先週4月10日の金曜日、日経平均株価が一時20,000円の大台に達しました。これは2000年4月以来15年ぶりのことです。
ここまで株価が上昇すると、素直に喜ばしい一方で、「保有株をそろそろ売った方がよいだろうか」と逆にそわそわしてしまうのも事実です。
そこで今回のコラムは、20,000円まで駆け上がった日経平均株価を踏まえ、ここから保有株をどのようにしていけばよいかを考えてみたいと思います。
今の日本株は「バブル」なのか?
ここまで日本株が上昇すると、必ずといってよいほど耳にするのが「日本株はバブルだ」「いや、バブルではない」という専門家の見解です。筆者は、これらの見解については気にしていません。日本株がバブルなのかどうか、日本株がどこまで上昇するのかは、後になって振り返ってみなければ分からないからです。
さらに言えば、利益を伸ばすために「バブル相場」は積極的に活用すべきというのが筆者の考え方です。健全な株価上昇だろうがバブルだろうが、上昇トレンドが続いているならばそれが終わるまでとことんついていくべきです。
そうは言っても念のため筆者の見解を申し上げておきますと、現在の日本株がバブルとは思いません。2016年3月期の予想利益をもとにすると、現時点での日経平均株価のPERは14倍程度に過ぎないからです。ただし、個別銘柄によっては、成長性がそれほど高くないにもかかわらずPERが40倍、50倍にまでなっているものもあります。こうした銘柄を今から新規買いするようなことは避けた方が無難だろうとは思います。
なお、いくら企業業績と比して割高ではないとはいえども、現在の日本株の上昇は金融緩和マネーが株式市場に流入しているという需給面の要因が大きいのも事実です。したがって、今後緩和マネーが逆流することにより株価が急落してしまうリスクは頭の隅にいれておくべきではあります。
「高所恐怖症」では上昇相場でも利益をあげられない
アベノミクス相場においても、大して利益をあげることができていない個人投資家は意外と多いようです。その理由の1つがいわゆる「高所恐怖症」にあると筆者は思っています。株価が買値から10%とか20%上昇するだけで、もう利食い売りをしたくなってそわそわしてしまうのです。
根底にあるのは、多少株価が上がった時点で利食い売りをしておかないと、結局は株価が下がって損をしてしまうという考え方です。
そして確かに、長期的な下降トレンドが続いていたバブル崩壊後の日本株ではこうしたことが頻繁に生じていたのも事実です。
しかし今は長期的な上昇相場に転じています。長期的な上昇相場では、株を保有する期間が長いほど、利益を積み重ねていくことができます。少しの利益で利食い売りをするという考え方は改めるべきでしょう。もし約2年半続いているアベノミクス相場で満足のいく利益を得られていないならば、今ご自身がされている投資手法や考え方を早急に見直さなければ今後も利益を得ることは難しいと言わざるを得ません。
株価のトレンドに応じた売買で「高所恐怖症」からの決別を
そこで活用すべきなのが「株価のトレンド」です。日足チャートや週足チャートをみて、上昇トレンドが続いている限り(移動平均線より株価が上に位置している限り)は保有を続ける、たったこれだけで上昇相場では利益を大きく伸ばすことができます。
この株価のトレンドに応じた売買が優れているのは、「バイアンドホールド」のような単に持ちっぱなしの方法とは異なり、売るべき時にはしっかりと利食い売りを出すことができる点にあります。
上昇相場がこのまま続けばよいですが、もう少しで終わってしまうかもしれません。でも、株価のトレンドに応じて売買すれば、上昇相場が続けばそのまま保有して利益を伸ばせばよいですし、トレンドが下向きに転換したならば利食い売りをしてしっかりと利益を確定することができます。
買値から10%や20%上昇したら「高所恐怖症」で保有株を売りたくなってしまうのは、売買に明確なルールや基準を持っていないからです。だから何となく「そろそろ売った方がよいのかなあ」と思ってしまうのです。
株価が移動平均線を上回る限り保有を続け、移動平均線を割り込んだら売却するという単純なルールを1つ採用するだけで、買値から30%上昇しようが、50%上昇しようが、3倍になろうが、心配なく保有を続けることができるようになります。
株価のトレンドに応じた売買は、その後株価が上がっても下がっても、適切な対応を取ることが可能な非常に優れた方法なのです。
上昇トレンド初期に安く買っておけば「高所恐怖症」になりにくくなる
個人投資家が「高所恐怖症」に陥ってしまう理由の1つが、過去に保有株の売り時を逃した結果、逆に損失を被ってしまった経験があるためと考えられます。
この大きな要因の1つが、「買いのタイミングが遅かった」という点です。つまり、株価はとっくの昔に上昇を始めているのに、そこから株価が2倍、3倍にも上昇してからようやく新規買いをしている、というパターンです。
もし買いのタイミングが適切であれば、売り時を逃して逆に損失を被ってしまう可能性は小さくすることができます。そのために筆者が常に実行しているのが、「上昇トレンドへの転換直後の買い」です。
上昇トレンドへの転換直後、つまり株価が明確に移動平均線を上回った直後に買えば、上昇の初動段階で新規買いをすることができます。今のような相場環境では、一度上昇がスタートすると株価が2倍、3倍と上昇していくことは珍しくありません。その後に株価が20~30%急落したとしても、買値よりまだまだ高い水準ですから損失が生じることはなく、含み益が減るだけです。そうなれば、株価急落でもパニックにならず冷静に判断することが可能となります。
トレンドに応じた売買に加え、上昇トレンドの初期段階で新規買いするようにすれば、「高所恐怖症」から克服できると筆者は確信しています。
「高所恐怖症」を気にするのは株価急伸時だけで十分
ただし、株価のトレンドに応じた売買でも「高所恐怖症」を気にすべき局面はあります。それは、株価が短期間で急騰した場合です。
株価トレンドに応じた売買では、保有株を売却するのは原則として株価が移動平均線を割り込んだ場合です。通常、日足チャートでみれば、下降トレンドへの転換は高値から10~15%程度下落してから生じます。高値でピンポイントで売却することは不可能ですから、これでも十分に「高値圏」で売却できることになります。
しかし、株価が短期間に急騰すると、株価と移動平均線とのかい離が大きくなってしまい、仮に株価が移動平均線を割り込んだら売却としてしまうと高値から30%、40%も下がってからでないと売却できないことがあるのです。
そこで株価が短期間に急騰した場合は、「今の株価が大きく下落して移動平均線を割り込むまで待ってから売却としても後悔しないか」という基準で、保有株を売却するかどうか判断してください。
株価が急騰している銘柄をいったん売却すると、それを買い戻すのは難しくなります(高値掴みの危険性が高いため)。一方で、株価が急騰している銘柄が、大した調整もせずにさらに急騰するというケースも珍しくありません。
そこで、今後株価下落により利益が減ってしまうことを覚悟でさらなる株価上昇に賭けたいならそのまま保有とします。逆に、さらなる株価上昇のリスクはあるものの、株価がここから大きく下がって利益が減ってしまうことを避けたいのであれば保有株は売却とします。
もし、どちらか決めかねるのであれば、どう転んでもよいように保有株の一部だけを売却するというのも有効な戦略です。
日本株上昇の流れにいまいち乗れていない、という個人投資家の方は、株価のトレンドに応じた売買を一度試してみてください。そしてぜひ、保有株が買値の5倍、10倍になる喜びを実感してください。
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