先週は予想外の中国人民元の切り下げでSQも絡んで大きな上下動

先週は、好決算を背景にSQに絡んで高値圏での上下動となる可能性を予測しました。また、アメリカでは9月利上げ観測が再燃し、ドル高・円安傾向となるもののアメリカ株式にとってはマイナス要因であり、現在アメリカ株式が調整中であることを考えると日本株式のみが独歩高になることは考えにくいとしました。 そのため125円台の円安にふれても日経平均は年初来高値の20,952円を試すぐらいのところがピークで、そこから調整入りというシナリオも考えられるとも想定しました。

結果的には、週前半に20,946円をつけた後、予想外の中国の人民元切り下げで急反落となり、週半ばに20,303円まで下げて、週末の終値は20,519円となりました。 先週は前週からのリバウンドの流れを引き継ぎ10日(月)は△84円の20,808円と4日続伸となり、11日(火)は前日の欧米株式の大幅高を受けて、前場寄り付きは△111円の20,920円となり、年初来高値の6月24日の20,952円まであと6円と迫る20,946円まで上昇して伸び悩んでいるところに、中国人民銀行による人民元の切り下げのニュースが伝わり、急反落となって▼87円の20,720円で引けました。 欧米株式も大幅下落となり、さらに12日(水)も連続して人民元の引き下げが行われたことで中国の景気への警戒感から日経平均は一段安の20,303円まで下落して▼328円の20,392円の大幅続落となりました。その後は、中国側の「切り下げは一時的処置」との発言で次第に市場は落ち着きを取り戻したことで日経平均も13日(木)は△202円の20,595円と反発しました。週末の14日(金)は週末であることで様子見ムードもあって▼76円の20,519円で引けました。

8月のSQ値は20,540円となり終値はこれを下回っています。

日本市場の引け後のアメリカ市場では、7月生産者物価指数と7月鉱工業生産指数は予想を上回りましたが、ミシガン大学消費者信頼感指数は予想を下回りマチマチの結果となりました。しかし、ギリシャ協議で政治的合意に達したとのニュースで買い優勢となり△69ドルの17,477ドルで引けました。シカゴ日経先物は△75円の20,585円とSQ値を上回って引けていました。

今週は、アメリカの利上げ観測の思惑から上値は重い

今週は、2015年4-6月期決算が終了し国内的には手掛かり材料が不足し、外部の材料に影響を受けることになりそうです。特にアメリカでの9月利上げ観測が再燃しており、実施されるかどうかを見極める展開となるため、どうしても9月のFOMC(9月16日~17日)に向けては、相場は一方的に傾きにくく高値圏でのもみあいが続く可能性があります。その中で今週は8月19日のFOMC議事録公開やその他の経済指標が注目となります。

為替からみると、9月利上げ観測からドル高・円安の方向にあり9月利上げ観測が高まって1ドル=125円台に乗せてくれば、日経平均は現時点では20,000円~21,000円のレンジの中で上限を目指すことになり、逆に9月利上げ観測が後退すれば円高へ振れて日経平均も下へ振れやすくなります。また、中国元の切り下げの混乱は収束したものの、中国景気への懸念は不透明なままですので積極的な買いは入りにくいといえます。

柴田罫線でみると、現時点では6月16日の20,952円、8月11日の20,946円とほぼダブル天井の形をつくっており、8月12日の20,303円を終値で下回ると売転換と同時にダブル天井が確定し、さらに昨年の10月17日の14,529円からの上昇トレンド(A)を切ってくることになります。(その場合の下値は20,000円、19,700円台、19,200円となります)

逆に、このまま8月12日の20,303円を切らずに6月24日の20,952円を終値で上回ると2山形成後の浅い押しからの反発となって21,000円を突破する可能性があります。ただし、その場合でも現状は全体相場が動いておらず指数のみの偏った上昇となって大きく買われ過ぎたところから急落という可能性も考えられるところです。

しかし、これに加えてNYダウを柴田罫線でみると、すでにNYダウは相場が崩れており日経平均のみが単独で上昇することは考えにくいところです。柴田罫線ではNYダウは3尊天井をつくって売転換となり、もう一山つくって下落し、2013年10月9日の14,719ドルからの約3年近い上昇トレンドを下に切っています。まだ、値幅調整も日柄調整も中途半端ですので、もう一段の下げの可能性もあり、そうなれば日経平均も影響を受けることになります。

本日は、前場は先週末のアメリカ株高を受けて△80円の20,600円で寄り付き20,668円まで上昇した後は、利益確定売りに押されて上げ幅を縮小し△70円の20,590円でした。後場になると一時△21円の20,541円まで上げ幅を縮小しましたが、引けにかけて徐々に買い戻し優勢となって△100円の20,620円で引けました。 ただし、市場ボリュームは縮小し出来高17億823万株、売買代金は1兆9,480億円と2兆円を割り込んでいます。

