今週は、いよいよ「新成長戦略」と「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」が閣議決定されるというビッグイベントがありながらも、株式市場に目を向けると、大きな動きのない微妙な展開が続いています。先週も触れたように、日経平均・TOPIXの日足チャートが1月23日~24日にかけて空けた「窓」埋めに差し掛かったところで膠着感が強まっている印象です。目先は短期のトレンドラインを維持できるかが注目されます(下の図1)。

(図1)日経平均(日足)チャートとトレンドライン

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

膠着感といえば、相場のトレンドを見ていくテクニカル指標がいくつかある中で、今回は「平均足」というのを見て行きたいと思います。「足」という言葉が付いている通り、見た目はローソク足と同じような感じです。下の図2は、上段が日経平均のローソク足、下段が平均足のチャートになります。

(図2)日経平均(日足)の「ローソク足」と「平均足」

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ローソク足も平均足も同じような値動きを辿っていますが、平均足の方は「窓」空けがなく、陽線と陰線の連続性があり、ローソク足に比べてトレンドの方向性が見やすくなっているかと思います。実際に平均足は「コマ足」とも呼ばれ、隠れファンの多い指標でもあります。

ローソク足と平均足の最大の違いは、「実体」と呼ばれる部分の決まり方です。ローソク足は当日の四本値(始値・高値・安値・終値)を元に作成されます(下の図3)。始値と終値で「実体」を形成し、高値と安値が上下に伸びる「ヒゲ」となります。

(図3)ローソク足

ローソク足が当日の値動きをそのまま表しているのに対して、平均足では当日の値動きに加えて、前日の値動きも考慮に入れて作成されます。

(図4)平均足

上の図4を見ると、ローソク足の始値にあたる部分が、前日の実体の半分の値(中心値)になります。そのため、平均足では当日のスタート位置は必ず前日の実体の半分のところになります。平均足で「窓」空けが発生しないのはそのためです。

そして終値にあたる部分は、当日の四本値の平均値になります。つまり、平均足の実体は、当日の値動きの平均値と前日の上昇(下落)幅の中心値を比べたものということです。なお、平均足の高値と安値のヒゲはローソク足と同じになります。

平均足の考え方としては、「値動きの中心線とその強弱に加え、高値と安値の幅も分かる移動平均線の発展版」といったイメージです。また、ローソク足では、天井圏で長い上ヒゲが出ると、あまり良くないサインですが、平均足では逆に良いサインとされるなど、平均足独特の見方がありますが、折に触れて紹介したいと思います。ローソク足との形が似ているがゆえに、慣れるまで少し紛らわしいかもしれません。

平均足を使って足元の状況を見ると(下の図5)、ローソク足の始値にあたる部分を結んだ線がほぼ横ばいで、しかも実体の強弱も出ず、高値と安値の幅も小さくなっており、特に6月26日の平均足はいわゆる十字足になっており、「ザ・膠着感」を地で行く格好です。

(図5)日経平均(日足)の平均足の状況

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ただし、膠着感は相場のエネルギーが溜まっている状況とも言え、どちらかに大きく振れる可能性があります。前回は6月17日に同じような十字足をつけましたが、その後は上振れとなっています。今回の十字足も冒頭でも述べたローソク足の窓埋めに行けるのかに期待したいところです。