先週は、想定通り買い場突入

先週の予測では、「今週は買い場となる可能性が高い…NYダウの動きに注目」としました。特に、日経平均の下値は「アメリカ株式の調整の程度」によるとし、NYダウに注目しました。NYダウのチャート分析では、その時点では下げ足りず、16,000ドル水準まで下げると今年の初めの調整幅である約7.5%とほぼ同じ下落率となるので、下値ポイントの1つと考えました。チャート上は15,000円を切ると8月8日の安値14,753円を下値ポイントとしましたが、15日(水)に「下げるほど強気になる局面」というメッセージ(オフィス出島の配信サービス)を出し、14,800円水準からもう一段下があるのを前提に個別株を買い下がり、14,500円割れがあれば思い切って買っていくところだと想定しました。

結局、NYダウは、日本市場が休日の13日(月)にエボラ出血熱拡大懸念やS&Pが2012年以来初めて200日移動平均線を割り込んだことを嫌気し、8月7日の安値16,333ドルを下に切る16,321ドルとなりました。これを受けて連休明けの14日(火)の日経平均は、為替が106円台の円高進行となったこともあり、全面安となって▼364円の14,936円と2カ月ぶりに15,000円割れとなりました。その後NYダウの下げは続き、15日(水)は欧州株式が急落したことや9月の経済指標の悪化、更に2人目のエボラ感染者が確認されたことで一時▼460ドルの15,858ドルと16,000ドルを切り、ここから下げ幅を縮小したものの▼173ドルの16,141ドルで引けました。16日(木)の日経平均は世界的な株安を受けて再び全面安となって、8月8日の安値14,753円を下回る▼335円の14,738円となりました。更に週末の17日(金)は、前日のNY市場でシカゴCMEが14,370円まで下げたこともあり、朝高後下げ幅拡大となって▼205円の14,532円で引けました。

 

ここから更に戻りがあれば、いったん利益確定優先が基本

17日(金)の日本市場の引け後のアメリカ市場では、ECBの緩和観測から欧州株式が大幅上昇となり10月のミシガン大学消費者信頼感指数が2007年7月以来の高水準(86.4P)を記録し、好調な企業決算も相次いだことで、△263ドルの16,380ドルの大幅反発で引けました。シカゴの日経先物は△350円の14,880円となっていましたので、20日(月)の日経平均は急反発のスタートとなり、結果的に先週の予測である「今週は買い場」となったことになります。

今週は日経平均は戻りを試す展開となりそうですが、先週末の欧米の株高は「下げ過ぎからのリバウンド」の可能性もありますので、そのまま本格上昇となっていくかは疑問です。というのは、外部環境が特別好転したような状況ではないからです。例えば、地政学的リスクはイスラム国の問題など変わっていませんし、欧州の経済減速懸念に対する金融政策はまだ不透明のままですし、エボラ出血熱拡散への不安も続いています。又、QE3終了後の信用収縮による新興国経済の悪化懸念や欧州の第二次経済危機などの根本的問題は解決していません。期待は、アメリカ経済の回復だけですが、経済指標に強弱感がみられますので注意が必要です。

本日20日(月)の日経平均は△578円の15,111円と今年最大の上げ幅となりました。先週末の欧米株式が大きく戻したことが要因となっており、短期的な下げ過ぎのリバウンドに勢いがついた形です。需給からもヘッジファンドの10月17日の解約期日が経過したことから相場にプラスに作用しており、国内的には、GPIFの株式運用比率の大幅な引き上げなどが支援材料となっています。

大きく上昇して200日移動平均線(現時点15,103円)を上回って引け、下げ幅の1/3戻しの15,144円に接近しています。チャートでは、15,600円台が目先のフシですので、NYダウの上昇が続かなければ、いったんもみあった後、再度2番底を探る可能性もあります。先週買った個別株が利食い目標に接近していれば、短期売買の場合はいったん利益確定を考えるところです。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、底値を探る値動きになりそうですが、底値を確認するには欧米株式の下落が一旦落ち着くかどうかにかかっているとしました。チャートでは、200日移動平均線(10月10日15,123円)を切ると心理的フシ目の15,000円、ここを切ると8月8日の安値14,753円が下値ターゲットになるとしました。

結局、欧米株式が世界的な景気減速懸念で急落し、それにつれて日経平均は次々と下値の抵抗帯を突破して、週末の17日(金)は一時14,529円まで上昇して▼205円の14,532円で引けました。ほとんど下げ過ぎの水準まで下落してきました。引け後のアメリカ市場は欧米株式の大幅反発や経済指標と決算が予想を上回ったことで△263ドルの16,380ドルとなり、シカゴ先物は△350円の14,880円でした。

週明け20日(月)は、先週末の欧米株式の大幅反発と為替の107円台への円安進行を好感し全面高となって、今年最大の上げ幅の△578円の15,111円で引けました。一気に目先の上値のフシになる15,600円台へ接近してきました。メッセージで述べたように、外部環境に特別変化が出たわけではなく、下げすぎからの大きなリバウンドというのが実態だと思われます。200日移動平均線(15,103円)を上回って、下げ幅の1/3戻し(15,144円)に接近しています。アメリカ株式次第と言っていますように、このままNYダウが16,700ドルを突破するような動きになればもう一段高も期待できますが、そうでなければもみあった後、再下落となって2番底を探る動きも考えられます。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、欧州株式の動きや企業決算をみながら不安定な展開が想定されるとしました。チャート上は、この時点までの下げは高値から約4.7%の値幅調整に過ぎず、今年初めは約7.5%の下げですので、同じくらい下げるとして16,000ドル水準まで下げると約7.5%となって、ほどよい値幅調整になるところでした。

結局、週明け13日(月)はエボラ出血熱感染拡大懸念や欧州株式の大幅下落などを嫌気して▼223ドルの16,321ドルと、8月7日の16,333ドルを切ったことで下げが加速する形となりました。15日(水)は一時▼460ドルの15,855ドルと16,000ドルを切り、終値は▼173ドルの16,141ドルと荒っぽい動きとなりました。しかし、週末の17日(金)は、欧州株式が金融緩和期待で大幅反発し、経済指標の上振れや好決算で△263ドルの16,380ドルと反発して引けました。

先週末の17日(金)は、欧州株式の大幅高や10月ミシガン大学消費者信頼感指数や決算が予想を上回ったことで△263ドルの16,380ドルの大幅反発となりましたが、エボラ出血熱の感染拡大やQE3の終結の不透明さもあり、FOMC(10月28日~29日)を通過するまでは乱高下が続く可能性があります。目先の上値のフシは16,400ドル台→16,700ドルというところです。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、これまで円安・ドル高を牽引してきたアメリカの長期金利が一転して大きく下げており、円安相場が調整する可能性が出てきたとし、106~109円のレンジを想定しました。

結果的に、欧州株式の急落やエボラ出血熱の世界的な拡大懸念から世界的な景気減速懸念が出てリスク回避の円買いが強まり、105.23円までのドル売り・円買いが進行しました。しかし、週末の17日(金)は、セントルイス地区連銀総裁のQE3終了先送りの表明もあり、ドル売り一服となって106.88円で引けました。

今週は、先週の波乱相場も落ち着き、円高は一段落したことで日米の金融政策の方向性の違いを反映した円安・ドル高の基調に徐々に復帰していくものと思われます。今週は106~108円のレンジを想定。

ドル/円