10年本決算は15%増益、携帯電話部門のARPUは10-12月期で底打ちか

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00728 中国電信(チャイナ・テレコム)  4.49 HKD
(03/23現在)
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チャイナ・テレコムの2010年12月本決算は、初期接続費用を除く純利益が前年比15%増の152億6200万元(EPS0.19元)と、BOCI予想(0.20元)を5%、コンセンサス予想(0.195元)を3%下回った。売上高は同5.4%増の2193億6700万元で、BOCI予想を2.9%下回る水準。携帯電話部門の10-12月期のARPU(加入者1人当たり月額収入)が49元と、予想の56元を大きく割り込んだことが同期利益の下振れ要因となった。無料利用時間を設定したプロモーションを大々的に実施したことが、ARPUの低下と同時に10-12月期のMOU(加入者1人当たり月額利用時間)の減少を招いた理由。また、このプロモーションは固定電話部門の利用状況にも影響し、固定ローカル通信ラインの利用量は前四半期比10%減の580億パルスにとどまった。

通期の携帯電話部門の販売・マーケティング費に過度の増大はみられず、対部門売上比で38%と、経営陣が事前に示した「40%以下」の水準に落ち着いた。経営陣によれば、この割合は11年に30%以下へ一段と低下する見通しという。携帯電話部門のEBITDA(金利・税引き・償却前利益)マージンは約20%だったが、BOCIによれば、サービス収入の28%を占めるネットワークリース料収入を差し引いた場合、同期のEBITDAは38億元の赤字。一方、固定通信部門のEBITDAマージンは47%だった。設備投資額は10年通期に430億元となり、11年にはファイバーネットワーク敷設に伴い500億元に上向く見通し。ワイヤレス向け設備投資は前年比15%減の230億元の予定。

携帯電話部門のARPUについて、BOCIは10年10-12月期の49元で底を打ち、11年には50元前後で安定すると予想している。加入者純増数の5割を3G加入者が占めるとみられることが理由。3G加入者限定のARPUは10年通期に95元だった。

一方、同社は親会社からCDMAネットワーク資産を買収する方針を明らかにしており、BOCIは買収に伴う12年のEPS上乗せを予想している。その理由の一つはコスト削減。同社が親会社に対して支払うネットワークリース料は携帯電話部門の売上高の28%に当たり、11年には134億元に達する見込み。この金額はネットワーク資産の減価償却費(期間10年の定額法に基づく年間償却額は100億元)を上回る。もう一つの理由は、与信余地の大きい同社は資産買収に当たり、デットファイナンスを利用する可能性が高いとみられること。買収資産の純資産価値を1000億元と仮定し、全額を銀行借入金で賄っても、同社の負債比率は42%にとどまり、適正水準を維持する可能性が高い。

BOCIは携帯部門のARPU低下を反映させる形で11-12年の予想EPSを11%、21%下方修正。この2年間の予想売上高を各6%引き下げた。また、これに伴い目標株価を引き下げたが、この先のEV-DO版端末の供給状況が改善した場合には、予想を上回る利益水準を達成する可能性があるとし、同社株価の先行きに強気見通しを継続した。