10年本決算は25%減益、11年は飲料・製菓部門などの苦戦を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00506 中国食品有限公司(チャイナ・フーズ)  4.8 HKD
(03/29現在)
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中国食品の2010年12月本決算は、純利益が前年比25%減の4億2800万HKドルで、BOCI予想を7%下回った。飲料部門と厨房食品(食用油など)部門の業績は予想を上回ったが、製菓部門の赤字拡大が下振れ要因。通期の売上高は同19%の伸びを示したが、粗利益率は前年を2.4ポイント下回る25.5%。利幅の高いワイン部門の貢献が縮小したほか、各種製品の粗利益率に全般的な低下傾向がみられた。前年に販促強化によって販管費が大幅に増大した後、10年通期には販売管理費の対売上高比率が低下したが、ブランド構築目的の人員増強や北京のボトリング工場再編に絡む費用がかさんだ。

部門別にみると、10年通期にはワイン、飲料、食用油、製菓部門の売上高がそれぞれ3%減、12%増、39%増、11%増。ワイン部門では平均販売価格の伸びを受けて粗利益率が1.9ポイント上昇したが、製菓、厨房食品部門は2.1ポイント、1.2ポイント低下した。EBIT(金利・税引き前利益)伸び率では飲料が全部門の中で最も高く、売上高も前年比35%増、EBITマージンは1.1ポイント上向いた。09年中の原材料確保やスケールメリットの拡大が奏功した。また、食用油部門も堅調だったが、ワイン部門は販路再編コストの増大で販管費の対売上高比率が8ポイント上向き、EBITが38%減少した。

ワイン部門は販路再編の影響で10年上期に前年同期比7%減収となり、EBITは同47%急減したが、主要販売代理店との新規契約交渉が9月までに完了し、その後は売れ行きが回復に向かった。販売価格の上昇を受け、10年通期の粗利益率は60%。BOCIはワイン部門の正常化にはさらに1年を要するとしながらも、11年の販売を楽観。12年には販管費比率が低下し、製品構成の改善を背景に粗利益率もさらに上向くとみている。

飲料部門の売上高は10年上期に横ばい推移した後、気温の上昇とともに下期に上向き、通期のEBITは前年比35%増。飲料メーカーが軒並み粗利益率の悪化に見舞われる中、同社は前倒しの原材料調達を通じて利益率悪化を回避。ただ、BOCIは原材料高騰や競争激化の影響が今後顕在化するとみて、11年の事業環境の悪化を予想した。経営陣は飲料製品価格を1-2%値上げする方針を示しているが、BOCIはその程度の値上げでは不足との見方。11年に原材料が豊作とならない限り、同部門のEBITは大幅に落ち込み、マージンは7.4%から2.2%に急落すると予測している。

このほか、主要4メーカーは昨年12月以降、食用油(包装タイプ)価格を据え置いており、この点が11年1-3月期の厨房食品部門の業績に影響する見込み。また、BOCIは製菓部門の10年業績に失望感を示し、同部門の損失予想を引き上げた。

BOCIは11年にワイン部門の利益成長を予想しながらも、飲料、厨房食品、製菓部門の業績悪化を補うのは難しいとの見方。11年、12年の利益見通しを7%、16%下方修正し、同社株価の先行きに対して慎重見通しを継続している。