先週は、原油安・円安を支えに6日続伸

先週の予測では、原油価格の急落からの円安と自民党優勢の報道あれば、チャートの日足も切り上がっているところをみると、上値を試す動きとなっていくとしました。その上放れのポイントが11月14日(金)のSQ値17,549円でした。

結局、12月1日(月)に6年ぶりの原油安や1ドル=119円台の円安を好感し、フシ目の17,500円を抜けて11月14日(金)のザラ場高値(17,520円)、11月SQ値(17,549円)を突破し、△180円の17,590円と年初来高値更新となりました。柴田罫線でも更なる上昇を暗示する「ろく買」が出現しました。その後、利益確定売りで下げる場面はあるものの、NYダウの連日の史上最高値更新や円安基調にサポートされ週末の5日(金)は△33円の17,920円と6日続伸となり、18,000円にもう一歩のところまできました。

引け後のアメリカ市場では、注目の11月雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を大きく上回る約3年ぶりの大幅な伸びとなったことで景気に対する楽観的な見方が広がり、一時17,991ドルと18,000ドルに接近し、終値は△58ドルの17,958ドルで引けました。早期利上げ観測が台頭し、為替は1ドル=121.69円まで上昇し、シカゴCMEは一段の円安を受けて18,105円まで上昇して18,045円となっていました。

先週は、原油安・円安にサポートされ、6日続伸となって18,000円に近づいてきました。騰落レシオは一時140%を超えるなど、その他のテクニカル指標も過熱を示すものが多く出ています。しかし、悪材料に対する反応が鈍く、下げてもすぐに押し目買いが入って切り返す動きが繰り返されています。これは、10月31日の日銀の予想外の追加緩和で「売り方」が踏み上げられ大きな痛手を受けたため、売り出動に躊躇していることによるのでしょう。下げると日銀のETF買付けが実施され、株式運用比率の引き上げに伴う年金の買いも大きく、政府主導の相場となっています。特に今回の衆議院選挙は、アベノミクスの成果を評価するものとなっていますので、アベノミクスの象徴である「株式市場の上昇」を投開票日までは印象づけたいという政府の姿勢があるように思えます。株式相場は基本は需給関係ですから、テクニカル指標が過熱していても買い圧力が強ければ、最後に誰がババをつかむか「行くところまで行く」しかない状況となるでしょう。

今週は、18,000円に乗せてくると2007年の小泉郵政相場のピークである2月26日の18,300円(ザラ場)、終値ベースでは6月21日の18,240円が視野に入り、これは歴史的フシ目となりますので「天井をつけてくる週」となる可能性もあります。又、12日(金)はメジャーSQの算出日であり、SQ日を境に相場が変わるということも過去の経験則ではありますので、注意が必要です。更に、14日(日)は衆議院投開票で報道のように自民有利で終われば、材料出尽くしとなる可能性もあります。

ここから上昇中の銘柄を買うことは「高値掴み」になるリスクがありますので、基本は調整待ちとなります。これまでは、調整待ちでは日銀によるETF買付け期待から押し目買い意欲は強く、それほど下げませんでしたが、現在のような一方的な買われ過ぎからの調整となればそれなりの下げの可能性もあります。しかし、大きく下げてもあくまでも買われ過ぎからの調整と思われますので、買いチャンスとなるでしょう。

本日8日(月)は、先週末のアメリカの雇用統計が予想を上回る伸びとなったことで為替が一段の円安(121円台半ば)となり、NYダウも連日の史上最高値更新となったことを好感し、△84円の18,004円と7年5カ月ぶりの18,000円台回復で始まりました。しかし、18,030円の高値をつけた後は7-9月期の国内GDPが▼1.9%に下方修正されたことで上げ幅を縮小し、利益確定売りに押されて一時マイナスに転じるものの、終値では△15円の17,935円と7日続伸となりました。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、アメリカの経済指標やECB理事会の金融政策の結果を受けて一進一退となる可能性があるものの、徐々に上値を試す動きとなっていくとしました。原油価格の大幅下落は日本経済にプラスとなる見方が多く、日経平均をサポートすることになると想定しました。

結局、原油安と円安に支えられ、利益確定売りで大きく下げる場面はあるものの後場には切り返し、週末5日(金)は△33円の1,920円と6日続伸となりました。18,000円台に迫って短期的過熱感はあるものの、円安・原油安が買い意欲を支えています。

今週は7年4カ月ぶりに18,000円台を回復し、2007年の小泉郵政相場でのピークである18,240円(終値)、18,300円(ザラ場)を目指す動きが想定されます。ここは歴史的なフシですので、この手前もしくはこの水準でピークを打つ可能性があります。但し、日柄調整となるのか値幅調整となるのかは今のところわかりません。

週明け8日(月)は、先週末のアメリカの雇用統計の改善を受けて一段の円安とNYダウの史上最高値更新から7年5カ月ぶりの18,000円台を回復するものの、7-9月期の国内GDPが下方修正されたことを嫌気して利益確定売り優勢となって一時マイナス圏の動きとなりましたが、終値は△15円の17,935円と7日続伸で引けました。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、高値圏での推移を想定し、原油価格の低下が個人消費を含め全体にプラスという見方が続けば上値を試すことも考えられるとし、週末の11月雇用統計に注目としました。

結果的に、原油安によって下げ過ぎたエネルギー株の反発や経済指標で予想を上回るものが多く、ダウとS&Pは史上最高値を連日更新し、週末の雇用統計は非農業部門雇用者数が約3年ぶりの大幅な伸びを示したことでアメリカ景気の楽観論が広がり、一時17,991ドルと18,000ドルに迫る上昇となりました。5日(金)の終値は△58ドルの17,958ドルと史上最高値更新で引けました。

今週も高値警戒感はあるものの、先週末の雇用統計の予想以上の伸びから景気拡大期待が強まり、18,000ドル台を試す動きが想定されます。18,000ドル台にのせた後その勢いを持続できるかどうかが焦点となります。利益確定売りのきっかけ待ちも想定しておく必要があります。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週も基本的に、原油価格の大幅下落からの円安やアメリカ経済の好調さからのドル買いを受けて円安基調が続くとし、ただ日本側の急速な円安に対するけん制発言もあることから117~120円の高値圏でのもみあいを想定しました。

結局、週半ばの4日(木)までは、NYダウの連日の史上最高値更新を受けてドル買いが強く、1ドル=119円台で推移しました。しかし、5日(金)には日本市場で1ドル=120円台を一時つけ、引け後のアメリカでは11月の雇用統計で非農業部門雇用者数が約3年ぶりの大幅な伸びとなったことでアメリカ景気の楽観論が広がると共に早期の利上げ観測が台頭し、ドル買いとなって1ドル=121.69円まで買われ、引けは7年4カ月ぶりの121.41円となりました。

先週は、原油価格の下落、11月のアメリカ雇用統計、衆議院での与党圧勝観測からドルは7年4カ月ぶりの121円台となりましたが、今週は、基本的には14日(日)の投開票日までは、円は下値を探る展開と思われます。選挙が終わって与党勝利となれば、いったん材料出尽くしで円の買い戻しが起こる可能性もあります。又、円が行き過ぎると日本の政府要人から円安をけん制する発言が出ることも考えられます。今週は120~122円を想定。

ドル/円