四川支店の競争力を評価、中西部地域の経済成長が追い風に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01288 中国農業銀行股フン有限公司(アグリカルチュラル・バンク・オブ・チャイナ)  4.62 HKD
(05/30現在)
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BOCIは中国農業銀行の四川支店の視察を行った結果、地方部(農村部)における同行の競争力を高く評価し、今後も中部・西部地域の経済成長が追い風となる見通しを示した。地方部におけるネットワークが資金コスト面での競争力にもつながるとし、地方ビジネスの収益力が同行の今後の成長性を左右するとの見方。同行株価に対して中立的な見通しを継続している。

同行の四川支店は傘下に21のサブ・ブランチを抱え、預金、融資、拠点数、スタッフ数などで省内最大。収益性でも企業別で最高水準にある。特に省内の地方市場に強みを持ち、同市場における預金、貸付シェアはそれぞれ50.5%、48.6%。地方部での金利差はセクター平均を上回る水準にあるという。また、積極的に商品開発を進めた結果、四川支店では非金利収入も急速に拡大しており、2010年通期には前年比33%増の22億1600万元規模に達した。

また、ここ数年の垂直型リスクマネジメントシステムの構築を受け、四川支店ではリスク管理レベルも向上している。10年末の不良債権残高は126億6000万元(うち64.3%が四川大地震に起因)で、不良債権比率は08年末の14.69%から10年末には4.75%に改善した。震災による影響を除外した場合、この2年間で3.35%から1.7%に低下したことになる。なお、中国政府が進める西部大開発計画を背景に、四川省のGDP成長率は10年に前年比15.1%と、省・市・自治区別で8位の高水準に達した。第12次5カ年計画(11-15年)期間中には年率12%のGDP成長が見込まれており、省内GDP総額は10年実績の1兆6900億元から、向こう5年以内には3兆元超に拡大する見通しという。

中国の農村部では今のところ金融サービスが行き渡っておらず、銀行拠点が存在しない村も多いが、同行はコストがかかる営業所やATMの設置を避け、2006年から地元の食品雑貨店と提携した「村村通」(Cun Cun Tong)サービスを展開している。このサービスでは、地元住民は雑貨店に設置されたカードスラッシュ式の電話機を通じ、500元以下の小額を引き出すことが可能。簡単な人員研修と電話設置にかかるコストは2000元以下とされ、同行は格安価格で潜在力の大きい農村市場に手を広げていることになる。BOCIは農村部での先行者利益を見込み、こうしたサービスが農村市場での競争力強化や長期成長基盤の構築につながると前向きに評価している。

一方、四川支店はここ数年、9億8000万元を投じて747拠点の刷新を進めてきたが、すでにこの作業をほぼ完了し、この先、関連コストは安定推移する見通しとなった。また、同支店はリターンが見込めない研修センターなどの保有資産を手放す方針。BOCIは経常収益の伸びを背景に、対収入コスト比率の一段の改善が期待できるとしている。