2月17日 セメントH株「オーバーウエート」、 鉄鋼H株「中立」
需要拡大と価格上昇を見込みセメントセクターを選好

中国建築資材セクターの動向について、BOCIは鉄鋼セクターよりもセメントセクターを選好。セメント業界は今後需要増加が見込まれると同時に効果的な生産調整が進んでいることを注視した。セメント価格は最近調整局面にあったが、2011年第2四半期には公営住宅の建設や都市化の加速で価格が上向く見通し。セメント業界の利益率は全般に高く、供給過剰体制の解消により13年以降には供給不足となる可能性もある。一方、鋼材価格は上向きを維持しているものの製鋼所の利益率の低さが懸念事項。

セメントセクター:
1月の国内セメント価格は前月比3%安の1トン当たり419元。昨年の大幅な値上がり分の調整と季節的要因が影響。東部(5.4%安)、北東部(3.7%安)、南部(4.4%安)が下げを主導した。需要拡大から3月には価格が上向き、その後高水準を維持する可能性が高い。コスト面をみると、1月の大同産高品位炭(600kcal)価格は前月比1.3%安の1トン当たり830元にとどまっている。BOCIは江蘇省、安徽省、山東省、江西省の減産体制の進展と需要の潜在性を踏まえ、安徽コンチセメント(00914)、中国建材(03323)、山水セメント(00691)、華潤セメント(01313)を推奨している。

鉄鋼セクター:
BOCIはH株鉄鋼セクターについて、今後も利幅の縮小傾向が続くとみて投資判断を中立的な見方に維持している。鋼材スポット市場は今年に入り線材と鉄筋の価格がそれぞれ6%、10%上昇。一方、熱延コイルおよび冷延コイルは11月以降それぞれ25%、12%高騰。過去3カ月の平均販売価格はそれぞれ1トン当たり500元上昇しているが、鉄鉱石およびコークス価格の上昇分をかろうじて相殺する程度で、鉄鋼業界は11年上期も引き続き利益率低下という課題に直面している。

BOCIはアンガン・スチール(00347)と馬鞍山鋼鉄(00323)の鉄鋼2社のうち、バリュエーション的魅力から馬鞍山鋼鉄を選好。気温上昇に伴い建設工事が再開されれば、条鋼類の多い馬鞍山鋼鉄は需要増の恩恵を享受すると指摘している。

過去3年間で鉄鉱石価格は3倍に跳ね上がり、鋼材価格は37-38%上昇。鋼材価格は過去5カ月間上昇傾向を維持しているものの、鉄鋼銘柄の株価は鉄鉱石価格の高騰を受けて値を下げ、ベンチマークをアンダーパフォームしている。

馬鞍山鋼鉄の鉄鉱石自給率はアンガン・スチールの50%に対して20%程度。BOCIは鉄鉱石高騰の影響を懸念し、過去3年間の鉄鉱2社の株価と鉄鋼石価格および鋼材価格の関連性を調査。馬鞍山鋼鉄とアンガン・スチールの値動きには強い相関性があるものの、鉄鉱石価格の動きと両社のバリュエーションの差は必ずしも関連しておらず、鉄鉱石価格の上昇局面でも条鋼類と鋼板類の需要見通しの差により両社のバリュエーションが狭まる場合があった。このため鉄鉱石の自給率の低さで馬鞍山鋼鉄がアンガン・スチールをアンダーパオフォームすることには必ずしもならないとBOCIはみている。