負債比率上昇で財務悪化懸念、11年通期の販売目標達成に疑問も

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02777 広州富力地産股フン有限公司(グアンジョウ・アール・アンド・エフ・プロパティーズ)  10.68 HKD
(03/25現在)
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広州富力地産の2010年12月本決算は、売上高が前年比35%増の246億4200万元、純利益が同50%増の43億5100万元に達し、売上高、コア利益がそれぞれBOCI予想を5.7%、1.9%上回った。ただ、財務状況は予想以上に悪化し、期末の純負債比率は111%(制限付き預金を除く。仮に含めた場合は94.4%)。有利子負債が総額278億5400万元に達したことで、同期のコア純利益率はわずか13.9%にとどまった(一回性利益と投資不動産再評価益を除く)。また、同社はこうした状況下で、10年通期に37%の配当性向を維持する方針を明らかにした。

経営陣はアナリストミーティングの席上、ゴールドマン・サックスおよびクレディ・スイスとの間で、新たな資金調達手段を準備していることを明らかにした。資金調達の実施は短期的な資金繰りの改善につながり、同社株価の支援材料となる見込み。エクイティー・ファイナンスであれば、純負債比率もやや改善する見通しだ。

ただ、その一方で、BOCIは11年の物件販売状況を懸念。1-3月期の成約額が目標を13.5%下回ったとみられることを受け、通期成約額が目標値の400億元を達成できるかどうか疑問視している。同社は通期目標の約57%を北京、天津、広州が占める見通しを示したが、特に北京と天津では不動産購入制限措置が厳しく、供給過剰感が強いことなどが理由。BOCIは11年通期の予想成約額を296億元(同社目標の74%相当)に据え置き、平均販売価格の想定値を前年比22%安の1平方メートル当たり1万637元に維持している。また、販売価格の下落が12年、13年の利幅低下につながる可能性を指摘。販売状況の悪化を受け、純負債比率も11年に100-108.8%の高水準を維持する見通しを示した。

一方、10年通期の配当性向を37%に据え置いたことで、現在株価に基づく配当利回りは約5.6%に達した。BOCIは負債比率が極めて高水準にある中、高配当利回りを維持する同社経営陣の方針を疑問視している。

10年通期には開発物件の成約好調を受け、平均販売価格が1平方メートル当たり1万3000元に上った。これにより、11年の純利益率は前年を1.6ポイント上回る15.5%に達する見通しとなった。ただ、11年の平均販売価格の下落が予想される中、純利益率は11年にピークを迎える見込み。12-13年の純利益率は13.4%に低下するとみられている

BOCIは新たな金融商品を通じた資金調達が同社株価の短期支援材料となる見通しを示しながらも、同社の長期ファンダメンタルズに対しては懐疑的。目標株価をやや引き上げながらも、同社株価の先行きに対して慎重見通しを継続した。