10年本決算で29%増益、利ざや拡大と手数料収入の伸びが好決算に寄与

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03988 中国銀行股フン有限公司(バンク・オブ・チャイナ)  4.16 HKD
(03/25現在)
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中国銀行の2010年12月本決算は、純利益が前年比29.2%増の1044億元と、BOCIの予想をやや上回った。純利ざやの改善傾向が続いたことや手数料収入の伸び、コスト抑制、さらに引当金が相対的に低水準にとどまったことなどが好決算に寄与した。10-12月期にはコストと引当金の増大がみられたものの、利ざやは前四半期を9ベーシスポイント上回る2.14%。利ざやの拡大傾向が一段と加速した。

10-12月期の利ざや拡大を後押ししたのは、◇外貨建て貸し付けの金利上昇◇利幅の高い人民元資産の比重拡大◇要求払預金(普通預金など)の比重拡大――の3点。10年には信用引き締め策を受けて銀行の金利決定力が向上し、人民元融資の金利が上昇。LIBOR(ロンドン銀行間金利)が低水準にとどまる中、新規の外貨建て貸付金利が大幅に上昇した。また、外貨資産の利回りが歴史的低水準に落ち込む中で、同行はここ2年間、人民元資産への投資を強化。期末には人民元資産の割合が前年同期の72.4%から75.8%に拡大し、人民元建て融資の割合も71.8%から73.3%に上向いた。ほかに要求払預金が預金全体に占める割合は期末に47.95%と、6月末比で1.72ポイント上昇した。

10年通期には純手数料収入が前年比18.4%増の544億8000万元に達した。経常収益に占める割合は19.7%と、同業銘柄の中でも相対的に高水準。カード業務、決済業務の収入がそれぞれ前年比57.2%増の95億7400万元、同22.2%増の91億4400万元に達し、手数料収入全体の伸びを後押しした。クレジットカード発行枚数は期末に2877万枚で、うち有効カードの流通枚数は前年同期比25.7%増の2174万枚。通期の人民元カードの利用総額は前年比79.9%増の1兆1097億元に達した。

同期にはコスト管理に成功し、対収入コスト比率は前年の41.1%から39.1%に低下した。経常収益の大幅な伸びに加え、前年にリーマン債(仕組み債)買い戻しに28億9000万元を投じた反動が、10年のコスト比率の低減につながった。

10年末の不良債権比率は1.10%と9月末比で横ばいとなり、資産の質も引き続き良好。同行の場合、不動産向け融資の比率が期末に6.53%と、同業銘柄の中では相対的に低水準。また、BOCIは手元に保有する海外債券の質についても相対的に健全とみている。

一方、同行の不安材料の一つは預金伸び率の鈍化。期末の預金残高は期初比わずか13%増の8627億元となり、10-12月の伸び幅は447億元にとどまった。これにより、期末の預貸比率は9月末の74.7%から75.6%へやや上昇し、大手行の中では相対的に高水準に達した。このほか、期末の引当率が196.7%に低下したことや、配当性向が前年の44%から39%に低下した点などがマイナス要因として指摘されている。

BOCIはこの先、欧米景気の回復を背景とした利ざやの拡大や人民元の国際化に伴う手数料収入の伸びを予想。株価の先行きに対して強気の見方を継続している。