11年6月中間期に大幅増益達成、鉄道事故による影響は限定的か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01766 中国南車股フン有限公司(チャイナ・サウス・ロコモーティブ・アンド・ローリング)  5.14 HKD
(08/08現在)
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中国南車の2011年6月中間決算(中国会計基準)は、売上高が前年同期比42.4%増の401億2,700万元、純利益が同85.1%増の20億4,500万元に達した。EPSは同88.9%増の0.17元。粗利益率は前年同期を1.46ポイント上回る17.89%だった。同期の大幅増益を後押ししたのは、電車車両(EMU)製造事業の急成長。北京-上海間高速鉄道の開通に伴い、同部門の売上高は101.9%増の100億680万元を記録した。また、中間期末の手元受注残は1,000億元で、この先一段の増加が見込まれている。BOCIは12月通期のEPSが0.35元に達するとの見方。目標株価を引き下げながらも、同社株価に対して強気の見通しを継続している。

中間期にはほかに、機関車部門が37.8%、貨物車部門が41.0%の増収を確保した。地下鉄車両部門は16.2%の減収となったが、BOCIは同社の受注残が高水準に上ることを指摘。この先、地下鉄車両ビジネスの売上高が上向く見通しを示している。6月末の受注残高1,000億元のうち、およそ500億元はEMU部門(うち113億元は合弁会社BSTの受注)。海外受注残も約120億元を占めた。7月23日に発生した高速鉄道事故によるマイナス影響は今のところ軽微で、足元の新規受注は好調に推移している。また、中間期には海外の売り上げ貢献が前年同期比138.2%増となる24億5,800万元を記録。同社の海外事業拡大戦略の有効性を示した。

7月23日に浙江省温州で発生した高速鉄道事故について、上海鉄道当局は信号システムの故障に起因するとの見方であり、車両そのものの事故への影響を否定している。この事故の後、鉄道部の盛光祖・部長は鉄道建設プロジェクトの工期短縮を厳しく禁止。今後は段階的に鉄道建設を進めていく方針を示しており、高速鉄道計画はこの先、明らかにペースダウンする見通しとなった。BOCIは鉄道建設サイクルの長期化で、EMU需要がある程度減速するとしながらも、「鉄道部のスタンスをみる限り、高速鉄道計画が棚上げされる事態は考えにくい」と指摘し、同社の機関車需要が萎縮する可能性も低いとの見方。長期的にみれば、国内鉄道設備業界の成長潜在力は依然大きいとみている。なお、鉄道部の発表によれば、中国国内では昨年だけで上海-昆明、合肥-福州、大連-アモイ、雲南-桂林、蘭州-新疆ウイグル自治区の高速鉄道(総延長8,100キロメートル相当)が着工した。

BOCIは鉄道部の反汚職キャンペーンや先ごろ発生した大事故が長期的な鉄道開発計画に影響する可能性は低いとしながらも、建設ペースのスローダウンを予想。これに伴い、同社の向こう2年間の成長率が50%から30%前後に減速する見通しを示した。また、増資を反映させる形で、12-13年の予想EPSを下方修正している。