工業・情報化部の前副部長が「党組書記」に就任へ、政策リスクの軽減に期待

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00941 中国移動(チャイナ・モバイル) 71.55 HKD
(06/30現在)
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中国工業・情報化部の前副部長、奚国華(Xi Guahua)氏がチャイナ・モバイルの経営陣に加わる可能性が伝えられたことについて、BOCIは前向きの見方を示している。通信キャリア最大手のチャイナ・モバイルに不利となる「不均衡措置」(中小キャリア救済措置)が導入される可能性がくすぶる中、奚氏の要職就任が政策リスクに関する市場の警戒感を後退させるとの見方。『人民日報』紙の報道によれば、奚氏はチャイナ・モバイルの「党組書記」職に就任する見通しという。

中国国内では現在、海南市と天津市の2都市限定で番号ポータビリティ制のトライアルが行われているが、工業・情報化部はすでにこのトライアル期間を延長。現在のところ、ポータビリティ制を他都市に広げる計画はないとしている。番号ポータビリティ制はハイエンド市場における通信キャリア間の競争激化につながる可能性が高く、BOCIは同市場で独占的なシェアを持つチャイナ・モバイルにとって、この情報はプラスになると指摘している。

同社は現在、第4世代(4G)の独自規格TD-LTEの開発を進めており、今年末までに主要6都市で同ネットワークを導入する計画。技術面の成熟度がまだ低く、BOCIは政府による支援がTD-LTEの成功のカギを握るとみている。

一方、同社にとってのリスク要因は、より成熟度の高い通信規格を運用する同業2社との競争。同業2社は携帯端末の供給やネットワークの安定性などの面で優位にあるとの評価を得ている。また、中国政府がより規模の小さい同業2社を支援するために「不均衡措置」を導入する可能性も、引き続きチャイナ・モバイルのリスク要因になるとしている。

BOCIは奚国華氏の経営参加を通じた政策リスクの軽減に期待し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。4GのTD-LTEネットワークが稼働を開始するまで、短期的にはTD-SCDMA(3G)向けの端末供給状況が収益成長を左右する要因になるとみている。