執筆:窪田真之

今日のポイント

  • トランプ大統領の政策実行能力に疑問符がついたことからドル安(円高)が進み、27日の日経平均は19,000円を割れる。27日のNYダウは、45ドル安の20,550ドルで、下げ幅は小さいが、8営業日続落。
  • 政治不安・円高不安は続くが、日本の景気・企業業績の改善は続くと予想。日経平均で19,000円割れでは一旦押し目買いが入る可能性もある。

(1) 円高進行で日経平均に下値リスク

27日の日経平均は、前週末比276円安の18,985円と、再び19,000円を割り込みました。トランプ政権が議会に提出した「オバマケア代替案」が、身内である共和党議員の反対で廃案に追い込まれたことを受け、ドル安(円高)が進んでいることが嫌気されました。

27日の東京市場で、一時、1ドル110.10円まで円高が進んだことが嫌気され、日経平均は19,000円を割れました。外国人投資家は、円安なら日本株を買い、円高なら日本株を売る傾向が顕著です。2-3月は、為替が円高方向に進んでいるために、外国人投資家は日本株を売り越しています。日銀の日本株ETF買いによって、外国人の売りを吸収している状態です。

28日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル110.63円でした。27日のNYダウは、45ドル安の20,550ドルで、下げ幅は小さいが、8営業日続落となりました。

日経平均とドル円為替レートの動き:2016年1月4日―2017年3月27日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

2016年以降の日経平均と為替の大きな流れを振り返ると、以下の通りです。

  • 2016年前半: 円高が進む中、外国人の売りで、日経平均は急落しました。
  • 2016年後半: 円安が進む中、外国人の買いで、日経平均は急騰しました。
  • 2017年: じりじり円高が進む中、外国人は日本株をやや売り越しているが、日経平均は今のところ高値を保っています。

以上の流れから、さらに円高が進むと、外国人の売りが増えて、日経平均がさらに下落するリスクが高まります。

(2)円高不安・政治不安と、景気・企業業績の回復期待の綱引き

日本株の動きは、為替変動だけで決まるわけではありません。世界景気が改善しているか悪化しているかも、日本株の動きに大きな影響を与えます。

2016年前半と2017年では、以下の通り、世界景気の状況が異なります。

  • 2016年前半:世界景気が悪化する中、大幅な円高が進み、日経平均は急落。
  • 2016年後半:世界景気に底打ちの兆しが広がる中、大幅な円安が進み、日経平均は急騰。
  • 2017年:世界に政治不安が広がり、為替は円高方向に動いているが、景気・企業業績の回復色が強まったことから、日経平均は高値圏を維持。

まとめると、今の日経平均は、景気・企業業績の改善期待が強材料、政治不安・円高不安が弱材料となり、強弱材料の綱引きとなっています。

足元、トランプ不安・(森友学園をめぐる)日本の政治混迷・円高不安に焦点が当たったため、日経平均は下落しましたが、いずれ、日本の景気・企業業績の拡大に焦点が当たれば、日本株に見直し買いが入ると予想しています。

日経平均がどこまで下がり、いつ反発するか予測するのは困難ですが、景気・企業業績の改善が続くと考えているので、今の押し目で、好業績割安株を少しずつ時間分散しながら買っていくのは問題ないと考えています。