本レポートに掲載した銘柄

小野薬品工業(4528)/トヨタ自動車(7203)/富士重工業(7270)/日産自動車(7201)/三菱自動車工業(7211)/ミクシィ(2121)

(今週は相場概況をお休みします。)

決算コメント

小野薬品工業(4528)

(先週金曜日(5月13日)に発行した楽天証券投資ウィークリーの小野薬品工業の項で、オプジーボの売上高の計算を改め、修正しました。なお、これによる投資判断の変更はありません。)

2016年3月期は営業利益2.1倍

2016年3月期は表1のように18.1%増収、営業利益2.1倍となりました。免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が通期212億円(2015年3月期26億円)と大きく伸び貢献しました。また、前3Q27億円から前4Q154億円に急伸していますが、これは昨年12月に非小細胞肺がん向けに承認されたためです。

2017年3月期会社予想は営業利益725億円(2.4倍)

会社側は、2017年3月期業績見通しを、売上高2,590億円(61.6%増)、営業利益725億円(137.6%増)としています。前提となるオプジーボの売上高は1,260億円です。

会社予想では、2017年3月期売上総利益率は73.1%となり、2016年3月期74.1%とほとんど変わりません。オプジーボのような抗体医薬品(バイオ医薬品)は通常の低分子医薬品よりも原価率が高い(売上総利益率が低い)のですが、売上総利益率がほぼ変わらないところを見ると、オプジーボの収益性の高さがわかります。

表1 小野薬品工業の業績

表2 小野薬品工業のオプジーボ売上高

表3 小野薬品工業:オプジーボの投与人数

オプジーボの現状と今期会社予想の前提

オプジーボの現状と会社予想売上高1,260億円の前提は、次の通りです(決算説明会の内容からです)。

  • 1,260億円の内訳は、メラノーマ40億円、非小細胞肺がん1,220億円。2017年3月期の新規投与者数予測は、メラノーマ450名、非小細胞肺がん15,000名(4月11日付けリリースと同じ)。申請中の腎細胞がん、ホジキンリンパ腫は組み入れていない。会社側は非小細胞肺がんについて月間1,100~1,350人の新規投与者を見込んでいる。
  • 投与者は、平均体重57.5kg(男女平均)、1カ月の投与費用は266万円。平均投与期間は6カ月と前提しており、これは臨床試験のデータによっている。ただし、現場でのはっきりした数字は把握していない。筆者の単純計算による売上高試算を下の(別表)に示すが、この計算によれば、オプジーボの今期売上高は1700~1800億円、これに前期末からの継続投与患者の分を加えると、2000億円前後の数字になる。期中の薬価引き下げを前提していなければ、会社予想の1260億円は現時点では解釈が難しい。
  • 全国に肺がん治療が可能な医療機関が約1,700件ある。そのうち、約700件でオプジーボが採用されているが、これは肺がん患者の80%以上をカバーする。今期中に90%以上のカバーを目指す。
  • 非小細胞肺がんの新規投与者数予想15,000人の前提条件は以下の通り。非小細胞肺がんのステージⅣには、既に化学療法剤の治療を受けたセカンドラインの患者が約3万人いる。このうち、(ファーストライン、セカンドラインでのオプジーボの投与が認められていない)EGFR陽性の患者(がん細胞の表面にあるEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子に変異がある患者)と他の抗がん剤による治療を行っている患者約9,000人と、それ以外に状態が良くない患者約6,000人を除いて、15,000人とした。
  • 薬価引下げについては、今のルールでは、年間売上高が1,500億円未満なら、消費税増税がある場合に予想される2017年4月の薬価改定で最大25%の薬価引き下げが予想されるが、1,500億円以上なら最大50%の引き下げとなる(特例市場拡大再算定)。また、効能拡大に伴い売上高が150億円以上になると市場拡大再算定として最大25%の薬価引き下げがある場合がある。オプジーボに対する議論から見て、いきなりルール変更がある場合もあろう。会社側では、薬価引き下げの動きが見通せない模様。
  • 医療現場でのオプジーボの使われ方については、ファーストライン(ステージⅣで初めての薬としてオプジーボを使う)ではなく、セカンドラインやサードライン、フォースラインでの使われ方になっている(現在はメラノーマのみファーストラインでの投与が承認されている)。医師の態度は、投与に対して慎重だが、これは免疫も含めた副作用と安全性を懸念したもの。また、コストを考える医師もいる。
  • オプジーボの投与者の中で1~2年以上長期延命する患者が出てくるはずだが、それは会社予想には織り込まれていない。それを考慮するのは時期尚早のようだ。これは、上記の平均投与期間6カ月が長くなるということであり、この患者がどの程度の数になるかは、売上予測で重要になる。
  • オプジーボを患者に対していつまで投与し続けるかについては、医療現場で議論になっている。現状は、完全にがんが消失した患者(患者のごく一部)に対しては投薬を中止している。また、オプジーボを投与するとがんが悪化せず小さくなり、その状態が維持されて、患者が普通の生活ができるようになるケースがある(全部の患者ではない)。この状態になった場合、あるいは1年間投与し続けた場合に、投与を中止することをアメリカで提携先のBMSが試行し始めている。
    日本でも、1年間投与した後投与を中止することを検討する医師もいるが、コンセンサスは得られていない。これについては、投与中止について医師主導臨床試験を行いたいと言う医師のチームが現れているので、小野薬品としては彼らをサポートする方針である。
  • 競合は厳しくなると認識しており、当面は今年中にもメラノーマで承認されると思われるメルクのキートルーダが競合相手となろう。
  • 販管費、研究開発費ともに今期は大きく増える計画になっている。販管費の増加はオプジーボを採用する医療機関を増やすために、情報提供などが必要になっているため。研究開発費の増加は、開発の確度を上げるためであり、両方ともに力を養うためである。

