日本株の下値不安はまだ続いています。日経平均株価は8月26日に17,714円30銭の安値をつけた後、反発に転じるものの長くは続かず、9月4日には先の安値を割り込み一時17,608円17銭まで下落しました。

とはいえ、8月28日には19,192円82銭まで上昇し、およそ1,500円幅のリバウンドを見せたことも事実です。今回はこのリバウンド相場において、筆者がどのように動いたかをお話ししたいと思います。

筆者がリバウンド狙いの買いを入れた理由

筆者は株価が大きく下落する中、リバウンド狙いの買いを実行することは基本的にはしません。しかし、さすがにここまで下げればそれなりのリバウンドは生じると思い、8月25日の昼休みに、リバウンド狙いの買い注文を入れました。

その根拠はいくつかありますが、1つには、25日朝方の安値近辺での日経平均株価の25日移動平均線からのマイナスかい離率が12%にまで達し、マイナスかい離が10%を超えると反発する可能性が非常に高いことが過去の経験則から言えるという点です。また、金融危機による信用収縮も起きていないため、リーマンショックのような過去の経験則が通用しないような暴落にはならないと思ったのも理由の1つです。さらに言えば、これまで株式投資をしてきて何度も見てきた底打ちの雰囲気を感じたからです。いわば長年の経験による「勘」です。

8月25日の朝方に安値を付けた後の急反発をみて、底打ちの可能性が非常に高いと思い昼休み中に買い注文を入れたのです。

要は、さすがにここまで株価が下がった後で急速に戻したため、相応のリバウンド相場に入っただろうと判断したのです。筆者はこの時点で保有株の実質的な買い持ちはほとんどありませんでしたので、もしリバウンドの規模がそれなりに大きくなれば、その間利益を得られないのは面白くないな、という多少の助平根性もあったのは事実です。

なお、8月25日の昼休みまでは、株価下落中にリバウンド狙いの買い注文を入れることはありませんでした。筆者は、株価が移動平均線を割り込んでいるときの買いは、直近安値割れを損切りとしますが、株価下落中には直近安値というものが存在しません。でも、8月25日の昼休みの時点では、ほぼすべての銘柄が朝方の安値から反発していたため、その安値を割り込んだら損切りとする、という明確な損切り価格が存在していました。ですから、8月25日の昼休みになって初めて、リバウンド狙いの買いを入れたのです。

筆者がリバウンド狙いの買いを実行する際に注意した点とは?

もちろん、このタイミングでの買いが100%大丈夫とは到底言えません。リーマンショックのようなことも起こり得るため、買いを入れる際は以下のような点に留意しました。

  • 下降トレンドに転じたタイミングが遅かったもの(つまり直近まで強い動きを見せていたもの)を中心に買った
  • 仮にこの判断が誤っていて、損失が生じてしまうとしても許容できる額に収まるような分量のみにとどめた
  • 買った銘柄につき、8月25日の朝方につけた安値を割り込んだ価格での逆指値の売り注文を出した

① について補足しますと、ここ最近は二極化相場が続き、強い銘柄は強く、弱い銘柄はいつまでも弱いという状況にあります。ですから、仮にリバウンド相場に突入した場合、それまで強かった銘柄の方が、大きな戻りがより期待でき、場合によっては移動平均線を突破して再度上昇トレンド入りすることも十分に可能と判断したのです。

② については、投資可能資金の20%の分量のみにとどめました。これは、25日昼休み時点での各個別銘柄の25日朝方の安値からの反発は大きく見積もっても10%程度であり、仮にここから再度株価が急落して損失を被るとしても、安値割れで損切りとすれば損失率は最悪10%で抑えられると計算してのことです。つまり、この買いが失敗したときの投資可能資金全体に占める損失率は、20%×10%=2%となります。過去の経験則上リバウンド入りの可能性が高いことを踏まえれば、2%の損失率を受け入れるだけのリターンは十分あると判断しての行動です。

