10年本決算は14%増益、新エネルギー/クリーンエネルギー部門の粗利益率が上昇

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02727 上海電気集団(シャンハイ・エレクトリック・グループ)  3.86 HKD
(03/28現在)
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上海電気集団の2010年12月本決算は、売上高が前年比9%増の629億6000万元、純利益が同13.5%増の27億8000万元に達した。EPSは市場コンセンサス予想を2.7%下回る0.219元。同期には原発設備の売上比率の拡大で、ニューエネルギー部門の粗利益率が前年の12%から14%に上向いた。原発設備の粗利益率は15%(風力発電設備は9.8%)と相対的に高く、中でも原子炉容器内設備および制御棒駆動装置の粗利益率は30%前後の高水準にある。同社はこの2つの設備で90%強の国内シェアを握っており、11年にはさらにニューエネルギー部門の粗利益率が上向く可能性が高い。一方、BOCIによれば、風力発電設備業務は粗利益率の低下圧力に直面しているもよう。ただ、3.6メガワット(MW)以上の大型設備の投入を受けて平均販売価格が上向く見通しとなり、これが粗利益率低下の圧力を緩和するとみられている。

また、高効率およびクリーンエネルギー設備部門の粗利益率は前年の15.7%から17.3%に上向いた。コスト管理の効果や利幅の高い超臨界圧発電(USC)設備が利益率改善に寄与した。同部門は売上構成比が最も大きく、同社経営陣は部門利益率の一段の向上を目指している。

このほか、サービス部門の粗利益率も、高利幅サービスの比重拡大を受けて5.4%から7.1%に改善した。サービスタイプ別の粗利益率は5%から8%の範囲だった。

同社は昨年、インドのリライアンス・グループから、超臨界圧火力発電設備36基(各660MW)を総額82億9000万元で受注した。経営陣は海外市場での旺盛な需要を見込み、11年には火力発電設備の新規受注が400億元に上る見通しを示している。一方、原発設備の受注は当初予定から延期される可能性が高まっている。日本の原発事故を受け、国務院(内閣に相当)が原発プロジェクトの認可を一時停止し、安全性確認を徹底する方針を示したことが背景。同社は手元の原発設備受注(総額192億元)の大半を11-13年に引き渡す予定だったため、政府の認可をまだ得ていない分の一部原材料をすでに調達しており、BOCIは在庫問題が起きる可能性を指摘している。

一方、10年通期には売掛債権向けの貸倒引当金が前年比144%増の7億3500万元に急増し、税引き前利益の18%に当たる規模に達した。より厳格な会計方針を適用したことに加え、回収期間の長い大型設備の販売増や海外からの受注増が背景。また、同期には研究開発費が同40%増の15億5000万元と、対売上高比率が2.5%に達した。同社はこの先、研究開発費の対売上高比率を4%に引き上げる方針を示しており、この点がコスト増大につながる可能性が指摘されている。

BOCIは同社に対して投資判断を付与していないが、現在株価(11年予想PER12.9倍)はほぼ適正水準にあるとの見方を示している。