(別表)オプジーボ売上高:楽天証券試算

上方修正の期待は強いが、薬価引き下げの動きには注意が必要

楽天証券の新しい業績予想は、より多くの情報が必要であり、分析にも時間がかかるのでしばらく待ってください。ただし、これまで描いてきた急成長シナリオではなく、持続的成長シナリオを持ったほうが良いと思います。上述のように、オプジーボの問題点をつぶしていく作業が医療現場で始まっています。また、効能拡大も続いていきます。それと並行して薬価引き下げの動きに注意しなければなりません。

投与人数については、現在フェーズⅢの非小細胞肺がんファーストラインや胃がんなど患者数が多いがんやファーストラインでの投与が承認されたり、臨床例が蓄積されることによって増加すると思われます。

オプジーボは単にがん患者を延命させるだけでなく、がんを完治させるプラットフォームになる可能性があります。オプジーボと同じ免疫チェックポイント阻害剤、あるいは新しいタイプの抗がん剤と併用してがんの完治を目指す動きが、製薬大手からバイオベンチャーまで始まっています。

例えば、タカラバイオのがん溶解性ウイルス「HF10」は、がん細胞の中でウイルスが増殖し、がんを破壊(細胞溶解)させるものです。日本ではメラノーマ向けのフェーズⅠが今期中に終了する予定で、現在フェーズⅡの準備中です。タカラバイオ決算説明会での会社側の説明では、フェーズⅡはオプジーボとの併用にする模様です。要するに、オプジーボで腫瘍を小さくして、がんを細胞溶解し易くするアイデアと思われます。申請、承認は2018年度になる見込みです。アメリカでフェーズⅡ入りしている同じ試験はBMSのヤーボイと併用しています。

このような併用療法の開発が今後盛んになると思われます。その先にあるのは、がんが完治する世界であり、オプジーボはそのための有力なプラットフォームになる可能性があるのです。そのため、オプジーボは完成された医薬品ではなく発展途上と考えておいたほうがよいと思われます。

このように考えると、小野薬品工業の株価には、業績からの評価とは別にプレミアムが付き易いと思われます。株価は、短期的には軟調な展開になる可能性はありますが、中長期的な投資妙味は依然として大きいと思われます。

