上手な個人投資家は自身の投資手法を確立している

皆さんは、株式投資において、自らの投資手法を確立していらっしゃいますでしょうか。実は、上手な個人投資家はみな確立した投資手法を持っています。筆者の周りでも、しっかりと投資成果を上げている個人投資家の方は、揺るぎのない投資手法を持ち、それにしたがって実際に投資を実行しています。

一方、人に会うたびに「何かいい銘柄はない?」と聞いて回る個人投資家は、残念ながら上達できる見込みは薄いです。しっかりした投資手法を持たず、常に他力本願では、やがて株式市場からの退出を余儀なくされてしまうでしょう。

大事なのは「上昇する銘柄を当てること」ではなく「自身の投資手法を確立すること」、上手な個人投資家はみなこの点を理解しているはずです。

ひとくちに「投資手法」といっても様々な種類がある

実は、投資手法といってもいくつもの種類があり、「これ」といった正解はありません。事実、筆者の周りの上手な個人投資家も、1人ひとり投資手法が異なっています。

例えば、投資期間1つとってみても、何年、何十年と保有を続ける「長期投資」、景気の波や株価のトレンドに従って売買をする「中期投資」、デイトレードをはじめとする「短期投資」があります。また、銘柄選びのアプローチも、ファンダメンタルを重視するのか、テクニカルを重視するのかの違いがありますし、成長株狙いなのか、割安株狙いなのかという違いもあります。売買のタイミングもトレンドに従った「順張り」とトレンドに逆らった「逆張り」があります。

ちなみに、筆者は株価のトレンドを非常に重視していますので、トレンドに従った「中期投資」が中心です。銘柄選びはファンダメンタルとテクニカルの両方が混ざったような方法で、売買のタイミングは「順張り」です。

投資手法を確立するためのポイント①自分の性に合っているか

自らの投資手法を確立するために大事なのは、まず「自分の性に合っている方法」かどうかを確認することです。

やはり、性に合っていない方法では長続きしませんし、その時々の相場環境に応じて何となく投資手法がブレてしまいがちです。

例えば、筆者は株式投資を専業としているわけではないので、銘柄研究にあまり多くの時間を費やすことはできません。そのため、ファンダメンタルによるアプローチをするにしても、精度をそれほど高めることはできないと考えていました。また、大きな含み損を抱えたまま持ち株の保有を続けることが苦痛なので、損切りを行うことには全く抵抗はありませんでした。そこで、精度の低いファンダメンタル分析を補うため、株価のトレンドに応じた売買や損切りを併用しています。

でも、中にはどうしても損切りが性に合わない、という方もいるでしょう。その場合は損切りをしなくても済むようにファンダメンタル分析の精度を上げ、将来株価の上昇が期待できる銘柄に絞って投資する、何年かに一度訪れる株価急落の場面を狙ってできるだけ安く買う、などの投資手法が考えられます。

投資手法を確立するためのポイント②成果が伴っているか

いくら自分の性に合った方法であっても、成果が伴わなければ意味がありません。デイトレードをはじめとした短期売買が好きでも、それにより利益を得ることができなければ、別の方法を模索すべきでしょう。

成果が伴っているかどうかをどの時点で判断するかも非常に重要です。デイトレードであれば、1カ月ほどやってみて利益を出すことができなければキッパリとやめる、もしくは何がいけなかったのか、反省点を洗い出した上で再度1カ月挑戦すればよいでしょう。トレンドに従った中期売買であれば、半年ないし1年程度続けてみて投資成果を判断すればよいと思います。

気を付けたいのが長期投資です。「投資期間が何十年と長期にわたるのだから、5年、10年の投資成果は気にする必要がない」とアドバイスしている専門家もいるようですが、これには筆者は賛成できません。

仮に投資期間が30年として、20年後、30年後に「この方法(長期投資)は失敗だった」と判明しても時すでに遅し、です。でも、10年後に投資成果を検証して、どうもうまくいっていない、となれば他の投資手法に切り替えることができます。30年のうち最初の10年で失敗しても、残り20年あれば何とかなる可能性は高いです。

 

筆者がトレンドに従った「中期投資」にたどりついたのは、まずデイトレードのような短期売買はうまくいかず、自分自身には向いていないことがはっきり分かったのと、右肩上がりの上昇が終焉した日本株で長期投資を行うことはあまりにも危険すぎると思ったからです。

もしどうしても投資手法を決められない、という方は、本コラムや拙著をご覧いただき、筆者の投資手法をぜひ参考にしてみてください。