10年本決算は9%増益、期末の受注残高は43%の伸び

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00390 中国中鉄股フン有限公司(チャイナ・レールウェイ)  5.18 HKD
(04/01現在)
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中国中鉄の2010年12月本決算は、純利益が前年比8.9%増の74億9000万元と、BOCIの予想をやや下回った。売上高は同36.5%増の4561億元。BOCIは11-13年の予想EPSを下方修正し、0.437元、0.524元、0.621元に設定。これに伴い目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する中立的な見方を継続した。

同期決算では販売費の対売り上げ比率が前年比0.03ポイント低下する一方、一般管理費比率は0.01ポイント上昇。ほかに財務コスト比率が実質127.11ポイントの幅で急上昇した(H株増資後の為替差損などを除く)。一方、長期保有株の売却などで、投資収益は223%増。また、法人所得税は79.7%増大したが、これは一般税率が前年の14.27%から21.03%に引き上げられたため。保有開発用地の拡大などで、営業キャッシュフローは94.9%減少した。

インフラ建設部門の粗利益率は前年の8.11%から7.66%に低下したが、これは粗利益の計上基準に満たなかった新規事業の増加やプロジェクト予算の調整、建設コストの増大、鉄道建設事業の比重拡大などが背景。調査・設計・コンサルティング部門では人件費低下やコスト管理の改善、低利幅の業務の比重縮小を受け、粗利益率が27.64%から35.19%に上向いた。また、エンジニアリング設備・部品製造部門の粗利益率は、原材料高騰や競争激化を受けて16.74%から16.27%へ低下。不動産開発部門の粗利益率は、国内の政策による影響や人件費増大などを背景に、26.32%から23.73%に後退した。

10年通期の新規受注額は前年比22.2%増の7354億8000万元と、引き続き大幅な伸びを維持した。うちインフラ建設受注は同14.3%増の6194億8000万元で、国内鉄道建設市場で40%強、都市鉄道建設市場で50%強のシェアを確保した。インフラ部門の新規受注のうち、鉄道建設受注は31%増の4069億1000万元、道路受注が12%減の764億元。ほかに調査・設計・コンサルタント部門の新規受注が同9.2%増の93億9000万元、工業設備・部品製造分野の新規受注が19.9%増の147億5000万元に達した。一方、10年期末時点の受注残高は前年同期比42.3%増の9667億1000万元。うちインフラ建設プロジェクトの受注残が8687億3000万元を占めた(前年比35%増)。

同社は10年通期に14億4000万元の設備投資を実施し、固定資産の取得に77億4000万元を振り向けた。11年の設備投資予算は約159億元。また、同社経営陣が示した11年通期の目標は、売上高が4475億元、営業コストが4070億元で、新規受注額は6500億元。BOCIは全般にやや控えめな目標値と受け止めている。BOCIは海外建設市場で中国企業を取り巻くリスクが高まっていると指摘しながらも、同社はリビアにプロジェクトを持たず、海外事業に絡むリスクは相対的に低いとの見方。同社の競争力や国内での優位、さらに海外市場の大きな開拓余地を軽視するべきではないと指摘している。