グラフ1 免疫チェックポイント阻害剤のアメリカ売上高

(単位:百万ドル、出所:各社決算リリースより楽天証券作成)

グラフ2 免疫チェックポイント阻害剤の欧州その他売上高

(単位:百万ドル、出所:各社決算リリースより楽天証券作成)

グラフ3 オプジーボの日本その他売上高

(単位:億円、出所:小野薬品工業資料より楽天証券作成)

トヨタ自動車(7203)

2016年3月期は通期で微増益、3Qから営業減益になった

2016年3月期通期は表4のように、売上高、営業利益はほぼ横ばいでした。過去最高益は更新しましたが、変化率は小さなものになりました。四半期ベースでは、前3Q(2015年10-12月期)から減益になりましたが、これは3Qは販売台数の減少と品質関連費用を含む各種費用の増加、4Qはこれらに加えて円高です。

通期では、1,034億円分の営業増益(3.8%増益)となりました。その内訳を示したものが表5です。2016年3月期では「原価改善の努力」が大きく、次いで「為替変動の影響」(円安メリット)が大きくなっています。ただし、為替変動の影響の中身を見ると、対米ドルの円安メリットが3,900億円あったのに対して、その他通貨(新興国通貨やカナダドル)に対する円高デメリットあるいはクロスレートによるデメリットが2,050億円ありました。

また、諸経費の増加が3,400億円のマイナス要因となっていますが、これは、労務費や北米本社移転費用など各種経費の増加によるものです。タカタ問題を含めた品質関連費用については、期末レートが円高になったため外貨建て引当費用が円換算でたため、500~600億円の増益要因となりました。

地域別営業利益を見ると、日本(輸出の利益を含む)が通期で増益でしたが、北米はドル高による輸出採算悪化、経費増加で減益となりました。ただし、4Qのみを見ると、円高で日本部門が減益となったのに対し、北米はSUV等の販売台数増加で増益となりました。

2017年3月期会社見通しは40%営業減益:2017年3月期会社見通しは表4の通り、営業利益1兆7,000億円、前年比40.4%減の大幅減益となる見通しです。前提為替レートは1ドル=105円、1ユーロ=120円と大幅円高を前提しています。このため、特にドル円のデメリットが6,300億円と巨額になる見込みです。これに加えてその他通貨でも大きなデメリットが発生する見込みです。また、諸経費増加5,400億円の中身は、労務費、減価償却費の増加などとともに、経費ほか3,000億円の中に1,500億円の品質関連費用が含まれています。タカタ問題等によるものです。

なお、この会社予想の中には熊本地震の影響が織り込まれていません。

表4 トヨタ自動車の業績

表5 トヨタ自動車の営業利益増減益要因

表6 トヨタ自動車の地域別営業利益

大幅減益はショックだが、株主還元は大きい

今のトヨタが置かれている状況を一言で言えば、巨大なトヨタは巨大さゆえに抱えている問題も巨大であるということです。コストには為替リスクも含みます。台数は伸びますが、減益要因を吸収するには至りません。また、品質関連費用、販促費用などのコストもかかります。将来に向けた投資もあります。

トヨタはより大きな問題も抱えているかもしれません。表7はアメリカの車種別販売台数の表ですが、プリウスが減少し、カムリが冴えない一方で、SUVのRAV4、4RUNNER、ピックアップトラックのTACOMAが好調です。特に古い車種(2009年にフルモデルチェンジ)である4RUNNERの伸びが目立ちます。4リットルV6エンジンを搭載し、アメリカ人に人気があり利益率も高いと思われますが、2年前に人気が出るまでは廃止されるはずの車種でした。今のトヨタは売れて欲しい車(プリウスやカムリ)が売れずに、4RUNNERのような必ずしも注力してこなかった車が好調なのです。商品開発に問題を抱えている可能性もあります(ハイブリッドカーにこだわり過ぎている面はあると思われます)。