③ は、筆者は、昼間は仕事をしていて場中に株価を見ることができないため、安値割れでの損切りが確実に実行されるようにしました。特に株価急落局面では株価の変動が非常に大きくなり、場が引けてから翌日に注文を出すのでは遅すぎるという可能性もあるからです。

リバウンド狙いの買いを後悔した25日後場の株価急落

しかし、8月25日の夕方、仕事が終わり日経平均株価の終値を見ると、一瞬何が起こったか理解できませんでした。午後になってから、午前中の反発をほぼ打ち消すほどの下落が生じていたからです。まさか、午後だけで株価が1,000円値下がりするなど、夢にも思っていませんでした。

もちろん、8月25日朝の安値割れを損切り価格とし、全ての買い銘柄が損切りとなっても許容できる程度のリスクしかとっていません。それでもわずか半日で含み損がかなりの額に達したことに結構ショックを受けました。

ただ、幸いなことに全ての銘柄において、午前中に付けた安値を割り込んでいなかったこと、翌26日からリバウンドに入ったことから、損切りの憂き目にはあわずに済みました。

その後、27日、28日と順調なリバウンドをみせ、含み損が含み益に変わり、ほっと胸をなでおろしましたが、31日の株価の値動きをみて、何か嫌な予感を感じました。まず日経平均株価自体が、すでに底値から1,500円幅の反発、言い換えれば下げ幅の半値戻しに達していて、ここからのさらなる大幅な反発は期待しにくいこと、そして、それまで強い動きをしていた銘柄の反発力が思いのほか弱かったことです。そんな中、8月31日の日経平均株価や個別銘柄の下げを見て、「リバウンドが終わったかもしれない」と思い、リバウンド狙いの買いを順次売却することとしたのです。

もちろん、そこからリバウンドが継続する可能性も多分に残っているのですが、リバウンドによる利益を得られなくなることよりも、ここから再度株価が大きく下落して、買った銘柄の損失が生じることを回避すべきと思ったのです。

まだ9月1日の段階ではトータルでそれなりの利益が残っていましたから、結果的にはうまく逃げることができました。その後日経平均株価や多くの個別銘柄が8月下旬の安値を再度割り込んだことは皆様ご承知のとおりです。

結論:純粋なリバウンド狙いはサラリーマン投資家には困難

改めて急落前後の株価チャートを見直してみますと、リバウンド狙いの買いを入れるべきベストタイミングは8月25日の午前中か、8月26日の寄り付きでした。これ以外のタイミングは早すぎ、もしくは遅すぎであり、リバウンド狙いのつもりが逆に損失を被ってしまう、という事態も十分に起こりえます。また、売却は8月31日~9月1日の間に行うべきでした。

でもこれを、場中に株価をチェックすることができないサラリーマン投資家が適切に実行することができるかといえば、非常に困難と言わざるを得ません。強いて言えば、場中以外のタイミングとしては、8月26日の寄り付きで買い、9月1日の寄り付きで売るのが唯一の正解でした。これ以外のタイミングでは、リバウンド狙いのつもりが損失を被ってしまう結果になりかねませんでした。

つまり、場中以外で売買のタイミングを計るには、リバウンド狙いは向いていません。それほどまでにリバウンド狙いのタイミングはシビアなのです。

はっきり申し上げて、8月25日のように朝方底値をつけてから午前中だけで1,000円上がり、午後になったら1,000円下がる、というような株価の動きを見せつけられてしまうと、場中に株価を見ることができない状況でリバウンド狙いの買いを入れることなど恐ろしくてできません。今回の筆者は結果オーライでしたが、やはり昼間仕事をしている個人投資家の方のリバウンド狙いは、失敗する可能性がかなり高くなります。やるにしてもほどほどに抑えておくべきと強く感じました。

今のように日々の株価変動率が高い状況では、売り買いのタイミングが1日ずれるだけで簡単に10%程度の損失が生じてしまいます。特に昼間仕事をしている個人投資家の方は、今は「休むも相場」という言葉がぴったりな相場環境だと思います。相場が落ち着くまで無理をせずに少し休んで、次のチャンスを確実にものにするようにしたいものですね。