10年本決算は180%増益、高速列車車両の生産開始に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00323 馬鞍山鋼鉄(マーアンシャン・アイアン・アンド・スチール)  4.15 HKD
(03/23現在)
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馬鞍山鋼鉄の2010年12月本決算は、純利益が前年比180%増の11億元と、BOCI予想を83%上回った。同年下期の純利益は上期比94%減の6000万元。通期利益の予想値との大幅なかい離は、主に鉄鉱石取引益が4億2900万元、為替差益が1億3400万元に達したためで、この2つの要因を除外した場合はほぼ予想通りの水準となった。同期の実効税率は前年の5%から30%に急上昇し、BOCI予想の25%を上回ったが、BOCIは向こう2-3年間の実効税率に関する想定値を25%に据え置いている。

10年通期の売上高は前年比25.1%増の630億元。BOCIの推定では、通期の平均販売価格は前年比29%高の1トン当たり4015元で、線材の値上がり率が同約40%と、鋼板の22%を大幅に上回った。また、通期の販売量は4%増の1470万トン。その後、11年1-2月の販売量は前年同期実績を割り込んだが、平均販売価格は1-2%上昇したとみられている。BOCIは製品構成比の改善を背景に、11年の利益率がやや上向くと予想。鉄鉱石取引益を組み込む形で、11年通期の利益見通しを18%上方修正した。

同社に関して注目されるのは、利益率で既存製品を上回る高速列車車輪の生産スケジュール。すでに試験段階に入り、経営陣は今年下期にも時速250kmの高速列車車輪の生産認可を獲得したいとしている。ほかに350kmの車輪製品が現在開発段階にある。この先の復興需要が見込まれる日本をはじめ、製品輸出の伸びにも期待がかかるが、経営陣は人民元高や保護貿易を理由に、今年の輸出伸び率について慎重見通しを示している。

経営陣は11年も厳しい事業環境が続く見通しを示し、自動車用冷延鋼板、家電用鋼板など、ハイエンド製品の比重拡大を通じた利益率維持を目指す方針を明らかにした。ちなみに10年通期の生産量は自動車用冷延鋼板が前年比55%増の75万トン、家電用が同71%増の100万トン。鋼材総生産量に占める割合は5.1%、6.8%だった。

日本の大震災を受けた思惑で、中国では鋼材価格が先週1.5-3.7%上向いた。最大の上昇率をみせたのは熱延鋼板と鉄筋などの建設用鋼材で、前週比3.7%、2.1%高。BOCIは震災を受けた自動車生産の一部停止が、冷延鋼板や亜鉛めっき鋼板の需要に影響すると予想する半面、鉄筋や線材など建設用鋼材の価格動向を楽観視している。

一方、インドからの輸入鉄鉱石価格は前週比2%安となり、震災が発生した3月11日にはロンドンのスワップ取引価格も年初から最大となる4.2%の下げ幅を示した。BOCIは日本の鉄鉱石需要が127万トン分落ち込むとしながらも、この数字が世界市場のわずか0.1%に過ぎないと指摘。鉄鉱石価格の下落局面は長くは続かないとみている。

BOCIは11年の予想純利益を18%上方修正する半面、12年の予想値を4%下方修正。目標株価をやや引き下げ、株価の先行きに対する中立的な見方を継続した。ただ、利幅の高い新製品の生産が年内に始まった場合、同社の再評価が進む可能性を指摘している。