先週は週前半19,000円を切って始まるものの、トランプ大統領の公約通りの大統領令

先週の予測では、20日(金)の就任式を終えて、株価が上昇するというような状況でもなくトランプ大統領の具体的な政策待ちとなり、日経平均もアメリカで株式、為替がどう動くのか様子見になるとしました。その場合は19,000円を切ると再度下値模索の可能性もありますが、基本は2月の「一般教書演説」まで日柄調整が続くことになるかもしれないとしました。

結果的に、日経平均は週前半こそ2日連続安となって19,000円を割り込み18,783円まで下げましたが、24日(火)からトランプ大統領は選挙前に公約していた事案の大統領令に署名して政策を打ち出してきました。その結果、アメリカ株式は3指標とも史上最高値を更新し、NYダウは2万ドルを突破してきました。これを受けて25日(水)からの日経平均も大幅反発となり、週末は19,467円と3日間で600円をこえる大幅上昇となりました。

23日(月)は、20日(金)のトランプ大統領の就任演説で具体的な経済政策は示されず保護主義的な主張が目立ったことで、為替が1ドル=113円台の円高にふれ、日経平均は▼246円の18,891円と4日ぶりの反落となりました。24日(火)も為替が一時1ドル=112円台の円高となったことを嫌気し▼103円の18,787円と2日続落でした。

しかし、引け後のアメリカ市場でトランプ大統領が米・加国境をまたぐパイプライン建設推進の大統領令に環境問題を無視して署名し、これが大型インフラ投資への期待を高めNYダウは△112ドルの19,912ドル(S&Pとナスダックは史上最高値更新)となりました。これを受け、25日(水)の日本市場は、為替が1ドル=113円台の円高のままにもかかわらず△269円の19,057円と19,000円台を回復しました。さらに引け後のアメリカ市場で、メキシコの国境への壁をつくることに着手すると発表したことも景気回復期待を高め、NYダウは△155ドルの20,068ドルと史上最高値を更新し、初の2万ドルのせとなりました。26日(木)の日経平均もこれを好感し△344円の19,402円と大幅続伸となり、3カ月ぶりに19,400円台を回復しました。週末の27日(金)もNYダウの史上最高値更新や一時1ドル=115円台の円安を好感して19,486円まで上昇するものの、2日間の大幅上昇の後ということと週末要因もあって△65円の19,467円で引けました。

27日(金)のアメリカ市場は、2016年10-12月期GDP(速報値)が予想の+2.2%を下回る前期比+1.9となったことや、個別企業決算で石油大手シェブロンの株価が大幅安となったことが嫌気され、NYダウは▼7ドルの20,093ドルと4日ぶりに反落しました。シカゴの日経先物は△10円の19,470円でした。

 

今後の為替動向と日経平均

為替は、昨年の12月16日(金)に、トランプラリーによって1ドル=118.66円までドルが買われたあと、その反動でドル売りとなり、1月24日(火)に1ドル=112.53円まで下げていました。先週のトランプ大統領の14件にわたる大統領令への署名を受けて、アメリカの景気回復期待が高まり株式市場は年初来高値更新となり、ドルも27日(金)は1ドル=115円台をつけました。先週は4日連続で円安が進み日経平均もこれにつれて上昇したと考えられます。アベノミクス以降のチャートをみてわかりますように、日経平均とドル・円チャートは同じ動きとなっており、今後も為替の動き次第ということになりそうです。

先週ドル高となったキッカケは、トランプ大統領が選挙前の公約通りの大統領令に署名したことですが、特にアメリカとカナダのパイプライン工事が環境問題で止まっていたのを「材料はアメリカ企業から買わなければいけない」という条件付でスタートさせたことがきっかけとなりました。今後のインフラ投資も現実性を帯び、アメリカ経済が拡大する期待からドルが買われたと考えられます。これで再びドル買いが復活するのかどうかはまだわかりません。このままドル買いが復活すれば日経平均も1月5日(木)の19,615円を突破して2万円が視野にはいるところですが、財務長官は「ドルは長期的には強さが必要だが短期的には強すぎる」というような発言をしており、また、トランプ大統領が突然ドル安誘導を始める可能性もあります。一方で、イエレン議長は利上げに前向きでドル高要因ですので、為替の方向性が定まらないことになります。日本の株式市場は円高に弱い市場となっていますので、目先の為替の動きをみてドル高・円安へ動いた時に飛び乗ると、トランプ大統領の発言でひっくり返される可能性があるということを念頭においておく必要があります。1日で為替が大きく円高にふれるような発言があれば日経平均もそれに連動しますので、短期売買の人にとっては難しい相場になってくるかもしれません。

 

