10年本決算は84%増益、生産量の拡大と販売価格の上昇が大幅増益に寄与

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00883 中国海洋石油(シーエヌオーオーシー)  18.84 HKD
(03/24現在)
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中国海洋石油の2010年12月本決算は、純利益が前年比84%増の544億元と、BOCIの予想を11%下回った。石油の実勢価格が1バレル当たり77.59米ドルと、予想値の81.48米ドルに届かなかったことや、減価償却費が277億元(予想値257億元)に膨らんだことなどが利益予想とのかい離につながった。BOCIは石油価格が予想より低水準だった点について、新たに買収した資産(アルゼンチンなど)が全体に影響したとの見方。また、減価償却費についても買収による無形資産の償却が一因になったとみている。

同期の大幅増益を支えたのは生産量の拡大と販売価格の上昇。石油・天然ガス生産量は新規事業や買収資産の寄与で前年比44%の大幅な伸びを示した。一方、石油実勢販売価格は国際原油相場の高騰を背景に前年比28%高。これにより、コスト全体の増大(前年比11%増の石油換算バレル当たり24.76米ドル)によるマイナス影響を十二分にカバーした。また、10年通期には新規の探査と買収が貢献し、埋蔵量置換率が202%に達した(置換率は特定期間の石油換算確認埋蔵量の増加量を石油換算生産量で割った値)。

海外事業の利益率は相対的に低く、同社の推定によれば、石油換算バレル(BOE)当たりの純利益は平均12米ドルと、同社全体の平均24.4米ドルを大きく下回った。海外部門では天然ガス生産量の構成比が40%と、全体平均の20%を大幅に上回ったことが一因。アルゼンチンなどでは現地の価格政策も影響したとみられている。

10年通期の設備投資額は前年比19%減の50億7000万米ドルにとどまった。これはコスト管理の強化と一部計画の遅れによるもの。11年には同73%増の87億7000万米ドルに拡大し、将来的な収益成長に道を開く見通しとなった。

国際原油相場は最近、中東・北アフリカ情勢の緊迫化を受けて上昇している。地域情勢がいつ落ち着くのか見通しは立たず、原油相場は当面、高止まりする可能性が高い。BOCIはこうした中、11年、12年のブレント原油平均価格に関する想定値を1バレル当たり104.9米ドル(修正前94米ドル)、102米ドル(同94米ドル)に上方修正。13年に関しては同99米ドルとの予測値を設定した。また、長期の原油価格に関する予測値を同94米ドルから97米ドルに上方修正した。

一方、同社の11年決算について、BOCIは前年比32%の増益を予想している。石油・ガス生産量に関する予測値は同9%増の3億5900万BOE(経営陣は3億5500万-3億6500万BOEとの見通しを発表済み)。石油実勢販売価格は同32%高の1バレル当たり102.76米ドルに達するとみている。

BOCIは10年通期決算と原油相場に関する想定値の見直しに伴い、11年の予想純利益を2%上方修正する半面、12年の利益見通しを6%引き下げた。また、予想純資産価値の下方修正に伴って目標株価をやや下げたが、株価の先行きには強気見通しを継続した。