10年本決算は52%増益、受注好調や設備増強で収益見通しを楽観

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01893 中国中材股フン有限公司(チャイナ・ナショナル・マテリアルズ)  7.04 HKD
(03/31現在)
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中国中材の2010年12月本決算は、純利益が前年比52%増の10億9000万元に達した。この数字はほぼBOCIの予想通りの水準で、全事業部門が力強い伸びを示した。BOCIは11年、12年の予想純利益を1-6%上方修正し、11-13年のEPS伸び率が年率29%に達すると予想。同社株価の先行きに強気見通しを継続している。

10年通期には主力事業の一つ、セメント設備・技術サービス部門の営業利益が前年比79%増の19億元強に達した。33%の部門増収や粗利益率の改善(12.4%→13.2%)などが大幅増益を支えた要因。10年にはセメント設備製造の世界最大手としての地位を一段と固め、新規受注額で37%の世界シェア(中国を除く)を確保した。通期の新規受注は前年比17%増の261億元。期末の受注残は前年比3%減の492億元だった。

セメント生産部門の業績も好調で、85%の部門増収やセメントおよびクリンカー販売量の74%の伸びを背景に、営業利益は88%増の25億8400万元。期末のセメント年産能力は前年比36%増の7050万トン。また、新素材部門の営業利益は同32%増の5億7600万元だったが、2億元強の資産減損損失を除いた場合は84%の増益。ガラス繊維、ローターブレード、太陽電池用シリコン溶融ルツボなど、主要製品の販売量がそれぞれ25%、121%、725%増え、売上高は52%増。粗利益率は21.8%から26.6%に改善した。

BOCIは同社の11年の収益見通しを楽観している。まずセメント設備部門では新規受注が高水準で推移する見込み。特にインド市場の開拓に目を向けており、現地企業と生産ライン10本(日産5000トン)の供給契約をめぐって協議を行っている。また、セメント生産部門は11年末までに年産能力を1億トンに引き上げる計画で、新規ライン13本(年産1950万トン)の建設が進行中。経営陣によれば、11年のセメント、クリンカー販売量は前年比30%増の6000万トンに達する見通しという。新素材部門では需要増に対応してローターブレードの設備増強を進めており、最近では風力発電機大手の新疆金風科技(02208)から17億元規模の受注を獲得参入したばかりのシリコン溶融ルツボ生産事業では、世界最大規模(年産能力50万台)のライン建設を計画している。

一方、11年の設備投資予算は前年比3倍増の259億元で、うち66%をセメント生産部門に振り向ける予定。また、同社は400億元の融資枠を保有しており、手元現金は140億元。BOCIはこの先の事業拡大に向け、十分な資金力を確保したとみている。

BOCIは特に同社の研究開発力を高く評価し、新規事業の成長潜在力を指摘している。例えば、都市部家庭から出たゴミを原材料とするセメント生産ラインの開発がすでに進行中。また、風力、太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)プロジェクトの受注機会をうかがっているという。BOCIは仮にこうした試みが成功した場合、同社に環境保護銘柄、代替エネルギー銘柄としての新たな価値が加わると指摘している。