10年本決算は24%増益、原材料高騰で粗利益率が悪化

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00322 康師傅控股(ティンイ(ケイマン・アイランズ)ホールディング)  18.84 HKD
(03/22現在)
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康師傅控股の2010年12月本決算は、純利益が前年比24%増の4億7700万米ドルに達し、BOCI予想を3%上回った。一回性利益6900万米ドルを除外した場合のコア利益は同7%増。増収率はほぼBOCIの予想通りとなる31%で、製品別では即席麺、飲料の売上高が27%、39%増加した。同期決算のポジティブサプライズは販管費や実効税率が予想より低いレベルにとどまったこと。スケールメリットの拡大やインフレ環境下でのコスト管理が奏功し、販管費の対売上比率は前年の23.8%から20.0%に低下した。実効税率は前年の19.9%に対して18.0%。ただ、同期には利幅が予想以上に悪化し、全体の粗利益率は前年を6.2ポイント下回る28.4%にとどまった。特に10-12月期の粗利益率は19.0%と、年初から3四半期の30%強から急降下した。10-12月期が飲料需要の閑散期に当たることや原材料高騰に伴う売上原価の増大、新包装材への切り替えに伴うコスト増などが響いたもよう。即席麺、飲料の粗利益率が28.8%(前年比2.6ポイント低下)、28.5%(同8.4ポイント低下)とそろって予想を下回った。

原材料は10年下期、特に10-12月に大幅に値上がりした。原材料価格は11年上期も高騰するとみられ、粗利益率の縮小圧力が続く見通し。主要原材料の中ではパーム油、砂糖、小麦粉価格が今年これまでに前年比で47%、38%、17%値上がりし、最近では繊維不足を背景にPET樹脂も高騰している。BOCIは供給ひっ迫を理由に、11年には砂糖、PET樹脂価格が21%、14%上昇すると予想。小麦粉は長期上昇トレンドにあるとし、パーム油も需要拡大を受けて高止まりする見通しを示した。

即席麺部門は販売額ベースで50%超のトップシェアを武器に価格決定力が高く、同社は高級袋麺価格を昨年11月、今年2月にそれぞれ10%、5%値上げした。また、今年4月付で主要カップ麺製品を14%値上げする方針。3度の値上げはBOCIの予想を上回るペース。10年には利幅の高いカップ麺、高級袋麺の売上高が前年比38%、23%増加したが、昨年11月以降の値上げも消費者にほぼ受け入れられているもよう。BOCIは11年の即席麺部門の粗利益率が29.1%に改善し、12年にはさらに上向くとみている。

一方、市場競争が激化する飲料の値上げは困難。砂糖、PETの値上がりを受け、11年には厳しい経営環境に直面する見込み。BOCIは同部門の粗利益率が11年に25.3%へ一段と下向き、次の収穫期が豊作となった場合、12年には30.4%に上向くとみている。

BOCIは製品値上げと販売増を反映させる形で予想売上高を上方修正。また、販管費比率に関する想定値を引き下げ、11年、12年の予想純利益を5.3%、1.2%上方修正した。11年に前年比8%増収と、26%のコア利益の伸びを予測している。ただ、11年の設備投資が9億3400万米ドルに膨らむ見通しから、割引キャシュフローモデルに基づく目標株価をやや引き下げ、同社株価の先行きに対して中立的な見方を継続した。