中国株安、米利上げ観測から乱高下のあと7カ月ぶりの安値水準へ

先週の予測では、週末に米雇用統計を控え様子見の中で中国景気への懸念と米利上げ時期の不透明さを受け戻りは弱いとし、これらの要因への思惑が相場の変動要因になるとしました。また、9月の第2週の11日(金)はメジャーSQですので思惑から先物絡みの不安定な相場が続く可能性があるとも想定しました。 目先は戻りへの期待と短期の利益確定売りの綱引きで、もみあいとなる可能性が高いと考えていましたが、再び中国株式の下落が始まり先物主導での大幅下落となりました。

週明けの31日(月)の日経平均は19,000円台のせでスタートするものの中国株安への懸念とグローベックスで米株価が安くなっていたことで、先物主導で下げ幅を拡大し▼245円の18,890円となりました。 さらに9月1日(火)は中国株式の大幅下落をきっかけに円高が進行し全面安となって▼724円の18,165円と大幅続落となりました。 その後も中国景気に対する懸念や米の早期利上げの思惑など、先行き不透明さが強いことから乱高下を繰り返す動きとなり、2日(水)は1日の値幅は610円の乱高下のあと▼70円の18,095円、3日(木)は寄り付きすぐに18,481円まで上昇するものの終値では△86円の18,162円となりました。 さらに週末の4日(金)は△129円の18,312円で寄り付くものの、すぐにナイマス圏に沈み先物主導で下げ幅を拡大し、一時17,608円を付け8月の安値17,714円を下に切る場面があり、終値は▼390円の17,792円でした。

4日(金)の日本市場の引け後のアメリカ市場では、注目の8月雇用統計は非農業部門雇用者数は17.3万人と予想の21.7万人を大きく下回ったものの、7月の雇用者数は21.5万人から24.5万人へと上方修正され失業率は5.1%と予想の5.2%より改善され、強弱混在する結果となりました。市場の見方は9月のFOMC(16~17日)での利上げ開始は後退しているものの、リッチモンド連銀総裁は早期利上げ開始が必要とのコメントを出し、結果的にFOMCまでは不透明感が続くことになるでしょう。そのためNYダウは海外の大幅株安の流れを受け▼275ドルの16,102ドルで引けました。 シカゴ日経先物は大証比▼125円の17,635円で引けています。

今週は下値確認のあと自律反発へ

今週は先週末の9月4日(金)に安値更新し、17,608円まで下げて▼390円の17,792円となったことで目先は2番底確認の動きとなり、それを確認すると2点底からの自律反発という展開が考えられます。 まだ中国株式への懸念や米利上げの不透明さがあり目先の底値圏を確認しても全面高の展開とはなりくいと思われます。 特にアメリカでの9月利上げ開始の可能性が残っており、また、今週はメジャーSQを週末に控え大きな上下動も想定されるところです。

日本市場は、結局は独自で上昇することはできませんのでNYダウの調整完了を待つことになります。柴田罫線でのNYダウの分析はすでにお伝えしていますように3尊天井を形成して6月29日(月)に17,596ドルで1回目の売転換となり、この時は約3年近い上昇トレンドの中にありましたので、大きな調整となりませんでした。その後、もう一山を形成して7月27日(月)に17,440ドルで2回目の売転換が出現し、上昇トレンドを切ったことで本格調整の可能性を述べました。少しもみあったあと、急落となって8月24日(月)には14,370ドルのザラ場安値をつけました。

すでに15%を超える下げとなっており調整幅は十分と言える水準です。この下げは中国問題以外に、ある程度の早期利上げを織り込んでいる可能性があり、9月利上げが実施されれば悪材料出尽くしからの反発が期待されます。

本日は、先週末の欧米株安を引き継いで▼117円の17,674円で寄り付き、下げ幅を拡大して17,478円まで下落しましたが、そこから先物主導で買い戻しが入り中国株式が上昇すると日経平均も一時200円を超える18,013円まで上昇する場面がありました。しかし中国株式が伸び悩むと再びマイナスに転じ前場は▼64円の17,727円で引けました。 後場はプラス圏での推移が続きましたが上値を追う動きはなく△68円の17,862円で引けました。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、前週の週足の型が長い下ヒゲの陽線となって底打ちの型となっていたことで、中国株式が落ち着いていれば株価の回復も期待できるものの19,200円を突破できなければ戻り売りとなって、もみあう展開を想定しました。

結果的に上値は19,019円までしかなく、再び中国株の下落と米利上げ開始への思惑から前週の長い下ヒゲを実体で埋める動きとなり、週末の9月4日(金)は一時17,608円まで下げて8月26日の17,714円の安値を更新し終値でも▼390円の17,792円となって7カ月ぶりの安値水準となりました。

今週は週末の9月11日(金)にメジャーSQを控え、先物主導で大きな上下動が続く可能性があります。まず目先の底値圏を形成しダブル底もしくは2番底を確認した後、自律反発に転じてくる可能性があります。

まだ中国株式への懸念とアメリカの利上げに関してのFOMC(16~17日)待ちとなりますので、底を確認しても上値は限られると思われます。基本は17,500~18,300円のレンジが想定されます。

本日は、先週末の欧米株安を受け▼117円の17,674円で寄り付き一段安となって17,478円まで下げましたが、ここから買い戻しと中国株式の反発を受け一時△200円を超える18,013円まで上昇しました。しかし、中国株式が下落に転じると日経平均も前場はマイナスに転じましたが後場はプラス圏の動きとなり△68円の17,860円で引けました。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、前週末のFRB副議長の発言で9月利上げの可能性が残ったことでFOMC(16~17日)までは経済指標をみながらの動きになるとしました。

結果的には、安定するかにみられた中国株式が再び下落し、経済指標も強弱マチマチであったことでアメリカ株式は軟調な展開となりました。

週前半は、9月利上げを懸念した売りと中国株式の下落で8月31日(月)は▼114ドルの16,528ドル、9月1日(火)は▼469ドルの16,058ドルの大幅下落となりました。9月2日(水)は中国株式の一服と原油高を好感し△293ドルの16,351ドルと反発しましたが、週末の9月4日(金)は強弱混在の8月雇用統計とアジア・欧州株の大幅下落を受けて▼272ドルの16,102ドルで引けました。

今週は先週末の8月雇用統計の結果は強弱が混在し、9月利上げに関しては後退したとの見方が大勢を占めるもののリッチモンド連銀総裁は「8月の雇用統計は妥当で強い伸びでありゼロ金利はもはや必要でない」と述べたことでFOMC(16~17日)までは不透明さが残り上値は重い展開が想定されます。戻りを試す場合は16,351ドルを終値で上回れば16,600ドル台が上値ポイント、下を試す場合は16,000ドルを終値で切ると15,700ドル水準が1つ目の下値ポイントとなります。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、9月利上げの可能性が残っていることでドル買い、その一方で中国経済の不透明な点ではドル売りという方向感のない展開を想定。

結果的には週前半はドル買いから121円台での動きとなるものの週半ばは中国の8月PMIが予想を下回り中国株式が下落したことで、リスク回避の円買いが強まり119円台半ばの円高となりました。その後120円を挟んだもみあいとなっていましたが、週末の9月4日(金)にはアジア、欧米株安からリスク回避の円高がさらに高まり一時118.61円まで下げて119.02円で引けました。

今週は9月の利上げ開始の後退の見方が多いものの、先週末の8月雇用統計の強弱混在やリッチモンド連銀総裁の利上げ発言を受けてFOMC(16~17日)までは不透明さが残り方向感のない動きが続きそうです。基本レンジは118~121円を想定。

ドル/円