今週は決算シーズンの中、様子見でもみあいへ

アメリカ市場でトランプラリーが続かなければ、今週の日本市場は様子見となってもみあいとなりそうです。先週末のアメリカ市場では2016年10-12月期のGDP速報値が+1.9%と市場予想の+2.2%、前期の+3.5%をやや大きく下回り、アメリカ株式の3指標はマチマチの動きとなりました。為替も一時1ドル=115円台にのせましたが、114円台へ円高ドル安の動きとなっています。また、日経平均は先週の半ばからの3日間で約680円上昇しており、目先利益確定売りが出やすいところです。柴田罫線では1月17日(火)に18,813円で売転換となって18日(水)の18,650円まで下げ、もみあって24日(火)の18,783円を2点底にして26日(木)に19,402円で再度の買転換となっています。この場合は、1月5日(木)の19,615円を突破できれば2万円が視野に入るところですが、日経平均の上昇は為替次第となっていますので、円安が進行しないようだと目先の下値は18,650円、上値は19,615円のレンジの中で19,000~19,500円のもみあいとなりそうです。

1月30日(月)は、先週末のアメリカ株式がマチマチの動きとなり、先週の半ばから3日間の上昇で約680円上昇していることで利益確定売りも出やすく、やや円高になっていることも重しとなり▼96円の19,371円と売り優勢で寄り付き、一時▼171円の19,295円まで下落し、前引けは▼144円の19,322円でした。後場になると円高一服や日銀のETF買い期待で下げ渋るものの、日銀決定会合(30~31日)、FOMC(31~1日)を控えて手控え感が強く▼98円の19,368円で引けました。

 

 

(指標)日経平均

前週の予測では、20日(金)のトランプ大統領の就任演説が想定の範囲だったことにより、アメリカ株式にそれほど勢いがありませんでしたので、トランプラリーが再現するかどうか注目とし、再現しなければ日経平均は19,000円台でのもみあいか、もしくは19,000円を切って下値もみあいになるとしました。

週始めは19,000円を切って1月24日(火)には18,783円まで下落しました。しかし1月24日(火)からのアメリカ市場では、トランプ大統領が公約していた政策を次々に大統領令として署名したことでアメリカの景気拡大期待から株式は3指標とも史上最高値を連日更新し、1月25日(水)にはNYダウは史上初の2万ドルを突破しました。これを受けて日経平均は1月25日(水)、1月26日(木)は2日連続の大幅上昇となり、週末の1月27日(金)は△65円の19,467円で引けました。

柴田罫線でみると、1月17日(火)に18,813円で短期の売転換となり、1月18日(水)の18,650円の安値をつけて19,000円台を回復するものの、1月23日(月)に再度19,000円を切って1月24日(火)に18,783円となり、アメリカ株式の大幅上昇を受けて、これを2点底に反発となり、すぐに19,000円台を回復し1月26日(木)には19,402円で再度の買転換となりました。柴田罫線では1月5日(木)の高値を終値で上回れば上放れの形となって2万円を目指すことになります。そうでなければ19,000~19,500円のレンジでのもみあいとなります。

今週は、決算が前半戦のヤマ場を迎えることもあり機関投資家は動きにくいので、トランプ政権への期待相場はあるものの決算後の反応を見極めたいムードから個別銘柄物色となる可能性があります。

1月30日(月)は、先週の3日間で600円以上の上昇からの利益確定売りもあって売り優勢で始まり、一時19,295円まで下げ、後場は下げ渋って▼98円の19,368円で引けました。

日経平均

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、20日(金)の大統領就任式演説が思ったほどインパクトがなかったことで、このままこれまでのトランプラリー再現となるか注目としました。政権の対応を見極めるためにももみあいを想定しました。

柴田罫線では、1月19日(木)に短期の売転換となっていましたが、これは就任式を控えて下げ過ぎからのダマシの可能性があるとし、反発して「ろあ買」という再度の買転換となって2万ドルを突破していく可能性もあるとしました。

結果的に、トランプ大統領は公約していたことを次々と大統領令として署名したことでアメリカ株式は3指標ともに史上最高値を更新し、NYダウは1月25日(水)に20,068ドルと初の2万ドルにのせて再び買転換出現となりました。週末は4日ぶりの小反落となって▼7ドルの20,093ドルでした。

先週は、次々と大統領令に署名し、アメリカ経済の景気拡大期待から株価は史上最高値更新しているものの、具体的な財政政策については言及されていませんので、様子見ムードも出てくる可能性があります。また、1月31日(火)~2月1日(水)のFOMCでイエレン議長の今後の利上げについて、どのような声明文となるのか注目するところです。物色は引き続き主要企業決算に注目となります。

NYダウ

 

 

(指標)大統領令に環境問題を無視して

今週は、トランプ新政権に対する期待と不安が入り交じる中、トランプ大統領の「ドルは高すぎる」と発言する反面で、財務長官は「ドルは長期的な強さが必要」と発言しており、また、イエレン議長の利上げに前向きなスタンスを考えると、年初からのドル安・円高への調整場面はいったん終了する可能性があるとしました。

今週はトランプ政権の政策を受けて景気拡大からのドル買いの一方で、保護主義的な発言への懸念からドル売り、また、雇用拡大期待と通商関連への懸念と強弱が交じり合い、もみあいとなる可能性があります。しかし、少し長い目でみれば日米金利差が再び拡大することでドル買い要因となりそうです。 今週は1ドル=114~116円のレジを想定。

柴田罫線では、1ドル=117円を突破してこなければドルの買転換とはなりませんので、しばらくはもみあい状況が続くことになりそうです。

大統領令に環境問題を無視して