3月10日 H株「中立」、A株「中立」
期待外れの業績を予想、厳しい環境下で

発電会社の本決算発表シーズンが3月中旬に始まるのを前に、BOCIは各社の2010年の利益が事前に予想していた水準を下回るとの見方を明らかにした。10年10-12月期の石炭スポット価格が7-9月期を上回ったことで、利益が押し下げられると予想した。国家発展改革委員会が石炭価格の抑制に取り組んだものの、10-12月期の平均スポット価格は1トン当たり774元に達し、7-9月期の同738元を超えていた。

発電用石炭のスポット価格は炭鉱会社との間で結んだ契約に基づく供給価格に比べて約40%高く、発電各社の2010年度の利益は、契約の達成率が低下したことで縮小した可能性がある。BOCIは、10-12月期の発電量がわずかに伸びたものの、事業上の環境が著しく改善してはいないとみている。

個別では、大唐国際発電(00991)が予想よりも良好な決算内容になるとみられる。10年通年の発電量が前年比で26%増え、BOCI予想(20%増)を上回ったほか、減価償却の低減も寄与するという。

華能国際電力(00902)の利益は38億7800万元にとどまる見通し。10-12月期のスポット価格の上昇などで、燃料コストが増大(前年比14.6%増)したことが響くとみられている。

また、華電国際電力(01071)について、BOCIは10年の利益が2億6200万元になると予想。石炭会社などの株式売却で10年10-12月期に特別利益を計上し、10年1-9月期の赤字から黒字に転換するもよう。ただ、同社は10年12月本決算(中国会計基準)の純利益が前年比で50%以上減少するとの見通しを発表している。

BOCIは、華潤電力控股(00836)の10年12月期の利益を50億2800万HKドルと予測し、市場コンセンサス予想よりもわずかに高い水準に設定した。11年の石炭のグループ内生産量が前年比53%増の1750万トンに達することが寄与する見通し。

中国電力国際(02380)について、BOCIは10年の利益がコンセンサス予想に届かないと予想している。10年10-12月期に水力発電量が減少したことに加え、複数の発電所に対するメンテナンスが実施されたことが響くとみられる。

発電各社は11年に必要な石炭の50-100%を確保する契約を結んだ。契約価格は横ばいだったが、石炭のスポット価格と契約価格の差が拡大する中、発電各社は契約の達成率の低下を懸念している。一方、BOCIは、石炭の供給会社が質の低い発電用石炭を供給することで、単位当たりの燃料コストの増大につながると予想している。

BOCIは、発電各社のバリュエーションを割安としているものの、株価が石炭価格の高騰を織り込んでいると指摘。インフレが収まれば11年下期にも電気料金の引き上げの可能性も出てくるとしている。