今年も新年度の4月を迎えました。さっそく株式投資を始めようという意欲の高い新社会人の方もいらっしゃることでしょう。また、本コラムなどで株式投資の知識を勉強し、いよいよ個人投資家としての第一歩を踏み出そうとされている方も少なくないと思います。

そこで今回のコラムは、個人投資家として長年株式投資を行ってきた筆者が、株式投資で資産を大きく増やすために実践してきたことをいくつかご紹介し、これから株式投資を始められる方や、始めて間もない方へのアドバイスとしたいと思います。

やるからには目標は高く持とう

株式投資のみならず、何か新しいことを始めようとするときは、最初の一歩を踏み出す勇気が必要です。そして、株式投資では、この最初の一歩のハードルが結構高いようなのです。せっかく意を決して株式投資の世界に足を踏み入れたわけですから、目標は高く持つべきです。筆者は1つの目標として、「1億円」を設定することをお勧めします。

今回のコラムタイトルを「「億」への細道」としたのはここに理由があります。確かに細い道ではありますが、そこへ至る道は確かに存在しているのです。

もちろん、株式投資を始めて間もないころは、この目標は全く非現実的なものに感じるでしょう。しかし、高く目標を持って、それを実現するために勉強し、努力することが株式投資での成功につながることは間違いありません。

そして、株式投資を何年も続け、資産がある程度増えてくると、この目標が決して夢物語ではないことが次第に実感できるようになるはずです。

普通に仕事をしているだけでは1億円を貯めることは容易ではありません。でも、株式投資は、誰もが大きく資産を増やすことができる可能性がある、非常に素晴らしいツールなのです。

お金の出入りは「一方通行」にする

目標を1億円に設定したところで、次はその目標を実現できる可能性をより高めていくための具体的な仕組みを構築します。

その1つが、証券会社へ入金したお金は、基本的には引き出さないということです。つまり、お金の出入りを銀行から証券会社への「一方通行」とするのです。

株式投資をするにあたり、始めから1,000万円といったまとまった資金が必要なわけではありません。筆者もスタート時の資金は30万円でした。10万円でも一向に構いませんが、要はこの小さい資金をいかにして効率的に増やしていくかが重要なのです。

「複利効果」というものは皆さんも聞いたことがあると思います。投資により増えた元本を再度投資に回すことで、より短期間で大きな資金の増加が期待できるというものです。

例えば、100万円を株式投資にあて、1年あたりで資金を10%増加させることができる場合を考えてみましょう。

この場合、1年目の利益は100万円×10%=10万円です。この利益を毎年引き出していたとすると、20年間トータルの利益は10万円×20年=200万円です。20年で100万円が300万円になった計算です。

でも、毎年の利益を引き出さずに、再度株式投資にあてると、100万円を672万円にまで増やすことができるのです。これが「複利効果」です。

もし、年間の利益が10%でなく15%なら、前者が400万円となる一方、後者では1,636万円と、さらにその差が大きくなります。

これに加え、新たにお金ができたときに投資元本を追加していけば、さらに加速度的に資産を増やすことができ、1億円も十分射程圏内になります。

給与収入はそのまま銀行に預けておくよりも、無理のない範囲で証券会社の口座に移し替え、投資元本をできるだけ増やしていていくことをお勧めします。複利効果を最大限享受するようにしましょう。

「損切り」の実行で大きく負けないようにする

株式市場はいつも右肩上がりに上昇してくれるわけではありません。相場環境がよければ、よほど売買のタイミングや銘柄選定を誤らない限りは大きく損をすることはありません。でも、ひとたび相場環境が悪化すると、これでもかというほどの下落をみせることがあります。適切な対策を講じなければ、投資資金が半分に減ってしまうことなどあっという間です。

よって、株式市場が軟調な局面に入ったとき、投資資金の目減りをできるだけ防ぐことが、株式投資で資産を大きく増やすためには重要です。そのための対策が「損切り」です。

株式投資で満足のいく成果を上げられているのは10人に1人ほどといわれています。そして、損切りをしっかりと実行できている個人投資家も、10人に1人ほどしかいないと思われます。損切りを適時適切に実行するだけで、株式投資で勝ち組に入れてしまうと言っても過言ではありません。

でも、買い値より値下がりした株を売却して損失を確定するという行動は、確かに抵抗があるのも事実です。ですから、何度も練習して、ベストのタイミングで損切りができるようにしておきましょう。筆者のように、株価が買値より下がって損切り価格に達したら、何も考えずにただ淡々と売り注文が発注できるようになればしめたものです。

しかし、中にはどうしても損切りできないという方もいらっしゃると思います。そんな方は、以前コラムも参考にしていただき、可能な限り大きな損失を出さないように気をつけるようにしてください。

成功している投資家を参考に自分なりの投資手法を確立する

最後に、自分自身に合った投資手法を確立することが重要です。つまり、「株価がこうなったらこう行動する」とあらかじめルール化しておくことです。

これをおろそかにして軸がしっかりしないまま株式投資を続けると、マーケットの動きや専門家のコメントに振り回され、結局は大きな失敗をしてしまいます。しっかりとした投資手法を確立できていれば、どんな相場が到来しても適切に対処することができるため、大きな失敗を避けることができます。

具体的にどうすればよいのか分からなければ、「成功している投資家」の投資手法をお手本にしましょう。株式投資に関する書籍はいくらでもありますし、著名な個人投資家のブログ等を読むのも勉強になります。筆者のコラムや書籍等を参考にしていただいても結構です。

なお、いくら「成功している投資家」といっても、自分自身では実行が難しいような投資手法を無理に実行しようとしても、うまく行かないことが多いですから注意してください。例えば筆者は、ウォーレン・バフェットの投資手法は個人投資家が真似することは非常に難しいと考えているため、参考にはしていません。

ところで投資手法、つまりどのような銘柄に投資するか、どのタイミングで売り買いを行うかというのは、実は正解は1つではありません。現に筆者の周りの成功している個人投資家は、投資している銘柄も売買のタイミングもそれぞれバラバラです。

要するに、人によって、自分自身に合った投資手法は異なるということです。ですから、「成功している投資家」の投資手法をそのまま鵜呑みにするのではなく、色々と試したうえで、最終的に自分なりの手法を作り上げていってください。

ちなみに筆者は、毎期増収増益を続ける好業績銘柄や、業績の急回復が期待できる銘柄、景気やマーケットに連動して業績や株価が変動する銘柄に投資することが多いです。その上で、株価のトレンドを重視し、ウォッチしている銘柄が上昇トレンドに転じたら買い、下降トレンドに転じたら売るようにしています。これが筆者の投資手法の概略です。