株価を見ると、1ドル=105円以上の円高にならない限り、ここから大きく下落する余地は少ないようにも思われます。為替レートが足元の1ドル=108円台、1ユーロ=123円台で続けば、会社予想に対して、ドル円で1,200億円(1ドル1円の円安で400億円のメリット)、ユーロ円で120億円(同40億円のメリット)、計1,320億円のメリットが発生します。新興国通貨中心にその他の通貨の前提が会社予想通りとすると、今期営業利益は1兆8,320億円となります。もっとも、熊本地震の影響が会社予想には織り込まれていないため、為替レートによる上乗せが実現しても、実際にはこれよりも小さい数字になると思われます。

また、来期を展望すると、タカタ問題が今期中に解決すれば品質関連費用の増加(引当金の積み増し)はなくなり、来期2018年3月期には戻り益(1,000~2,000億円以上か)が発生する可能性があります。また、北米本社移転費用は減少する見込みです。

これらのことを考慮すると、足元の為替レートが続いて、他に大きなアクシデントがないという前提ですが、来期2018年3月期営業利益は1.9~2兆円程度に回復する可能性があるのです。

また、今期の配当は未定で、公約配当性向30%で今期減益見通しであることから減配リスクがある一方で、トヨタは財務に余裕があるため210円配を維持する可能性もあります。5月11日発表した自社株買い5,000億円(5月18日~11月17日)は大きな金額です。前期末の一株当たり株主資本は5,513.1円であり、PBRは1.01倍です。

傾向的な円安にならない限り、大きな株価上昇は見込みにくいところですが、上記のことを考慮すると、1ドル=105円を超える円高にならない限り、トヨタ株が今の水準から大きく下落することは考えにくいと思われます。

表7-1 トヨタ自動車-アメリカでの主力車種の販売動向:1

表7-2 トヨタ自動車-アメリカでの主力車種の販売動向:2

富士重工業(7270)

2016年3月期は業績好調

2016年3月期通期は表8の様に業績好調でした。前4Qも増益を維持しました。2016年3月期通期では、アメリカ販売が58.27万台(10.4%増)となり、これが全体の業績を牽引しました。全社の販売台数も95.79万台(5.2%増)でした。販売台数の増加に円安メリット1,084億円や原価低減が加わりました。

2017年3月期は円高で減益へ

2017年3月期は販売台数は104.97万台(9.6%増)と前期に続き高い伸びとなる見込みです。このうちアメリカは64.31万台(10.4%増)となる計画です。一方で、会社前提では1ドル=105円と前期平均の1ドル=121円から円高になります。このため、台数増加の寄与はありますが、円高デメリット1,686億円が大きく、営業減益となる見込みです。

設備増強とフルモデルチェンジを進める

アメリカ工場で従来行ってきたトヨタ自動車の北米向けカムリの受託生産が予定より早く2016年5月に終了しました。この空いたラインで7月からアウトバックの生産を開始します。その後も順次設備の増強を行う予定で、2016年春の公称生産能力85.4万台を2019年3月末に113.2万台に引き上げる計画です。この場合フル操業で127.6万台になります。これで北米での品不足がかなり解消されると思われます。

新車投入も活発化する計画です。今年末に北米で新型インプレッサを発売し、その後毎年フルモデルチェンジの車種が出てきます。また、2018年中に多人数SUVを北米限定で発売する計画です。

為替レートが1ドル=105円を超える円高にならないという前提で、業績は今上期が底になり、今下期から新たな成長軌道に乗ると思われます。

株主還元と社名変更

上限1,500万株、480億円の自社株買いを実施します(9月末まで)。また、2017年4月1日付けで社名を富士重工業から「SUBARU」に変更します。足元の為替レート、1ドル=108円が続けば、会社予想営業利益4,200億円に対して約300億円の上乗せが期待できます。また、1ドル=105円を超える円高にならないならば、来期は増益転換できると思われます。株主還元、社名変更ともに株価にはプラスです。中長期(6カ月から1年以上)の投資妙味があると思われます。