 

 

(指標)日経平均

先週は、決算のピークが過ぎ投資家の目が国内から海外に向けられることになり、アメリカの利上げの時期が注目となります。9月利上げ説が再燃しており様子見ムードの中、日経平均がこのまま上昇しても年初来高値をこえたところの21,000円水準は当面のピークとなる可能性があると想定しました。

結果的に、8月11日(火)に前日の欧米株式の上昇や原油高を受けて前場の寄り付き後、すぐに20,946円と年初来高値まであと6円ということもあって伸び悩み、そこに中国人民元の切り下げのニュースが飛び込み、一転してマイナスに転じ終値は▼87円の20,720円となりました。 さらに翌日の8月12日(水)も中国人民元が2日連続で引き下げられたことで大幅続落となり、一時20,303円まで下げて▼328円の20,392円となりました。その後は中国が落ち着き8月13日(木)は△202円の20,595円と反発しました。週末の8月14日(金)は8月SQ値は20,540円となりましたが、日経平均は終値では▼76円の20,519円で引けました。

今週は2015年4-6月期決算通過で国内的には17日(月)の4-6月期GDP速報値を除くと手掛かり材料に欠け、アメリカの9月利上げを見極める動きに影響を受けることになり、上値の重い展開が想定されます。柴田罫線をみると8月12日の安値20,303円を終値で切るとダブル天井をつくっての売転換となり、昨年の10月17日の14,529円からの上昇トレンド(A)を下に切ってくることになります。

本日は、先週末のアメリカ株高を受けて△80円の20,600円で寄り付き、20,688円をつけた後、上げ幅を縮小となって△21円の20,541円まで下げましたが、その後は押し目買い優勢となって△100円の20,620円で引けました。ただし、出来高・売買代金ともに大きく減少しており、このままでは上値を目指すのは難しいと考えられます。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、前週末の雇用統計の結果を受け、9月利上げ観測が再燃していることから、上値の重い展開が想定されるとし17,100ドル~17,800ドルのレンジの動きを想定しました。

先週は、週始めの8月10日(月)は中国株高、欧州株高や商品市況の上昇で△241ドルの17,615ドルとなるものの、8月11日(火)は中国の予想外の人民元切り下げや6年ぶりの原油安を受け▼212ドルの17,402ドルと大幅反落となりました。さらに8月12日(水)も中国人民元が前日に引き続き切り下げられたことで、一時17,125ドルまで下落しましたが、外部環境の不透明から利上げが先送りになるとの見方から下げ幅を縮小し▼0.3ドルの17,402ドルで引けました。週末の8月14日(金)は好調な経済指標を受けて△69ドルの17,477ドルと反発しました。

結果的に予想外の中国利下げを受けて一時17,125ドルまで下げ、週末は17,402ドルと前週末の17,373ドルを上回って引けました。

今週は中国人民元の切り下げを受けた世界株安が一服し、アメリカの9月利上げが実施されるかどうかに市場の関心が移ります。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の今週初めのエコノミストの調査では82%が9月利上げを予想しており、先週の経済指標の内容とFOMCの議事録(19日)が注目となります。早期利上げ観測が高まれば株式市場にはマイナス、早期利上げ観測が後退すればプラスとなります。

ただ言える事は、柴田罫線でみてわかるように、すでに上昇トレンド(A)を切って短期の下降トレンド(B)へ移行しており、上昇しても上値は18,000ドル手前となります。17,100~17,800ドルのレンジが想定されます。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週は、9月利上げ観測が再燃していることで、その可能性を見極めるため、もみあいを想定しました。

125.07円を上回れば6月5日の125.86円を試す動きも想定されますが、突破するのは難しいと予測しました。

結果は、予想外の中国の人民元切り下げを受けて、124円台を中心とする上下動となりました。8月11日(火)は人民元切り下げを受けてドルが買われ一時125.25円まで上昇し、8月12日(水)には、125.28円まで買われた後、市場の混乱が利上げの時期を遅らせるとの見方からドル売りとなって一時123.79円まで売られました。その後は124円台前半の動きとなって週末の8月14日(金)は124.3円で引けました。

先週は、中国人民元の対ドル基準値の切り下げを受けて、為替は市場で混乱し1ドル=125.28円をつけた後、123.79円までドルが売られ、その後は落ち着きを取り戻して124円台前半で引けました。

今週はリスク回避姿勢も和らぎアメリカの9月利上げ実施を見極める展開となります。発表される経済指標が好調であれば9月実施の確率が高まるとして、ドルが買われる展開となり8月12日の125.28円をこえると、6月5日の125.86円の今年最高値を試す動きの可能性もあります。逆に経済指標が予想を下回ったり中国人民元の不安定さが強まっていけば上値は重い展開となります。123~126円のレンジを想定。

ドル/円