日本株は無事に10月相場を終えました。アメリカ大統領選挙など、相場が荒れる要因はまだまだありますが、今のところ日本株はゆるやかな上昇局面にあります。今のうち、本格的な株価上昇となったときにしっかり利益を得るためのコツを押さえておきましょう。

「我慢ができない」個人投資家は多い

本格的な上昇局面になっても、意外と利益をあまり上げることができない個人投資家は多いです。それは、「我慢ができない」からです。

何に我慢ができないかと言えば、「含み益の状態」に我慢ができないのです。

つまり、こういうことです。買った株の株価が順調に上昇し、10%の含み益が生じているとしましょう。当然、今売れば10%の利益が確定します。一方、もしここから株価が下がってしまったら、10%の利益は消えてなくなってしまうかもしれません。

そんな気持ちから、「ここから株価が下がってせっかくの含み益がゼロになるのはイヤだから、今売って10%の利益を確保しておこう」という判断をする個人投資家は非常に多いです。

上昇トレンドならばとことんまでついていくべき

個人投資家の多くが本格的な上昇相場で利益を上げられない理由、それはこのように「上昇初期ですぐに利食い売りをしてしまう」からです。

以前から言われているのが、個人投資家には「逆張り派」が多いということです。つまり、株価が下がったら買い、上がったら売るというスタイルです。そのため、買値から株価が10%、20%上昇すると、「もう十分」と満足したり、「すぐ下げるのではないか」と心配になったりして、小さな利で売ってしまうのです。

しかし残念ながら、株価が大きく上昇する壮大なスケールの相場では、この「逆張り」は通用しない可能性が高くなります。一旦10%、20%の利益で売却し、その後株価が下がったら買い直そうと思っても、2倍、3倍と株価が上昇し続けてしまい買い時が一向に訪れないことも多いからです。

逆に、株価が上昇トレンドにある限り保有を続ける「順張り」の発想でいれば、一度大相場に突入すれば、2倍、3倍の株価上昇をしっかり取ることが可能となります。

保有と新規買いは少し分けて考えた方がよい

このように、保有している銘柄の上昇トレンドが続く限りは保有を続けてできる限り利を伸ばすべきというのが筆者の方針です。

ただ、上昇トレンドに突入してから株価がそれなりに(30~50%ほど)上昇した銘柄について、どんどん積極的に新規買いをしていってよいのかというと判断が難しいといわざるを得ません。

なぜなら、本格的な上昇相場にならなければどうしても株価がどこかで頭打ちになってしまい、高値で買った場合は結局損切りを余儀なくされてしまうケースも多いからです。

ですから上昇トレンド入りしてからすでに時間がたっていて株価が大きく上昇している銘柄ばかりを新規買いするのではなく、直近になって上昇トレンドに転換した銘柄についてもある程度買うようにしておくことが無難です。

個別銘柄の動きを日々ウォッチしていれば、上昇トレンド転換した直後の銘柄を見つけることは可能です。

流行を追いかけるか、我が道をいくか

株式投資とファッションは似ているところがあります。それは、その時々により「流行」があるということです。

最近の日本株にも「流行」があります。ここしばらくは円高の傾向が続いていたため、好業績が続く内需系銘柄に強い動きが目立ちます。でも、内需系銘柄の中でも今年7月上旬ごろに高値をつけた内需系優良株については、まだリバウンドの域を超えておらず、中には全く上昇できていない銘柄もあります。

つまり、同じ好業績内需系銘柄であっても、銘柄ごとに株価の動きは大きく異なっているということです。

一方、個人投資家に人気の高い中低位株や新興市場銘柄はサッパリ上昇しないものも目立ちます。筆者も日々400銘柄程度の株価チャートをみていますが、中低位株や新興市場銘柄の中には、好業績の予想にもかかわらず株価が反転する兆しがなく、下降トレンドが続いているものも少なくありません。

こんなとき自らの信念を貫き、今は不人気であってもやがて日の目を見ることを信じて保有を続けるのか、それとも強い銘柄についていくのか・・・、筆者であれば強い銘柄についてしまいがちですが、突然物色の対象が変わることも多々あります。そうなれば高値圏で買ってしまったということになり、損切りによる損失も覚悟しなければなりません。

そのため、筆者は上昇トレンドに転じているならば、不人気で安値圏に放置されている銘柄であってもある程度買っておくようにしています。本当の大相場が来れば、そうした出遅れ銘柄にも資金が回り、大きく上昇することになるからです。

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