3月1日 A株「中立」
住宅物件の購入制限措置が24都市に拡大、3月に取引減少か

中国国内の不動産取引は先週(2月21-27日)、前週比で大幅な伸びを示した。ただ、都市別に状況は異なり、地元政府が住宅購入制限措置を導入した都市で取引が縮小する一方、それ以外のエリアは堅調だった。BOCIは主要17都市の取引規模が3月に大きく落ち込む見通しを示し、引き続き商業・工業物件開発を主力とする銘柄に目を向けるよう投資家に勧めている。

BOCIが調査対象とする主要17都市では先週、総取引面積が前週比17.4%増の270万2000平方メートルに達した。天津市、重慶市が取引規模の伸びを主導した。また、平均取引価格は前週比でやや上昇し、個別では北京市、福建省福州市で最大の上昇率を示した。

この間の関連政策動向および主要ニュースは以下の通り。◇中央政府の不動産過熱抑制策(通称“新国八条”)を受け、これまでに24都市が購入制限措置を導入した◇温家宝・首相が不動産価格の抑制目標の達成に向け、決意と自信を示した◇全国人民代表大会(全人代、国会に相当)がまもなく開幕し、これに伴い不動産税の課税対象地域が全国に広がる見通しとなった◇上海市、広東省広州市が公共住宅基金関連の新たなローン規定を発表した◇天津市が低価格賃貸住宅向けの補助金支給制度を導入した◇江蘇省南京市が初めて、全国社会保障基金から低所得層向けエコノミー住宅の開発資金となる30億元を受け取った――。

このほか、不動産セクターの企業動向は以下の通り。◇新湖中宝(600208)が新たな開発用地の取得を発表した◇中航地産(000043)が2010年12月通期の年報を開示した◇杭州濱江房産集団(002244)および広宇集団(002133)が2010年通期決算速報を発表した◇Wanda Investmentが成都ワンダ・プラザ建設に100億元を投資した――。

BOCIは最近実施した調査を受け、不動産業界の動向について以下の点を指摘している。

  • 【1】デベロッパーが短期的に物件開発ペースを調整する可能性は低いが、上半期いっぱい新たな開発用地の取得をペースダウンさせる公算が大きい
  • 【2】各社の資金状況は予想以上にひっ迫しており、中小デベロッパーはすぐにでも資金繰りの悪化に直面する可能性がある
  • 【3】まもなく不動産市況のピークシーズンを迎えるが、デベロッパー各社は新築分譲価格を抑える可能性が高く、物件相場が軟化する可能性が出ている――。

BOCIは不動産開発銘柄の資金繰りを懸念し、短期的には主要銘柄への投資を手控えるよう勧めている。また、個別では引き続き、賃貸用商業・工業物件の開発を主力とする広東海印集団(000861)、南京新港高科技(600064)、中国国際貿易中心(600007)、上海金橋出口加工区(600639)を選好している。