先週は、原油価格の安値更新につれて、日経平均は下値を試す動き

先週の予測では、「今週から来週にかけては、不安定な値動きが続く可能性」が高いとし、下値は16,800円を守れるかどうかに注目としました。そのリスク要因は、原油価格の動向と、それに絡むロシア経済の動向やギリシャ総選挙後のヨーロッパの動向としました。

日本市場が休日の12日(月)の海外市場では、アメリカの大手金融機関が原油価格の見通しを引き下げたのをきっかけに1バレル=45.85ドルをつけ、2009年4月以来5年9カ月ぶりの安値更新となりました。これを受けてエネルギー株の下落が市場全体に波及し、NYダウは▼96ドルの17,640ドルの続落となりました。更に為替は前週末の9日(金)の12月雇用統計で予想外の平均時給の減少となったことで早期利上げ観測が後退し、ドル売りとなって118円台半ばの動きとなっていました。

これを受けて、連休明けの13日(火)の日経平均は一時▼369円の16,828円まで下げ、終値は▼110円の17,087円でしたが、14日(水)は原油価格の安値更新や為替の117円台への円高を嫌気し▼291円の16,795円となって、節目の17,000円を割って柴田罫線では短期の売転換となりました。15日(木)は、前日のNYダウの大幅安にもかかわらず、特別に買い材料が出たわけでもないのに△312円の17,108円の大幅上昇となりました。先物主導の上昇であり、昨年の10月31日の日銀のサプライズの追加緩和策以前の水準に戻さないといった政府の強い意向が入ったのではないかとの見方がありました。株価の上昇によって日本の経済の回復を考えているとみられる安倍政権にとっては当然の行為かもしれませんが、結果的に相場の調整が長引く可能性もあります。週末の16日(金)は、スイスフランの対ユーロでの上昇を抑えるために導入していた上限を撤廃すると発表したことがサプライズとなって、為替相場が大きく乱れ1ドル=116円台の円高進行となったことで一時▼516円の16,592円まで急落しました。しかし、円高が一服すると日経平均も下げ幅を縮小し、▼244円の16,864円となりました。

週末のアメリカ市場は、国債エネルギー機関がOPEC非加盟国の今年の生産見通しを引き下げたことで原油価格が大きく反発(前日の46.25ドル→48.69ドル)したことでエネルギー株が相場を牽引し、NYダウは△190ドルの17,511ドルとなり、為替もドルが買われて117円台となっています。シカゴ日経先物も△275円の17,075円と17,000円台を回復しています。

 

今週も、安値圏で海外要因に左右される展開か

今週も、先週に引き続き海外要因に左右される展開となりそうです。先週は、原油が安値更新となって日経平均は下値を試す動きとなりましたが、週末の16日(金)は、更にスイスフランの上限撤廃発表がサプライズとなってユーロが急落し、つれて円が買われて一時115円台の円高となり、日経平均は一時▼516円の16,592円まで下落し、大引けにかけては下げ幅を縮小して▼244円の16,864円となりました。日足の形としては、長い下ヒゲの陽線となって目先底入れを示す形ですが、先物主導の動きですので確実性は低いかもしれません。但し、柴田罫線では引線の終値で17,128円を終値で上に抜けると、1月14日の16,795円での売転換が買転換となってきます。そのように、短い日柄の中で転換が入れ替わる場合は、強弱感が対立していてもみあい相場が続くことになる可能性が高いとい思われます。先週で週足チャートは「3週連続の陰線」となっており、短期的には下降トレンドが鮮明になっていますが、ここにきて25日移動平均線(16日17,319円)が下向きになってきていますので、17,000円台前半で上値を押さえられる形となってきています。騰落レシオも先週末の93%から80%割れ寸前まで低下してきており、売られ過ぎのメドである70%近辺に低下する可能性も出てきました。リスクをとれる人以外は、日経平均は中途半端な位置にありますので、再度大きく下がるのを待つのが基本となります。

今週は、原油安への警戒感がくすぶり、22日(木)のECB理事会の量的緩和策の発表、25日(日)のギリシャ総選挙が予定されており、これに先週末のスイスフランの上限撤廃が為替相場への影響の不透明さに加わっているため、大きな上下動の相場が続くことになる可能性があります。本日19日(月)は、先週末のNYダウの6日ぶりの反発や為替の円高一服を受けて買い先行で始まり17,039円の高値をつけた後、上げ幅を縮小し、後場一時16,911円まで下げるもののその後切り返し、大引けは△150円の17,014円で引けました。しかし、売買代金・出来高共に大きく減少し、先物主導による上昇となっています。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、国内は企業業績や需給も良好なもののまだ原油価格の下げ止まりが確認できない上に、ギリシャの懸念など海外要因に左右される展開が続くことになるとしました。

