11年1-3月期決算は36%増益、ほぼ予想に即した内容

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01288 中国農業銀行股フン有限公司(アグリカルチュラル・バンク・オブ・チャイナ) 4.71 HKD
(04/28現在)
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中国農業銀行が発表した2011年1-3月期決算は、純利益が前年同期比36.4%増、前四半期比37.8%増の340億6700万元。BOCIの予想にほぼ即した水準だった。純金利収入は前年同期比31.7%増の705億2900万元。預貸金利回差が10年10-12月期の2.72%から2.79%に上昇したものの、貸出残高の伸びが予想以下となったことで、BOCIの予想には届かなかった。一方、手数料収入は前年同期比63.5%増の177億4900万元と予想を38.5%上回る水準。詳細は明らかになっていないが、資産管理業務および融資関連の保証業務による貢献とBOCIは推察。今後も手数料収入は比較的急速な伸びを示すと予想している。

一般貸倒引当金繰入額は予想を大幅に上回る前年同期比42.9%増の121億4800万元。引当金繰入前の業務利益が前年同期比40%増と比較的高い水準であったことを踏まえ、同行は前倒しで引き当ての強化を図り、リスク拡大懸念に備えたものとBOCIはみている。

11年3月末の不良債権残高は10年末の1004億元から916億元に減少。不良債権比率は2.03%から1.76%に低下し、資産内容の健全化が進んでいる。11年3月末時点の不良債権に対する引当率は197.44%。貸出残高に対する引当率は3.47%。

1-3月期の費用収益比率は30.18%。当期の費用は前年同期比21%増と増収率に比べて小幅にとどまった。1-3月期は比較的費用が抑制される時期とはいえ、預貸金利回差の拡大にもかかわらず同行がコスト管理に成功したことが表れている。今後は費用収益比率が上昇する見通しだが、影響のない範囲とBOCIは予想している。

3月末時点の貸出残高は年初に比べて5.27%増と、業界平均を上回る伸びを示した。同期間の預金残高は5.38%増。預貸比率は55.71%と比較的低水準にある。貸出残高の伸びにより今後さらに預貸比率が上昇する可能性が高く、預貸金利回差の拡大が見込まれる。

一方、当期決算内容の懸念事項として自己資本比率が挙げられる。3月末時点の中核自己資本比率(Tier1)は9.61%、自己資本比率は11.4%。Tier1は当局の最低基準9.5%を若干上回る水準にあるが、自己資本比率は基準値を下回っている。計算方法や当局の基準が改正されない限り、同行は資本状況の改善を迫られるであろう。

また、要求払い預金の割合が10年末の57.7%から56.46%に低下している点も注視(BOCI試算)。定期性預金への資金の流れが一部影響している。こうした状況は金利上昇局面において利ざやの最大化に対しネガティブに働く。

以上の観点を踏まえ、BOCIは同行の目標株価を若干引き上げる一方、株価見通しについては中立の見方に据え置いている。