前回、「鯨幕(クジラまく)相場」が継続するかに注目と紹介しましたが、日経平均週足チャートを見てみますと、木曜日(17日)の取引終了時点では、ローソク足は陽線となっており、鯨幕相場は継続中でした。ただし、翌18日(金曜日)の日経平均は海外市場の流れを受けて一段安で始まり、鯨幕相場はひとまず崩れそうな格好です(図1)。

(図1)日経平均のチャート(週足)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

鯨幕相場が意味するところは、相場の先行きに対して見方が分かれてもみ合っている結果、売りと買いのローソク足が交互に出ているため、次の展開に向けて市場がエネルギーを溜めつつあると考えられています。ただし、鯨幕相場が途切れつつあるとはいえ、前のローソク足の範囲内に収まっており、まだ新たな局面に入ったとは判断できません。

一方で、このローソク足の形は始値と終値がほぼ同値の「十字足」と呼ばれ、相場が転換する際によく表れる形ですので注意が必要とされていますが、いつものように、ローソク足を合成してみると、図2のように、ごく普通の陰線になりますので、ひとまず先週末の水準まで下押しし、いったん様子を見ている状況と考えた方が自然です。

(図2)日経平均(週足)のローソク足合成

さらに、日足のチャートで見てみます。フォーメーション分析の視点からは、三角保ち合いを形成しつつあります。しかも下値が切り上がる形の「上昇三角形」型で、先行き強気となるケースが多いとされています。次に日経平均が目指すのは、以前にも触れた1月23日~24日に空けた「窓」埋めですが、チャートの形状からはこの「窓」を埋めるべく、エネルギーを溜めているように見えます(図3)。

(図3)日経平均チャート(日足)の「三角保ち合い」と「窓」

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

日経平均の上昇基調は5月下旬から始まりましたが、東証1部の売買代金が2兆円を下回る日が多く、エネルギー蓄積のためにもうしばらく保ち合いが続くことが必要となりそうです。ただし、地政学的な事情を背景とした海外市場のリスクオフムードの流れを受けて、18日の取引開始直後の日経平均は保ち合いの下限水準に位置しており、このまま保ち合いを維持・形成していけるかどうかが焦点になります。

再び株式市場はリスクの「オン」と「オフ」を意識しながらの展開になると思われますが、そもそも今回のリスクオフムードは一時的なもので収拾するのか、売り局面で下値を拾う動きが出てくるのか、また、これから本格化する決算発表シーズンで売買が増えてくるのかなど、来週の注目ポイントは多く、トレンドを掴むのは難しそうです。そのため、先程も紹介したローソク足の合成など、値動きから市場心理を読んでいくことが中心となりそうです。