4月7日
秦皇島の石炭価格は横ばい推移、セクター全体のファンダメンタルズが改善
中国の主要石炭積み出し港・秦皇島では先週(4月4日までの週)、石炭価格が前週比横ばい推移する一方、石炭在庫が同9.2%減少した。旺盛な需要を背景に、発電用炭価格は再び上昇に転じる見込み。また、先週のコークス炭価格は前週並みで、コークス価格は引き続き調整した。BOCIは石炭セクターのファンダメンタルズが上向いているとの見方を示し、香港上場のカバー銘柄の中ではエン州煤業(01171)をトップピックとしている。
キーポイント
3月29-4月4日週には秦皇島の石炭価格が前週比横ばい推移する半面、在庫は704万トンに低下した。主に大同-秦皇島間鉄道の大型保守点検を受け、秦皇島に向かう石炭輸送能力が12.5%落ち込んだことが響いた。また、秦皇島港の処理量が過去2-3週間にわたって高水準に達したことも在庫減少の一因となった。
在庫の減少と需要増を背景に、秦皇島の石炭価格は今後上向く可能性が高い。大型発電プラント6カ所の石炭在庫レベルはすでに低水準にあり(1月とほぼ同じ13日分)、在庫補充の必要性が短期的に発電用炭価格を押し上げる見込み。ただ、BOCIはこの先石炭需要の閑散期を迎えることや、国家発展改革委員会が「発電用炭価格の安定維持」を指示したことなどに言及し、当面の価格上昇幅は限られるとみている。
大同南部郊外産の発電用炭坑口価格は先週、前週比で1.0%上昇。2月末以来初めて上向きに転じた。
日本の中国電力は資源会社エクストラータとの間で、11/12年度の発電用炭(6700キロカロリー種)契約価格を1トン当たり130米ドルとすることで合意した。この価格は日豪間の発電用炭契約価格のベンチマークとなる見込み。前年比では30%強の値上げを意味する。
メディア報道によれば、国内の一部火力発電所の石炭在庫はすでに警戒レベルまで低下しているもよう。ただ、BOCIは現行価格での石炭調達を極力控え、政府当局による電気料金値上げを促そうとする発電事業者側のスタンスが影響しているとの見方。石炭供給不足を意味するものではないと指摘している。仮に電気料金値上げが見送られれば、電力会社は石炭在庫の補充に動き、在庫レベルが再び正常化する見通しという。
国家発展改革委員会は4月2日、インフレ抑制に向けて「石炭供給の保証と石炭価格の安定化」に向けた緊急通達を発し、国内全土に適切な石炭供給量の確保と価格維持を要求した。また、石炭生産者に対してはいかなる形式での値上げも見合わせるよう指示した。BOCIは電気料金値上げが行われる可能性は低いとし、政策要因を理由に石炭価格の上昇幅も限定的となる見通しを示している。
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