表8 富士重工業の業績

表9 富士重工業:アメリカの車種別新車販売台数

<自動車セクターに関する補足>

アメリカの新車販売台数が4月に回復した

アメリカの調査会社AUTODATAの調査によると、3月に前年割れしたアメリカの新車販売台数が4月には再び盛り返してきました。乗用車(セダン)の不振が続いていますが、SUVが盛り返してきました。ホンダ、日産、富士重工が順調に伸びていますが、トヨタとマツダは車種によってまちまちな状態です。アメリカ市場の回復は日系自動車メーカーの業績の支援要因です。

グラフ4 アメリカの新車販売台数(年率換算)

(単位:百万台、出所:AUTODATAより楽天証券作成)

表10 アメリカの新車販売台数:前年比

日産自動車が三菱自動車に資本参加

燃費不正で経営危機に落ち入ろうとしている三菱自動車工業に対して、日産自動車が第3者割当増資で資本参加することを決めました。2,374億円(1株当たり468.52円)で議決権の34%を獲得します。三菱自動車のブランドと上場は維持されますが、事実上日産の傘下に入ることになります。

三菱自動車は、これで経営危機は回避できると思われます。日本での損失額はこれからわかりますが、最大で2,000億円程度になる可能性があります。海外は今のところ燃費不正の有無が不明です。

日産自動車にとっては、海外を含めて燃費不正による損失額に不透明感があることがリスクです。ただし、8月までデュー・ディリジェンスを行い、10月頃払い込みになります。本件は全て確定したわけではありません。

もし、デュー・ディリジェンスで問題が見つからなければ、日産自動車は約100万台分の日本、アジア、その他の新興国向けの生産能力と販路、軽自動車の技術を約2,400億円で入手することができます。ちなみに、年産20万台規模の自動車工場を建設するにはアメリカで約1,500億円、アジアでも1,000億円強かかります(土地代を含まない)。日産は良い買い物をしたと言えるでしょう。

本件はまだ確定したわけではありませんが、成功すれば両社の株価にポジティブと思われます。ただし三菱自動車の株主の持ち分が希薄化することは認識しておいたほうがよいと思われます。

ミクシィ(2121)

2016年3月期は会社予想を上回る

2016年3月期通期は表11のように、売上高2,088億円(前年比84.9%増)、営業利益950億円(80.4%増)となりました。前3Q時点での会社予想、売上高2,050億円、営業利益900億円を上回りました。引き続き「モンスターストライク」が順調に伸びました。

四半期ベースでは増収率、増益率ともに鈍化

四半期ベースで見ると、増収率、増益率ともに鈍化が続いており、前4Qは31.0%増収、21.8%営業増益となりました。今後、国内ではこの傾向が続きそうであり、昨年9月のゲーム内通貨割引キャンペーン「初心者応援パック」によって、課金率(デイリーアクティブユーザー数に対して課金する人の比率)が急上昇しましたが、この効果が剥落しており、モンスト売上高はこれ以上の伸びが見込めない状況となってきました。

なお、3月29日から始めた北米におけるモンストのマーケティングについては、動画広告第2弾の配信に支障が起きており中断しています。再開が期待されます。

2017年3月期は広告費増加で減益の見通し

2017年3月期会社予想は表11のように、売上高2,180億円(4.4%増)、営業利益800億円(15.8%減)と二桁減益見通しとなっています。モンスト売上高は横ばいで、広告費は前期158億円から今期300億円へ倍増する計画です。これは、モンストをより幅広く普及させるためですが、この広告費がなければ、国内減収になる恐れもあると思われます。

また、ゲーム以外に、映像・ソフトウェア事業を新事業として立ち上げる計画です。

連結配当性向20%が目標なので、配当は2016年3月期147円、2017年3月期129円と減配の予想です。ただし、上限100億円、300万株の自己株式取得(5月11日から9月末まで)を発表しました。

北米マーケティングの成果は未知数であり、大量広告がなければモンスト減収もあり得る厳しい事態です。自己株式取得は好材料ですが、投資妙味は乏しいと思われます。

表11 ミクシィの業績

グラフ5 ミクシィの売上高内訳

(単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成)

本レポートに掲載した銘柄

小野薬品工業(4528)/トヨタ自動車(7203)/富士重工業(7270)/日産自動車(7201)/三菱自動車工業(7211)/ミクシィ(2121)