10月最終週となった今週の日経平均ですが、週初は上値が重たかったものの、順調に戻り基調を辿っていると言えます。木曜日(10月30日)の取引終了時の終値は15,658円となりましたが、以前にも紹介しました「三空叩き込み」で空けた「窓」を埋め、さらに、急落した値幅の半分の水準も回復しています。「半値戻しは全値戻し」という言葉もあり、引続き、戻り基調の持続に期待したいところです(図1)。
(図1)直近の日経平均(日足)の動き
同じく、足元の状況を一目均衡表でも確認してみますと、いわゆる「雲」に沿った値動きが続いた後、ようやくその雲の中に突入しはじめた状況です。前回も触れた通り、雲の上限および下限が値動きの目処となっています(図2)。直近の雲の上限は16,000円水準のため、ここまで戻ってくれれば理想的ですが、今回はこの雲に注目してみたいと思います。
(図2)日経平均(日足)の一目均衡表チャート
一目均衡表の雲は、「先行スパン1」、「先行スパン2」と呼ばれる2本の線で囲まれた部分です。先行スパン1は、基準線と転換線の中心値段(基準線と転換線の合計÷2)を26日分未来にずらして描いたもの、また、先行スパン2は、直近52日間の高値と安値の中心値段を同じく26日分未来にずらして描かれています。
2本それぞれの線の算出期間の違いからも分かるように、先行スパン1の方が、先行スパン2に比べて相場変動の影響を受けやすい線となります。そのため、比較的長めの一目均衡表を眺めると、先行スパン2の動きは先行スパン1よりもなだらかです。イメージとしては、先行スパン1と先行スパン2の関係は、期間が短い移動平均線と長めの移動平均線の関係に近いものがあります。
つまり、一口に雲と言っても、先行スパン1が上限(下限)となる雲と、先行スパン2が上限(下限)となる二種類の雲が存在することになります。先ほどの移動平均線のイメージに沿うならば、短期線である先行スパン1が上限となっている時は堅調地合い、逆に下限になっている時は軟調地合いと考えることができます。そして2本の線が交差するところが、いわゆる「ゴールデンクロス」、「デッドクロス」に相当します。一目均衡表では、この交差するポイントを「ねじれ」と呼び、相場の流れが変わる「変化日」になりやすいと言われていますが、2本の先行スパンの位置関係を移動平均線のイメージで捉えると、ねじれが変化日とされる理由が何となく理解できます。
再び図2に視点を移すと、足元の雲は先行スパン1が上限となっているため、堅調地合いの雲と言えます。ただ、そのしばらく先にねじれがあり、その後は先行スパン1が下限となる軟調地合いの雲が広がっています。そのため、できればこのねじれを迎える前に日経平均が雲を上抜けしたいところです。
実際に、年初の急落時を振り返ってみますと、急落後の戻り局面で、雲を上抜けできずにねじれを迎え、以降は先行スパン1が下限となる軟調地合いの雲が抵抗帯(レジスタンス)として機能し、日経平均が再浮上するまでに時間がかかる展開になりました(下の図3)。
(図3)年初の急落時の日経平均(日足)の一目均衡表チャート
ちなみに、ねじれがある日は11月20日ですが、その直前の11月17日には、10%への消費税率引き上げ判断の重要材料とされる、7-9月期の国内GDPの発表されるタイミングでもあります。
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