4月26日 H株「オーバーウエート」、A株「中立」
石炭相場上昇と生産量の拡大を好感、さらなる上値も期待

香港上場の石炭銘柄の株価動向は、2010年本決算が市場コンセンサスを大幅に下回った中国中煤能源(01898)を除き、ベンチマークをアウトパフォームする展開。一般炭スポット価格が需要のピーク期を迎えてさらに上昇する見通しを踏まえ、BOCIは石炭セクターの一段高の可能性を指摘。H株の投資判断をオーバーウエートに据え置いている。

BOCIが石炭輸出入料などの実績に基づいて算出した10年国内石炭生産量は前年比15.3%増、需要量は同13.0%増と、BOCI予想値をそれぞれ3.8%、2.7%上回る水準。需要が生産を2.8%(9400万トン)上回った。この結果に基づき、BOCIは11竏鈀12年の石炭需要の予想値をそれぞれ前年比9.4%増、7.6%増に設定。銑鉄の生産見通しを引き上げたのに合わせ、11年石炭需要量も8.4%増から上方修正した。一方、11竏鈀12年の石炭生産量は9.4%増、10.0%増と予想。11年の需要量は生産量を1億200万トン上回る見通し。12年には生産量が増え需給バランスが均衡に近づくものの、新たに加わる炭鉱は低質炭を生産する内モンゴル東部か、需要が集中する沿岸部から離れた新疆ウイグル自治区が主であるため、中国は12年も引き続き大量の良質炭を輸入せざるを得ない状況が見込まれる。

一般炭価格:
秦皇島の山西省良質炭の4月25日平均価格は前週比5元高の1トン当たり795元と3週連続で上向いた。今年の平均価格は780.6元/トン。大秦鉄道の大規模点検で輸送路線の本数が減り、石炭在庫が縮小、価格に影響している。在庫が少ない中で需要のピーク期を迎え、一般炭スポット価格はさらなる高値が予想されるが、オーストラリア産一般炭価格に迫っていることや政府介入の見通しから小幅上昇にとどまる見込み。BOCIは一般炭の11年予想平均スポット価格を前年比7%高の795元/トンに据え置いている。

原料炭価格:
11年4-6月期の原料炭契約価格は前四半期比47%高の1トン当たり330米ドル。中国原料炭のベンチマークである山西省柳林4号原料炭のスポット価格は今年に入って16%値上がりしている。オーストラリアの水害による供給の滞りが影響。今後は若干の値下がりが見込まれ、4月25日の柳林4号原料炭スポット価格も前週比10元安の1020元/トンに調整した。BOCIは11-12年通年の原料炭予想平均スポット価格をそれぞれ前年比18%高の983元/トン、同2%高の1003元/トンに設定している。

バリュエーション:
BOCIのトップピックは中国神華能源(01088)およびエン州煤業(01171)。中国神華能源は親会社から新たに取得した資産が貢献し、11年の生産量は前年比15%増となる見通し。契約価格の引き上げも見込まれる。一方のエン州煤業は香港上場石炭セクターで最も割安なバリュエーションにある上、価格統制のないオーストラリア産石炭を多く扱うため石炭相場上昇の恩恵を最も享受している。さらに、向こう5年間で石炭生産量を3倍の1億5000万トンに拡大する計画も明らかにした。BOCIは今後これら2社の1-3月期決算発表を踏まえてそれぞれの目標株価を見直す予定。