10年通期に好決算達成へ、設備需要増を背景に11年の収益見通しを楽観

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00763 中興通訊(チュウコウツウシン) 29.35 HKD
(01/28現在)
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2010年12月通期の好決算見通しを受け、BOCIは中興通訊の株価の先行きに対する見方を中立的から強気に引き上げた。同社はネットワーキング設備で世界4位、携帯電話機で世界5位の大手。BOCIは今後のワイヤレスおよびファイバー回線容量の需要増が、同社にとって追い風になるとみている。

同社はこのほど、中国会計基準に基づく2010年通期純利益が前年比32.4%増の32億5000万元に達する見通しを明らかにした。この数字は市場コンセンサス予想(29億9000万元)を9%上回るとともに、BOCI予想(31億7000万元)を4%上回る水準。また、経営陣が示した同期の売り上げ見通しは同16.7%増の703億3000万元と、ほぼ市場コンセンサスおよびBOCIの予想通りの水準となった。通期の営業利益は増収率を上回る同26.64%の伸びを示す見通しとなり、営業利益率の改善傾向をうかがわせている。ただ、中国会計基準における「営業利益」の定義が香港会計基準とは異なるため、BOCIは最終的に内容を確認するためには、3月に予定される決算発表を待つ必要があると付け加えている。

BOCIは同社主力事業の2011年の見通しを楽観視している。部門別にみると、まず国内向けネットワーキング設備部門ではワイヤレスおよびファイバー回線容量に対する需要増が追い風。通信キャリア各社の11年の設備投資はほぼ前年並みとなる見通しだが、携帯電話ネット接続利用の拡大を背景としたデータ通信量の急増を受け、チャイナ・ユニコム(00762)が第3世代携帯電話(3G)向けに、チャイナ・モバイル(00941)が2G向けに、それぞれネットワークへの投資を積み増す可能性が高まっている。

一方、欧米の通信キャリアは4Gへのネットワーク移行に向けて動き出しており、同社の海外向けネットワーキング設備部門には欧米市場開拓のチャンスが到来した。中興通訊はすでに香港のキャリア各社との取引を通じ、4G設備の供給能力を実証済み。先進国市場での今年の契約規模の拡大が確実視されている。

このほか、携帯電話端末部門では、今年の売上高が前年比50%の伸びを示す見込み。出荷台数の伸びが33%に達し(昨年の出荷台数は約9000万台)、ほかに平均販売価格の上昇が寄与する見通しという。BOCIは同社の生産能力およびサプライチェーンの規模に言及し、世界の低価格スマートフォン市場で大幅にシェアを拡大すると予想している。また、グーグル開発のアンドロイドがソフトウエア分野の参入障壁を取り払ったことで、中興通訊のような携帯端末メーカーがスマートフォン市場に参入する道が開けたと指摘している。