執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 円高リスク・政治リスクの高まりから、日経平均の先行きに下値不安が生じている。
  • 日本株は、配当利回りから見て割安で、ディフェンシブ好配当利回り株に、時間分散しつつ投資する価値があると考えている。

(1) ここは基本にかえって、好配当利回り株

日経平均の先行きに不透明感が高まっています。景気・企業業績の回復が徐々に鮮明になりつつありますが、世界中に政治不安が広がり、一時1ドル111円台へ円高が進んだことが懸念材料となります。

ただ、株式市場の先行きに不透明感があるのは、いつものことです。株式投資には、いつでも不透明要因があり、株式市場からリスクがなくなることはありません。

私は、現在の日本株は配当利回りやPER(株価収益率)から見て割安と考えています。短期的な下値リスクはありますが、時間分散しながら、好配当利回り株に投資していくことは、長期的に価値のあることと思います。

長期金利と東証一部配当利回りの推移:1993年5月―2017年3月(21日)

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

1993年には、長期金利が5%近くありました。この時、株の配当利回りは1%ありませんでした。この時は、長期国債が割安で、日本株が割高でした。

今、長期金利が0%前後で、株の配当利回りは2%近くあります。今は、長期国債が割高で、日本株が割安と考えています。

(2)まずは、ディフェンシブ好配当利回り株から

配当利回りに注目して銘柄を選ぶとき、気をつけなければならないことがあります。配当利回りは、確定利回りではないということです。業績が悪化して、配当が減らされ、株価が下がることもあり得ます。

好配当利回り株を選ぶ際は、まずは、減配リスクが小さい銘柄を選ぶようにすべきです。世界景気や為替変動の影響を受けにくいディフェンシブ【注】株で、営業利益率の高いものに、その候補があります。以下に、その候補を挙げます。

【注】ディフェンシブ株

世界景気や為替変動の影響を受けにくいビジネスをやっている株。医薬品・食品・電鉄・情報通信・日用品小売り・サービス業などの業種に多い。ただし、景気変動の影響が相対的に小さいだけで、影響を受けないわけではない。また、株である以上、短期的に乱高下することはある。

営業利益率が10%以上のディフェンシブ好配当利回り株:2017年3月21日

(金額単位:円)

コード 銘柄名 株価 決算期 配当利回り 今期予想 営業利益率 今期予想 最小 投資金額
2651 ローソン 7,670.0 2月 3.3% 11.8% 767,000
2914 日本たばこ産業 3,856.0 12月 3.6% 26.5% 385,600
4568 第一三共 2,602.5 3月 2.7% 11.6% 260,250
4666 パーク24 3,015.0 10月 2.3% 10.4% 301,500
4704 トレンドマイクロ 4,865.0 12月 2.9% 25.5% 486,500
4732 ユー・エス・エス 1,943.0 3月 2.4% 47.5% 194,300
4825 ウェザーニューズ 3,735.0 5月 2.7% 22.7% 373,500
9412 スカパーJSAT HD 493.0 3月 3.2% 10.8% 49,300
9433 KDDI 3,040.0 3月 2.8% 19.4% 304,000
9437 NTTドコモ 2,700.5 3月 3.0% 20.4% 270,050

(注:楽天証券経済研究所が作成、配当利回りは、トレンドマイクロを除き、会社予想ベース。トレンドマイクロは楽天証券予想。営業利益率は、今期会社予想ベース)

(3)ディフェンシブ好配当利回り株に投資する場合の注意事項

ディフェンシブ株は、好景気を背景に日経平均が大きく上昇する局面でも、あまり株価上昇率は高くならない傾向があります。比較的値動きが落ち着いた株として、長期投資するにはいいですが、日経平均の上昇局面での短期的株価上昇を狙うには、向いていないかもしれません。

ディフェンシブ好配当利回り株は、長期投資で配当を稼いでいくことを、基本と考えた方が良いと思います。