2日間の営業で、一時16,000円割れるが終値では16,000円台守る

先週は、ゴールデンウィークの谷間の2日(月)と6日(金)の営業しかなく、不安定な動きとなって下値模索の展開としました。海外では為替が1年半ぶりに1ドル=105円台の円高となってシカゴ日経先物は15,825円をつけましたが、為替が円高一服となると週末の6日(金)は▼40円の16,106円と16,000円台で引けました。

5月2日(月)は、欧米株安や急激な円高を嫌気し一時▼690円の15,975円まで下げて終値は▼518円の16,147円でした。海外では3日(火)に中国とイギリスの経済指標の結果を嫌気し、原油も安かったことで世界経済への懸念が高まり、リスク回避の円買いとなって為替は1ドル=105.5円まで急激な円高となり、シカゴ日経先物は4日には15,815円をつけました。しかし、黒田総裁、安倍首相、麻生財務大臣の口先介入が相次いだことで、1ドル=107円台の円高一服となったことで、6日(金)の日本市場は買い先行で始まりましたが、引け後のアメリカの4月雇用統計を控えて様子見となり、▼40円の16,106円と6日続落で引けました。

6日(金)の日本市場の引け後のアメリカ市場では、4月の雇用統計は非農業部門雇用者数は予想の+20万人を下回る+16万人となったことで、いったんドル売り、株売りとなるものの失業率は前月と変わらず平均時給も予想とほぼ一致したことで、雇用統計全体としては特別に悪い結果ではないとの見方から株式市場は買い戻されてNYダウは△79ドルの17,740ドルで引けました。シカゴ日経先物も15,840円をつけて±0円の16,080円で引けていました。

 

今週は、SQを週末に控え方向感のない動きか

今週は、今月下旬に伊勢志摩サミットを控え財政投資への期待はあるものの、決算がピークを迎え週末はSQが控えていることで方向感がつかみにくいところとなります。又、4月の雇用統計は全体としてはそれほど悪くないという見方になっていますが、非農業部門の雇用者は市場が予想していた数字を大きく下回ったことでFRBの6月利上げの機運がさらに遠のいたとの見方から一時106円台半ばまで円高が進みました。目先は円高が進んでも伊勢志摩サミットを控え政府・日銀の介入期待もあることから円高一服となりそうですが、中期的には4月29日(金)のアメリカの為替政策で「監視リスト」に日本を指定したことで円高基調は続く可能性があります。

現状の110円を大きく下回る円高では、16,000円水準は買うにも売るにも中途半端な位置と思われます。現状の円高では下値抵抗ラインは15,500円、15,000円、14,800円(2月12日の安値14,865円)となります。

柴田罫線では、5月2日に16,147円で売転換となったことでチャートでは終値ベースで15,700~17,600円のボックス圏に入った形であり、このボックスの下限の15,500~15,700円のゾーンが1つ目の買いゾーンとなります。このゾーンを切って15,000円を試すのは為替の円高が105円を切るかどうかにかかってきます。海外で大きな悪材料が出なければ5月末に伊勢志摩サミットを控えており、今週は方向感のない動きとなっても来週ぐらいからは財政投資への期待から戻りを試す動きになる可能性があります。その場合でも、追加の金融緩和がなければ16,700円水準からは上値は重くなります。

5月9日(月)は、ゴールデンウィーク明けの相場でしたが、これまで6日続落で合計1,465円下げていたことや、先週末のNY株高や円高一服を受けて、△119円の16,226円と自律反発して始まりました。一時△186円の16,292円まで上昇するものの、上げ幅を縮小し△52円の16,159円まで押し目を入れました。その後は値頃感から買い戻し優勢となって△109円の16,216円で引けました。ただし、出来高17億1,849万株、売買代金1兆7,317億円と薄商いの中の自律反発でした。

 

アメリカの為替政策の「監視リスト」はドル安政策の表明

米財務省は主要貿易相手国の為替政策を分析した報告書を公表し、その中で日本を「監視リスト」に初めて指定し、政府高官は「円高・ドル安が続く足元の為替市場は秩序がある」と発言して日本の介入をけん制しています。これを裏返してみるとアメリカはドル安によって経済を支えるというドル安政策に転換しているということになりますので、日本が介入しても一時的なものになる可能性があります。アベノミクスの基本である円安・株高は難しい状況に陥ることになり、日本経済を成長させるには内需拡大、規制緩和に目を向けなければならなくなります。そう考えると株式市場の中の動きは、為替は主力輸出株の下げすぎたものの、リバウンド狙いには建設など内需株の押し目買いが有利な投資になってきます。

