前年同期比12-22%増加した。BOCIは金塊、金精鉱、銅精鉱の生産コストが予想以上のペースで増大しているとし、コスト想定値を4-5%増額修正した。 金販売収入が同社の売上高に占める割合はかつて80%強の水準にあったが、上期には62%と、前年同期の66%から一段と低下した。これが産金銘柄としての同社の評価を後退させているが、BOCIは引き続き生産量・埋蔵量の両面から国内最大手の地位を維持するとの見方。江西銅業(00358:金販売量の売上構成比は10%以下)などの非鉄銘柄との比較において “ゴールドプレミアム”に値すると指摘している。 透明性やコーポレートガバナンスの欠如が懸念される中、同社は11年度から資源量・埋蔵量に関する国際基準の豪JORC規程を適用する。BOCIはこの点を前向きに評価。 同社のAH株の価格差は87%(直近株価はH株3.71HKドルに対してA株5.72元)と、2009年4月以来最大の水準に達した。BOCIはH株株価の低調の理由として、◇適切な買収対象が見当たらないこと◇資源量・埋蔵量に関する透明性の欠如◇鉱山の安全性問題――などを指摘している。