結局、原油価格の安値更新が続き、アメリカ株式がエネルギー株の大幅下落から相場全体に波及してNYダウは5日連続安となり、為替も円高基調となったことで連休明けの13日(火)は▼110円の17,087円、14日(水)は▼291円の16,795円となって柴田罫線では短期の売転換となりました。15日(木)は原油価格が一服した以外には何も材料がない中先物主導で△312円の17,108円の今年最大の上げ幅となりました。ところが、16日(金)はスイスフランの上限撤廃発表で円高進行となり、一時▼516円の16,592円まで急落し大引けにかけて下げ幅を縮小して▼244円の16,864円で引けました。

今週も、引き続き海外要因による大きな上下動の可能性があります。原油安への警戒感がくすぶる中22日(木)にECB理事会の量的緩和策の発表や25日(日)にギリシャ総選挙が予定されており、金利や為替動向をにらみ不安定な相場が続きそうです。チャートでは、日足では長い下ヒゲを出した陽線で終わって、目先底入れのシグナルという見方もできます。また、引線の終値で17,128円を上に抜けると2点をつけた買転換の形となります。但し、14日に売転換となってすぐに買転換となる場合は、強弱が対立してもみあいが続くとみることもできます。

週明け19日(月)は、先週末のNYダウの6日ぶりの反発や円高一服を受けて買い先行で始まり、後場上げ幅を縮小する場面があったもののその後切り返し、△150円の17,014円と17,000円台を回復して引けました。しかし、様子見から売買代金は大きく減少し1兆9,278億円となっています。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、高値圏での一進一退の動きが想定されるところだが、原油価格の行方や決算発表、14日の12月小売売上に注目としました。

結果的には、アメリカの大手金融機関が原油価格の見通しの引き下げを行ったことをきっかけに原油価格が連日の安値更新となり、エネルギー株の下落が相場全体に波及する形となって、またその間に小売売上や大手金融機関の予想を下回る決算もあり、12日(月)は▼96ドル、13日(火)▼27ドル、14日(水)▼186ドル、15日(木)▼106ドルと5日続落(前週金曜の9日▼170ドル)となりました。週末16日(金)は、原油価格が大幅反発(46.25ドル→48.69ドル)したことでNYダウも17,243ドルの安値をつけた後、△190ドルの17,511ドルの大幅反発となりました。

今週は、22日(木)のECB理事会25日(日)のギリシャ総選挙を控えて神経質な展開が想定されます。スイスフランの急騰など波乱材料が相次ぐ中で、ECBの量的緩和策の中身と規模に注目が集まります。既にドイツ株式(DAX)などは量的緩和を織り込んで上昇してきていますので、中途半端な内容であれば材料出尽くしとなってアメリカ株式にもマイナスとなります。チャートをみると、日足では1月6日の17,262ドル、1月16日の17,243ドルとダブル底に近い形となっています。これは逆に戻りが弱くて17,243ドルを終値で切ると一段安という形にもなりやすくなります。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、アメリカ経済の堅調さから日米金利差が意識され、基本的には円安基調が続くと思われるが、原油安が続くのならリスク回避の円買いとなるのでもみあいを想定し、レンジを118~120円台としました。

結局、アメリカの金融機関が原油価格の見通しを引き下げたのをきっかけに連日の安値更新となったことで、アメリカ株式の下落とドル売りが進み、為替は円高へ振れる動きとなりました。更に週末は、スイスフランの上限撤廃でスイスフラン高・ユーロ安、ユーロ安・ドル高の流れから円高進行となり、一時115.58円まで下がって117.65円で引けました。チャートでは12月16日の115.59円に対するダブル底の形となっています。

今週は、先週末のスイスフランの上限撤廃による不安定さが続けばリスク回避の円買いとなり、22日のECB理事会で量的緩和策の内容によってはユーロ売り・ドル買いとなって円安の流れが続くことになります。期待されていた日米金利差拡大も、目先はアメリカの金利の低下が進んでいるためドルが買われる状況はありません。チャートでは、12月16日の115.59円に対して1月16日の115.58円のダブル底の形となっていますが、戻りが弱くて115.57円を引け値で切ると115円割れも想定されるところです。115~118円のレンジを想定。

ドル/円