ただし、海外情勢を考えると何が起こるか分からない状況(例えば6月はイギリスのEU離脱の国民投票があるなど)ですので、相場は大きな上下動を繰り返すことになります。相場の安い局面で買って上昇したら確実に利食い、再び下げを待つスタンスを繰り返すのが現在の相場で生き残る方法と思われます。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、前週末の29日(金)のアメリカ市場で日本がアメリカの為替政策の「監視リスト」に指定されたことで、106円台前半の円高となりシカゴ日経先物が▼640円の15,880円となっていたことで2日と6日だけの取引は波乱となるとしました。105台を守れなければ4月6日の安値(割値ベース)の15,715円が意識されるとしました。

ゴールデンウィークの合間の2日(月)は欧米株安と急激な円高を嫌気し暴落スタートなり、一時▼690円の15,975円まで下げ、円高一服で▼518円の16,147円で引けました。柴田罫線では売転換出現となりました。

海外では、円高が進行し5月3日(火)には原油安と世界経済を懸念し、一時、1年半ぶりに105.5円台をつけ先物も15,825円まで下げました。その後は円高一服となり107円台まで戻したことで、5月6日(金)の日経平均は買い先行で始まりました。しかし4月雇用統計を控え様子見から▼40円の16,106円で引けました。

今週は、先週末のNYダウが高く終わり6日連続安のあとだけに自律反発して始まっても戻りは弱く、週末にSQを控えていることもあり、方向感のない動きとなりそうです。5月2日に16,147円で売転換となりましたので、当面は16,700~16,900円が上値抵抗ゾーンであり、ゴールデンウィーク明けの9日(月)は、これまで6日続落(合計1,465円の下げ)となっていたことや先週末のNY株高、円高一服から△119円の16,226円と自律反発スタートとなりました。16,292円の高値をつけたあと、上げ幅を縮小して16,159円まで下げましたが値頃感から買い戻され△109円の16,216円で引けました。

日経平均

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、経済指標が予想を下回るものが多くアメリカ景気に不透明感がでてきたことで、高値圏でのもみあいとなりそうだとしました。

5月6日(金)の雇用統計が予想を上回ればドル買い、株売り、予想を下回ればドル売りとなるものの、株価はもみあいとし、レンジを17,500~18,000ドルに想定しました。

結果的には、目先の下げすぎの反動から5月2日(月)は△117ドルの17,891ドルと反発するものの、その後は世界経済への懸念、週末の4月雇用統計の様子見から反落となり、雇用統計の非農業部門雇用者数の予想が大きく下回ったことを受けて、一時17,580ドルまで下落したものの全体としては、それほど悪くないとの見方から△79ドルの17,740ドルで引けました。17,500~18,000ドルのレンジ内でのもみあいとなりそうです。

今週は、先週末の雇用統計の結果を評価する見方と、そうでない見方から株価は大きな上下動となりそうです。雇用統計の結果から6月利上げがどうなるのかヒントをえようとしていますが、今のところ6月利上げ見送りとする見方が多いものの、FRB幹部の中には6月利上げを主張するものもあります。今週も17,500~18,000ドルのレンジ内の動きを想定。

NYダウ

 

 

(指標)ドル/円

4月29日(金)に日銀の追加緩和見送りの流れの中で、さらにアメリカの為替政策で日本を「監視リスト」に指定したことで、106.28円まで円高が進行しました。これを受けて麻生財務相が手を打つと発言したことで、円高一服も想定されるが戻りは限定的としました。

結局、日本市場が休場の間にドル/円は105円台に突入した後、107円台に戻すという荒い動きとなりました。5月3日(火)には、中国やイギリスの経済指標を受けて世界的な経済悪化でリスク回避の円買いが高まり、1年半ぶりに1ドル=105円へと突入しました。しかし、麻生財務相が訪問先のフランクフルトで強い円高けん制発言をしたことで107円台まで戻し5月6日(金)は雇用統計が全体的には悪くないとの見方から107.11円で引けました。

今週は、一時1年半ぶりに1ドル=105円台の円高となりましたが、黒田総裁、安倍首相、麻生財務大臣が急激な円高に対しては介入も辞さないという口先介入したことで、円高一服となって107円台まで戻しました。今週は基本的には円高の流れにありますが、目先は105台は抵抗ゾーンとなり、多少戻りを試す可能性があります。106~109円のレンジを想定。

ドル/円