8月2日 H株「中立」、A株「中立」
生保保険料収入の伸びに不透明感、中立見通しを継続
本土系保険銘柄は株式相場の回復を背景に、ここ1カ月反発する展開となったが、BOCIは保険セクターのファンダメンタルズにはほとんど変化がないとの見方を示している。国内保険業界では損保部門が4-6月期も安定成長を維持する一方、生保部門ではバンカシュアランス(銀行窓口販売)の低迷が保険料収入に大きく影響している。BOCIは保険商品の収益率改善には時間がかかるとし、保険料収入の伸び悩みが続く可能性を指摘した。また、2011年6月中間決算については、生保最大手の中国人寿保険(02628)が前年同期比8.5%の減益となる一方、中国平安保険(02318)、太平洋保険(02601)、中国人民財産保険(02328)はそれぞれ同28%、38%、39%の増益を確保すると予想。H株保険セクターに対して中立的な見方を継続している。
中国保険監督管理委員会(CIRC)によると、今年上期の国内全体の保険料収入は前年同期比13%増の8,056億6,000万元だった。うち損保は同16.9%増の2,359億6,000万元、生保は11.4%増の5,697億元。ただ、BOCIは新たな会計基準に基づくCIRCの最新統計が、保険料収入の先行き不透明感を示唆しているとの見方だ。
主要3銘柄はこのほど、上期の業務統計を発表したが、生保部門の保険料収入にはほとんど改善がみられなかった。6月末の市場金利の急上昇が保険商品需要にマイナス影響を及ぼしたことが一因。また、4-6月期には大手保険会社の新規バンカシュアランス業務がマイナス成長を示し、バンカシュアランス経由の業界全体の保険料収入が1-3月期を下回った可能性も浮上している。個別では中国人寿保険の保険料収入が上期に前年同期比6.5%増の1,955億元と、引き続き減速傾向。6月単月では290億元と、前月比では相対的に高水準に達したものの、前年同月比の伸びはわずか1%にとどまった。
中国人民銀行(中央銀行)が7月に追加利上げを実施した影響で、保険各社の投資収益率は上向く見通しとなったが、その半面、保険料収入の伸び悩みがさらに鮮明となる可能性が出てきた。BOCIはこうした状況から、利上げによる保険セクターへの影響を中立的とみている。
資金調達状況による影響で、債券イールドカーブは一段とフラット化している可能性がある。一方、大手国有企業の債券発行高が上限(純資産の40%)に接近していることや、国家発展改革委員会による長期債発行債認可の遅れで、保険各社にとっては長期債での資産運用が難しくなっている。BOCIは長期債の需要・供給が低調に推移していると指摘。また、債券および預金利回りがこの先上向く可能性を指摘しながらも、株式投資利回りの先行きに対しては慎重見通しを明らかにしている。
BOCIは引き続き中国平安保険をトップピックとしているが、太平洋保険の6月中間決算が中国平安保険を上回ると予想。太平洋保険の短期的な投資チャンスを指摘している。
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