利益見通しの大幅な向上を予想、アンチウイルス・ソフトに成長潜在力

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03888 金山軟件有限公司(キングソフト)  4.47 HKD
(03/29現在)
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BOCIはキングソフトのバリュエーションや利益見通しがこの先大幅に上向く可能性を指摘し、その理由として以下の3点を指摘している。◇再編に伴うオンラインゲーム部門の業績回復◇中国政府の「コア電子部品・ハイエンドチップ・基本ソフトウエア製品」支援策がアプリケーション・ソフト部門の追い風となる見通し◇競合他社の米国上場に伴い同社アンチウイルス・ソフトの価値が顕在化する見通し――。

このうちオンラインゲーム部門について、BOCIは新規ゲームタイトルの発表に伴い、11年4-6月以降に営業利益率が上向くとみている。同社はまず5月をめどに、「月影伝説」、「Rush Team」「聖道」の3作品を投入し、夏休みのゲーム需要を取り込む方針。さらに10月の国慶節連休までには2Dゲーム「蒼穹之怒」を発表する予定。残る「幻想紅楼」はすでにベータ版運営を開始した。

WPSシリーズを展開する同社は、国内のオフィス・ソフトウエア市場で圧倒的なトップで、政府支援策の恩恵が及ぶ競合の永中(Yongzhong)を大きく引き離している。

また、同社のアンチウイルス・ソフトは信頼度の高い“デスクトップ・バトラー(執事)”として、主要ネット事業者に向けの戦略的価値が高い。昨年発生した騰訊控股(00700)と厦門奇虎網絡技術(Qihoo:セキュリティーソフト・メーカー)の対立を受け、有力ネットサービス・プロバイダーに対抗できるアンチウイルス・ソフト・プロバイダーの力量に焦点が当たった。“執事”としての同ソフトは、利用者のデスクトップ上にコンスタントにアクセスし、すべてのデータの流れをスクリーニングするとともに違法データや危険度の高いデータを排除。さらに利用者にとっての必要情報を毎日あるいは毎時間ごとにアップデートし、デスクトップを有用な販路に変える機能を持つ。 BOCIによると、アンチウイルス・ソフトの売上高は10年12月通期に2億400万元に達したとみられ、内訳は個人ユーザーの利用料金が1億7800万元、法人顧客が2600万元。キングソフトの同ソフト「毒覇」はQihooのシェアには及ばないものの、ブランド知名度が高く、09年時点で利用者800万人が月額10元を支払っていた実績があった。BOCIは利用料収入によるビジネスモデルが成り立つユーティリティーソフト・メーカーは極めて少ないとし、同社に対する消費者の信頼度の高さに言及している。 BOCIはゲーム事業とWPSシリーズを合計した同社の企業価値が22億2000万元に上ると試算し(うちゲーム部門は19億6000万元)、現在の時価総額が17%のディスカウント水準にあると指摘した(3月28日付の時価総額約50億HKドルから不動産評価額と手元現金を除外した18億5000万元との比較)。さらにアンチウイルス・ソフト部門の価値(推定19億9500万元)がこれに上乗せされるため、sum-of-the-parts(SOTP)方式に基づいて目標株価を上方修正。同社株価の先行きに強気見通しを継続した。