1-3月期に34%増益、利ざやはほぼ横ばい推移

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00939 中国建設銀行(チュウゴクケンセツギンコウ)  7.36 HKD
(04/29現在)
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中国建設銀行の2011年1-3月期決算は、純利益が前年同期比34.2%増の471億8000万元に達し、BOCIの予想をやや上回った(通期利益予想の30.2%相当)。利ざやが2.68%にとどまったことから、純金利収入は予想値に2.5%届かず、手数料収入は37%増とほぼ予想の範囲内。このため、売上高に当たる経常収益はBOCI予想をやや下回った。ただ、引当金および営業費用が予想以上に小さく、中でも引当金計上額は想定値を10%下回るわずか48億元だった。BOCIは引当金が当面低水準にとどまる見通しを示す半面、コストが上向く可能性を指摘している。

同行は10年末に貸倒引当金を積み増し、その結果、貸出総額に対する引当率は2.52%に上昇した。その後、11年1-3月期には大方の予想通り、信用コストが大幅に縮小。3月末時点の同引当率は2.50%だった。また、対収入コスト比率は26.0%と、BOCI予想の28%を下回る水準。さらに3月末のコア自己資本比率は10.33%、自己資本比率は12.45%と、大手行の中で最も高い水準に達した。

一方、BOCIは四半期決算にみられた同行のウィークポイントの一つとして、利ざやが予想を下回った点を指摘している。同期の利ざやは平均2.62%と、ほぼ前四半期から横ばい推移した。主にインターバンク資産の伸び率の低迷が響き、金利派生資産の増加率も予想を下回る前年同期比11.04%。また、預貸率は54.22%と、昨年末の56.6%から低下し、BOCIはこの先の利ざや拡大余地が限られるとの見通しを示している。

もう一つの弱点とされたのは手数料収入が予想をやや下回り、同業銘柄の中国工商銀行(01398)、中国農業銀行(01288)の伸び率に水を開けられたこと。主に資産運用収入の伸び悩みが影響した。また、投資銀行業務においても、中国工商銀行ほど顕著な成長はみられなかった。

BOCIによると、中国建設銀行の株価は現在、11年予想PER8.3倍、予想PBR(株価純資産倍率)1.6倍で取引されており、これは大手5行の平均をやや上回る水準にある。利益成長率では中国農業銀行に劣る一方、中国工商銀行を上回ったが、中国建設銀行はここ数年、発展戦略面で安定志向を強めており、BOCIは信用リスクが相対的に低い半面、経常収益の急速な伸びには期待しにくいとの見方。これに比べ、中国工商銀行および中国農業銀行は手数料収入が大幅な伸びを示すとともに、純金利収入の伸びでも中国建設銀行を上回った点に言及した。また、中国建設銀行は年率換算のRONA(純資産利益率)で他2銘柄を上回るとしながらも、これは主に営業コストが低水準にあることに起因しているとの見方。こうした点から同業銘柄に対する同行株価のプレミアムを疑問視し、株価の先行きに中立的な見方を継続している。