潤沢な資金を背景に高配当を維持、香港での独占的地位と本土事業の成長性を評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00511 電視広播(テレビジョン・ブロードキャスツ) 51.30 HKD
(06/13現在)
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香港市場が調整局面に入る中、TVBの株価は強含みに推移している。BOCIは同社の潤沢なキャッシュフローと事業の成長性を評価。目標株価をヒストリカル平均PER17.3倍、PBR3.7倍を基準として大幅に引き上げ、株価に対して強気見通しを継続している。

TVBは豊富なコンテンツを背景に香港の地上波放送をほぼ独占。2010年の視聴シェアは、中国語チャンネルの「翡翠」が86%、英語チャンネルの「パール」が77%に達している。10年は景気回復を背景に主要広告主の消費セクターが広告費を拡大し、地上波放送部門は過去最高の収益を記録。需要の増加を踏まえて同社は11年の広告レートを前年比6%引き上げた。独占的地位にある同社は継続的な広告レートの引き上げによる長期成長が見込まれる。BOCIは11-13年の地上波広告収入について年平均7%の成長を予想している。

地上波放送部門の10年売上高は全体の53%を占めた。同部門の利益率はコスト削減が奏功し09年の27%から44%に改善。これにより利益貢献度は44%から54%に拡大した。同社はこれまでの経験を踏まえた制作メソッドや最新設備の導入により比較的低コストでの番組制作を実現している。さらに従業員数も08年に比べ9%減らし、人件費を抑制した。

ニューメディアへの需要拡大からライセンス料が高騰し、番組放映権・配給部門の10年利益率が前年の72%から83%に上昇した。同部門の売上比率は14%、利益貢献度は26%。

同社のキャッシュポジションは27億元と潤沢な上、負債比率は4%と低く(09年は5%)、財務体制は盤石。過去10年間の営業キャッシュフローは増加傾向にあり、高い配当率を維持している。過去13年間の配当性向は60竏鈀80%の水準で推移。10年の配当額は前年比25%増の1株当たり2HKドルで、09年末の株価をベースに試算すると配当利回りは5%を超える。

今後は中国本土事業の成長が期待される。10年の中国本土売上高は前年比12%増で、総売上高の4%を占めている。中国政府はインターネット、モバイル、ペイテレビのコンテンツ拡充を積極的に推進。豊富なコンテンツを保有する同社は中国本土において番組放映権やDVDソフトの販売機会に恵まれている。ライセンス事業は利益率が高く、中国本土での事業拡大は業績に多大な好影響をもたらす可能性が高い。