10年本決算は10%増益、ガス部門の販売伸び率減速を懸念

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00392 北京控股(ベイジン・エンタープライズ・ホールディングス)  44.40 HKD
(03/31現在)
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北京控股の2010年12月本決算は、純利益が前年比10%増の26億3900万HKドルと、BOCI予想、コンセンサス予想をそれぞれ5.3%、4.5%下回った。水処理部門を除く各事業部門の業績がBOCIの予想値をやや下回り、下期の純利益は上期比で31%減った。

都市ガス事業を手掛ける子会社、北京ガスの通期の販売量は前年比13.5%増の64億6000万立方メートルとやや伸び悩んだ。利益貢献は7億8000万HKドルと、BOCI予想を10%下回った。また、販売量の減速や利幅の悪化が響き、部門利益は上期の5億1900万HKドルから下期には2億6100万HKドルに半減した。BOCIは北京ガスの契約者に占める個人世帯の割合が上期の17.6%から21.6%に上昇したことで、価格転嫁がさらに難しくなるとみている。北京ガスの事業エリアは市周辺の衛星都市10カ所やガス火力発電基地4カ所を含み、BOCIは長期的なガス需要の伸びを楽観しているが、同社経営陣によれば、11年の販売量伸び率は前年比10%未満にとどまる見込み。BOCIはこの点をサプライズとして受け止めている。ガス火力発電所向けの供給が始まるまでには時間を要し、当面は個人世帯の需要増に依存しなければならないという。BOCIは北京ガスの12-13年の予想増益率を年率16%に据え置いているが、仮に10%に下方修正した場合、北京控股の予想純利益が3-4%下向くとしている。

また、天然ガス輸送を手掛ける中石油北京天然ガス管道(PBG)の通期の輸送量は前年比20%増加したが、利益貢献は7%増の11億7000万HKドル。陝京(陝西-北京)パイプライン2期の圧縮システム稼働に伴う7億5000万HKドルのコスト増などが響いた。BOCIは陝京第3パイプライン1期の昨年の稼働開始を受け、今後4億HKドルの償却費が上積みされるとの見方。さらに第3パイプラインの全期稼働に伴いさらに償却費が膨らむとみて、PBGの純利益率の低下傾向を予想している。

傘下の燕京ビールの通期販売量は予想を下回る503万トンで、利益貢献は4億1000万HKドル。BOCIは人民元高を背景に、燕京ビールの向こう3年の利益成長率を14-16%と予想し、北京控股の利益全体の20%を構成するとみている。

一方、水処理を手掛ける北控水務集団(00371)は5億1300万HKドルの純利益を計上し、BOCI予想を8%、市場予想を25%上回った。北京控股は11年下期にも、9号リサイクルプラント(10年通期に10%減益)を北控水務集団に注入する計画。BOCIはこの取引が北京控股にとってプラスになるとの見方を示した。

BOCIは都市ガス販売量やPBGのコスト、燕京ビールの販売量などに関する想定値の見直しに伴い、11-13年の予想純利益を7.2%、7.5%、3%下方修正した。豊富な手元現金や安定的な配当政策が支援材料となる可能性に触れながらも、同社株価に対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。